さいきんは体の不調も手伝って、酒を呑みに行くことも演劇を観に行くことも減ってしまった。
じつは去年から会社勤めを復活して、いろいろ失敗もあるけど真剣に取り組んでいるので、ブログも書くにまかせなかった。
でも、さすがに月蝕歌劇団と廻天百眼とA・P・B-Tokyoは観に行く。
今日、2018年2月25日(日曜日)は、ザムザ阿佐谷に百眼の劇場本公演『殺しの神戯』を見に行った。



コロシのシンギと読む。
わけが分からない題名である。
いや、『屍のパレード』や『冥婚ゲシュタルト』がわけが分かったわけじゃないけど、『殺しの神戯』は部分部分が分かるだけに、全体としてはわけが分からない。
一通り見て、いやあ~これは「コロシのシンギ」としかいいようがないなあ~と思った。

ザムザ阿佐谷は、東京の中心の近くなのに自然を感じる劇場で、舞台がどこか神社というかお寺の感じがするし、そういうセットが組まれることが多い。
でも、回りに飲み屋街や古いフーゾクのお店があったりして、猥雑な感じもする。
その劇場の周辺の感じが、そのまま舞台に結晶している気がした。

ビックリすることが多い百眼の舞台だから、なるべく情報を入れないようにしていたが、それでもどうしても情報が入ってきてしまう。
今回は『帝都物語』のようなサイキック・バトルの話なのかなあ~と思っていたが、どちらかというとむかし少年チャンピオンに漫画化が載っていた『百億の昼と千億の夜』のような宗教戦争の話だった。
一回でわけがわかる話ではないし、こんな風にエンタメを別のエンタメに似ている、と評するのもバカっぽいのだが、小学生の頃『百億の昼と千億の夜』を見たときに、阿修羅王と鞭を持ったイエスが戦う、聖俗入り混じった話を、わけがわからないながらワクワクして読んだ感じを、数十年ぶりに思い出したことが、ここに書きたかった。

ひとつだけネタバレすると、序盤に若い女優さんが肌を見せる場面があって、あまりにも、陶器のようにきれいだから何らかのお人形かと思っていたら、動き出して、それでも何らかのプラスチックのボディスーツかと思っていたら、生身で心底驚いた。
それが、後半の、百眼お得意の衝撃のシーンにつながっていて、魂を鷲掴みにされるようなショックを受けた。
エロスと、タナトスと、パトスと、エトスが交わるところにある演劇。
これは3月4日の楽日まで何回も見に行くことになるだろう。