「俺のジョー・ザヴィヌル」第2回は、In a silent wayという曲にスポットライトを当てる。
オーストリア出身で、ウィーン音楽院でクラシックの理論も学んでいたザヴィヌルが書いた非常に美しい曲で、ジャズっぽくない。
朝霧が煙るアルプスの山々を思わせるさわやかな曲である。
なんと言ってもこの曲はマイルスの演奏が有名だ。
オーストリア出身で、ウィーン音楽院でクラシックの理論も学んでいたザヴィヌルが書いた非常に美しい曲で、ジャズっぽくない。
朝霧が煙るアルプスの山々を思わせるさわやかな曲である。
なんと言ってもこの曲はマイルスの演奏が有名だ。
まあ、マイルスだからしょうがないが、ザヴィヌル自身はこの曲をキャノンボール・アダレイのバンドにいた頃にすでに書いていた。
キャノンボールの弟のナットに弾いて聞かせ「いいね、静かな感じで(in a silent way)」とナットが言ったので題名をつけたと言われている。
その後ザヴィヌルはマイルスのバンドに加入し、ハービー・ハンコックにエレピを教え(前回参照)、サックスのウェイン・ショーターと世紀の出会いを果たす。
そして放った電化マイルスの最初の代表作がこの『イン・ア・サイレント・ウェイ』だ。
この頃のザヴィヌルのマイルスへの作曲での貢献はすさまじい。
名盤「ビッチェズ・ブリュー(何回も書くが正しい発音はビッチズ・ブルー)」のオープニングを飾る「ファラオズ・ダンス」や、電化期最高潮のライヴの代表的なオープニング・ナンバー「ディレクションズ」など、数々の名曲を書いている。
マイルスとザヴィヌルには共通点があって、ボクシングが趣味ということだ。
ザヴィヌルが70歳過ぎてからパンチング・ボールを軽快に叩いている映像があるが、音楽とボクシングには何か共通点があるのかもしれない。
他にもソウルの王様ジェームズ・ブラウンもボクシングをやっていた。
全然関係ないけどぼくの親父もボクシングをやっていた。
ぼくもボクシング始めようかなー。
ちなみに「イン・ア・サイレント・ウェイ」は前に紹介したビル・ラズウェルによる「パンサラッサ」にも入っていて、マイルス盤よりも演奏が長いのでそっちも要チェキだ。
そしてザヴィヌルの初ソロ・アルバムでも同じ曲を取り上げている。
それにしてもすげえジャケットだなー。
このアルバムは彼のアルバムで最もファンク色が少なく、クラシック、現代音楽に近い。
全員が座って、譜面を見ながらしずしずと演奏しているイメージだが、幻想的な魅力がある。
1曲目の「ドクター・オノリス・カウザ」というのは「名誉博士」のことで、名誉博士号を得たハービーに捧げたもの。
で、「イン・ア・サイレント・ウェイ」はウェザーでもたびたび演奏している。
これはドイツでのコンサートを収めたDVD3枚組だ。
ウェザーの代表的ライブCDである「8:30(エイト・サーティー)」にも入っているが、DVDの方は最初にちょっとショーターが口笛を吹いているところが楽しい。
そして、その後に「ウォーターフォール」という曲につながるところがまたすばらしい。
「ウォーターフォール」はウェザーの初期の曲だが、DVDのバージョンではジャコのベースが非常に合っている。
最後は晩年のWDRビッグバンドとの演奏である。
ぼくはビッグバンドの良さも良く分からなくて、本当にジャズを聴く才能がないなあと思う。
演奏の自由さがないような気がするのだ。
しかし、ザヴィヌルと競演したこの「ブラウン・ストリート」は別格で、完全にビッグバンドを楽器としてコントロールし、さらにシンセサイザーを好き放題に弾いている。
最初のマイルス版が1969年で、最後のWDRビッグバンドとの競演が2005年である。
40年近くも、同じ曲を何回も、色んなバージョンで演奏しているのだ。
ぼくはマイルスのところでも書いたが、同じ曲をスタジオ盤、ライブ盤、ブート・・・と聴き比べるのが好きだ。
最近になって急にジャズを聞きかじり始めたので、そうやって比較して勉強するのが手っ取り早いし、楽しい。
そういう意味で聴くには、ザヴィヌルの曲ではこの「イン・ア・サイレント・ウェイ」が最も好適だ。
しかし、思うのだが、ザヴィヌルの方も同じことを考えていたんじゃないだろうか。
「あの曲を今の俺が、このバンドで演奏したらどんな音になるんだろうか・・・」
それを確かめるために、この短い曲を10年に一回ぐらいレコードにしているんじゃないだろうか。
なお「ドクター・オノリス・カウザ」もいろんなアルバムに入っている。
まずキャノンボールのアルバム。
これはキャノンボールの演奏の中から、ザヴィヌルが書いた曲だけを抽出したベストで、便利だ。
当然前回紹介した「マーシー!マーシー!マーシー!」も入っている。
「マーシー!マーシー!マーシー!」もう買っちゃいましたか。
スミマセン。
でも「マーシー!マーシー!マーシー!」はライブの流れで聴いたほうがいいような気がするので、両方買ったほうがいいと思う~~
このベスト「Cannonball plays Zawinul」を聴くと、キャノンボールバンド時代からザヴィヌルは実に実験的なことをいろいろ仕掛けていたんだなあと思う。
後年のエスニック路線もすでに顔を出している。
「ドクター・オノリス・カウザ」には船が波に揺られながら海を渡っていくような感じがあるのだが、その感じがキャノンボール版は特に強い。
他に、「ドクター」にはウェザーの演奏もある。
このアルバムはわりと最近出た、ウェザーの歴史を綴るライブ&ベスト集だが、こっちの「ドクター」は「ディレクションズ」とのメドレーになっている。
この辺のサジ加減も絶妙で、「この曲とこの曲をこうメドレーにしたか!」「そしてこのベスト盤のこの位置に持ってきたか!」という采配が感動を呼ぶのである。
完全にアーティストにもてあそばれている。
そして最後の方に、ウェザー最大のヒット曲「バードランド」の一節が出てくる。
「バードランド」の構想も、ウェザー最初期にすでにあったのだ。
それを、ベスト盤の最後にチラリと出す。
やることが憎いよ!
キャリアが長い偉大なミュージシャンは、この時間軸で聴く聴き方がたまらない。
リアルタイムで聴いたオールド・ファンも楽しかったと思うけど、俺のような「ニワカ」が一気に聴くのもまた楽しいよ。
キャノンボールの弟のナットに弾いて聞かせ「いいね、静かな感じで(in a silent way)」とナットが言ったので題名をつけたと言われている。
その後ザヴィヌルはマイルスのバンドに加入し、ハービー・ハンコックにエレピを教え(前回参照)、サックスのウェイン・ショーターと世紀の出会いを果たす。
そして放った電化マイルスの最初の代表作がこの『イン・ア・サイレント・ウェイ』だ。
この頃のザヴィヌルのマイルスへの作曲での貢献はすさまじい。
名盤「ビッチェズ・ブリュー(何回も書くが正しい発音はビッチズ・ブルー)」のオープニングを飾る「ファラオズ・ダンス」や、電化期最高潮のライヴの代表的なオープニング・ナンバー「ディレクションズ」など、数々の名曲を書いている。
マイルスとザヴィヌルには共通点があって、ボクシングが趣味ということだ。
ザヴィヌルが70歳過ぎてからパンチング・ボールを軽快に叩いている映像があるが、音楽とボクシングには何か共通点があるのかもしれない。
他にもソウルの王様ジェームズ・ブラウンもボクシングをやっていた。
全然関係ないけどぼくの親父もボクシングをやっていた。
ぼくもボクシング始めようかなー。
ちなみに「イン・ア・サイレント・ウェイ」は前に紹介したビル・ラズウェルによる「パンサラッサ」にも入っていて、マイルス盤よりも演奏が長いのでそっちも要チェキだ。
そしてザヴィヌルの初ソロ・アルバムでも同じ曲を取り上げている。
それにしてもすげえジャケットだなー。
このアルバムは彼のアルバムで最もファンク色が少なく、クラシック、現代音楽に近い。
全員が座って、譜面を見ながらしずしずと演奏しているイメージだが、幻想的な魅力がある。
1曲目の「ドクター・オノリス・カウザ」というのは「名誉博士」のことで、名誉博士号を得たハービーに捧げたもの。
で、「イン・ア・サイレント・ウェイ」はウェザーでもたびたび演奏している。
これはドイツでのコンサートを収めたDVD3枚組だ。
ウェザーの代表的ライブCDである「8:30(エイト・サーティー)」にも入っているが、DVDの方は最初にちょっとショーターが口笛を吹いているところが楽しい。
そして、その後に「ウォーターフォール」という曲につながるところがまたすばらしい。
「ウォーターフォール」はウェザーの初期の曲だが、DVDのバージョンではジャコのベースが非常に合っている。
最後は晩年のWDRビッグバンドとの演奏である。
ぼくはビッグバンドの良さも良く分からなくて、本当にジャズを聴く才能がないなあと思う。
演奏の自由さがないような気がするのだ。
しかし、ザヴィヌルと競演したこの「ブラウン・ストリート」は別格で、完全にビッグバンドを楽器としてコントロールし、さらにシンセサイザーを好き放題に弾いている。
最初のマイルス版が1969年で、最後のWDRビッグバンドとの競演が2005年である。
40年近くも、同じ曲を何回も、色んなバージョンで演奏しているのだ。
ぼくはマイルスのところでも書いたが、同じ曲をスタジオ盤、ライブ盤、ブート・・・と聴き比べるのが好きだ。
最近になって急にジャズを聞きかじり始めたので、そうやって比較して勉強するのが手っ取り早いし、楽しい。
そういう意味で聴くには、ザヴィヌルの曲ではこの「イン・ア・サイレント・ウェイ」が最も好適だ。
しかし、思うのだが、ザヴィヌルの方も同じことを考えていたんじゃないだろうか。
「あの曲を今の俺が、このバンドで演奏したらどんな音になるんだろうか・・・」
それを確かめるために、この短い曲を10年に一回ぐらいレコードにしているんじゃないだろうか。
なお「ドクター・オノリス・カウザ」もいろんなアルバムに入っている。
まずキャノンボールのアルバム。
これはキャノンボールの演奏の中から、ザヴィヌルが書いた曲だけを抽出したベストで、便利だ。
当然前回紹介した「マーシー!マーシー!マーシー!」も入っている。
「マーシー!マーシー!マーシー!」もう買っちゃいましたか。
スミマセン。
でも「マーシー!マーシー!マーシー!」はライブの流れで聴いたほうがいいような気がするので、両方買ったほうがいいと思う~~
このベスト「Cannonball plays Zawinul」を聴くと、キャノンボールバンド時代からザヴィヌルは実に実験的なことをいろいろ仕掛けていたんだなあと思う。
後年のエスニック路線もすでに顔を出している。
「ドクター・オノリス・カウザ」には船が波に揺られながら海を渡っていくような感じがあるのだが、その感じがキャノンボール版は特に強い。
他に、「ドクター」にはウェザーの演奏もある。
このアルバムはわりと最近出た、ウェザーの歴史を綴るライブ&ベスト集だが、こっちの「ドクター」は「ディレクションズ」とのメドレーになっている。
この辺のサジ加減も絶妙で、「この曲とこの曲をこうメドレーにしたか!」「そしてこのベスト盤のこの位置に持ってきたか!」という采配が感動を呼ぶのである。
完全にアーティストにもてあそばれている。
そして最後の方に、ウェザー最大のヒット曲「バードランド」の一節が出てくる。
「バードランド」の構想も、ウェザー最初期にすでにあったのだ。
それを、ベスト盤の最後にチラリと出す。
やることが憎いよ!
キャリアが長い偉大なミュージシャンは、この時間軸で聴く聴き方がたまらない。
リアルタイムで聴いたオールド・ファンも楽しかったと思うけど、俺のような「ニワカ」が一気に聴くのもまた楽しいよ。