さて、カテゴリ「私のレコード・アルバム」は、連載企画として「マイルスはこの順番に聴け!」というのをお届けしてきた。
今日で第10回になるが、このへんでこの連載は最終回とする。
音楽評論家でもない自分が、すでに評価の確定した超・名盤を俎上に載せてアレがいいコレがいいと書くのはどうかと思っていたが、10回も書くと、さすがにちょっとした仕事をやった気分になる。
みなさん興味を持ったら是非エレクトリック・マイルスを聞いてください。
さて、最終回の今日は、ビル・ラズウェルによるリミックス集『パンサラッサ』を紹介する。
今日で第10回になるが、このへんでこの連載は最終回とする。
音楽評論家でもない自分が、すでに評価の確定した超・名盤を俎上に載せてアレがいいコレがいいと書くのはどうかと思っていたが、10回も書くと、さすがにちょっとした仕事をやった気分になる。
みなさん興味を持ったら是非エレクトリック・マイルスを聞いてください。
さて、最終回の今日は、ビル・ラズウェルによるリミックス集『パンサラッサ』を紹介する。
ビル・ラズウェルと言えば、何と言ってもハービー・ハンコックの「ロックイット」、あのキュキュキュキュキュキュキュ、キュッキュ、ジャーンという、80年代を代表する大胆にヒップホップを取り入れたサウンドを生み出したプロデュースで有名だが、自らもベースを弾き、ファンク、ジャズ、ロックに股を掛けて活躍するサウンド・メーカーである。
そのラズウェルが、マイルスの作品やセッション・テープを、大胆に新解釈ではぎ合わせて作ったのが『パンサラッサ』である。
だいたい以下のレコードの音源が再編集されている。
*イン・ア・サイレント・ウェイ
*オン・ザ・コーナー
*ゲット・アップ・ウィズ・イット
*アガルタ/パンゲア
いずれ劣らぬ大傑作である。
すでに大傑作として評価されている作品を切り貼りして、果たしてどんなものが出来るのか・・・。
で、結果から言うと、このリミックス集も大傑作である。
そもそも、エレクトリック・マイルスの作品群は、テオ・マセロによって大量のセッション・テープを適当にはぎ合わせて作られたものだった。
だから、マイルスの原音を新しく加工して音楽を作るという発想は、大変勇気がいることだが、あって当然だ。
このCDを聴いてまず思うのが、イン・ア・サイレント・ウェイの、マクラフリンのギターが長い!ということだ。
テオ・マセロがカットしていた部分の音源を、ラズウェルがセッション・テープから復活させているのだ。
普通リミックスというと、オリジナルの要素が減っていると思う。
しかし、この場合は増えている。
この時点でつかみはオーケー、テンションMAXである。
次に、繋ぎ目がスムーズ!ということである。
テオの時代は編集は、文字通りハサミとスプライシング・テープという一種のセロテープで切り貼りで行われていた。
ということで、昔のマイルスのレコードを聴いていると、音楽が途中でブツッ!急に変わる瞬間があってビックリする。
しかしラズウェルは、最新のデジタル機器を使って、細心の注意を払ってつなぎ合わせている。
中には、全然違うアルバムの曲がクロス・フェードしたり、二重に流れたりする部分があって、オリジナルを知っていると倍面白い。
最後に、マイルスの音楽はナウい!ということだ。
もともと、オン・ザ・コーナーやゲット・アップ・ウィズ・イットの音楽は、その後のヒップホップやクラブ・ミュージックの開祖と言われている非常に先進的なものだが、オリジナルのマイルス&テオによるパッケージングは、それを十分に生かしたものとは言えなかったのではないか。
当時の守旧派のジャズ・ファンには、ただうるさい、小難しい音楽と言われていたのである。
マイルスは昔から全然変わっていない。
ただ(ありがちな言い方だが)時代が追いついていなかったのである。
それをラズウェルが、見事に現代に蘇らせた。
本連載は、基本的にロックばっかり聴いている人(昔のぼくのような人)にマイルスを教え込むという方針で書いてきた。
しかし『パンサラッサ』は、今のナウい音楽、クラビーな音楽に親しんでいる人が、マイルスにハマる端緒として有効であろう。
逆に、ジャズばっかり聴いていた人が、最近の若い人が聞いているナウい音楽に入門するための端緒としても有効なはずである。
マイルスはデカい。
いろんな音楽の橋渡しをしてくれるのである。
思えば、アガルタは地球の中心にあったという都市の名前、パンゲアはかつて地球に唯一あったといわれる大陸の名前である。
そしてパンサラッサは、地球にパンゲア大陸しかなかった頃、それを取り巻いていた唯一の大洋の名前である。
象徴的だ。
マイルスさえ知っていれば、時代を超え、ジャンルを超えて、いろんな音楽にスイスイ渡っていけるのである。



そのラズウェルが、マイルスの作品やセッション・テープを、大胆に新解釈ではぎ合わせて作ったのが『パンサラッサ』である。
だいたい以下のレコードの音源が再編集されている。
*イン・ア・サイレント・ウェイ
*オン・ザ・コーナー
*ゲット・アップ・ウィズ・イット
*アガルタ/パンゲア
いずれ劣らぬ大傑作である。
すでに大傑作として評価されている作品を切り貼りして、果たしてどんなものが出来るのか・・・。
で、結果から言うと、このリミックス集も大傑作である。
そもそも、エレクトリック・マイルスの作品群は、テオ・マセロによって大量のセッション・テープを適当にはぎ合わせて作られたものだった。
だから、マイルスの原音を新しく加工して音楽を作るという発想は、大変勇気がいることだが、あって当然だ。
このCDを聴いてまず思うのが、イン・ア・サイレント・ウェイの、マクラフリンのギターが長い!ということだ。
テオ・マセロがカットしていた部分の音源を、ラズウェルがセッション・テープから復活させているのだ。
普通リミックスというと、オリジナルの要素が減っていると思う。
しかし、この場合は増えている。
この時点でつかみはオーケー、テンションMAXである。
次に、繋ぎ目がスムーズ!ということである。
テオの時代は編集は、文字通りハサミとスプライシング・テープという一種のセロテープで切り貼りで行われていた。
ということで、昔のマイルスのレコードを聴いていると、音楽が途中でブツッ!急に変わる瞬間があってビックリする。
しかしラズウェルは、最新のデジタル機器を使って、細心の注意を払ってつなぎ合わせている。
中には、全然違うアルバムの曲がクロス・フェードしたり、二重に流れたりする部分があって、オリジナルを知っていると倍面白い。
最後に、マイルスの音楽はナウい!ということだ。
もともと、オン・ザ・コーナーやゲット・アップ・ウィズ・イットの音楽は、その後のヒップホップやクラブ・ミュージックの開祖と言われている非常に先進的なものだが、オリジナルのマイルス&テオによるパッケージングは、それを十分に生かしたものとは言えなかったのではないか。
当時の守旧派のジャズ・ファンには、ただうるさい、小難しい音楽と言われていたのである。
マイルスは昔から全然変わっていない。
ただ(ありがちな言い方だが)時代が追いついていなかったのである。
それをラズウェルが、見事に現代に蘇らせた。
本連載は、基本的にロックばっかり聴いている人(昔のぼくのような人)にマイルスを教え込むという方針で書いてきた。
しかし『パンサラッサ』は、今のナウい音楽、クラビーな音楽に親しんでいる人が、マイルスにハマる端緒として有効であろう。
逆に、ジャズばっかり聴いていた人が、最近の若い人が聞いているナウい音楽に入門するための端緒としても有効なはずである。
マイルスはデカい。
いろんな音楽の橋渡しをしてくれるのである。
思えば、アガルタは地球の中心にあったという都市の名前、パンゲアはかつて地球に唯一あったといわれる大陸の名前である。
そしてパンサラッサは、地球にパンゲア大陸しかなかった頃、それを取り巻いていた唯一の大洋の名前である。
象徴的だ。
マイルスさえ知っていれば、時代を超え、ジャンルを超えて、いろんな音楽にスイスイ渡っていけるのである。


