自炊について以前も書いたが、また書く。
ここで言う「自炊」とは家で料理することではなく、紙書籍を電子化することである。

家の本を強引に電子書籍化して処分することで、以下の得がある。
 ・本の置き場所が節約できる
 ・本を探し回らなくてもよくなる
 ・出先で家の本が常に読める
 ・検索が出来る

一方以下の損がある。
 ・紙書籍の手応えがなくなる
 ・本棚自慢ができなくなる

以下の疑問点があると思われる。
 ・断裁機とスキャナーは邪魔にならないか?
 ・結局自炊とかやらなくなって、買っただけ邪魔ということになるのではないか
 ・電子化しても読まなくなって、結局買った本がムダになるのではないか

ドキュメント スキャナーCanon DR-C240と、断裁機DURODEX 200DXを導入して3ヶ月が経った。
快調である。

最初は1日1時間ほど「自炊の時間」を作って、10冊ぐらいずつ自炊していた。
でも、一回安定した技術を身に着けてしまうと、自炊というのはそれほど楽しい作業ではなくなる。
それでも、何日か空いてしまうと、次にやるときはものすごく億劫になる。
それで、1日1冊だけやることにした。
これだと実作業は1日10分ぐらいである。
お風呂のお湯を貯めながらやることが多い。

1日1冊家の本がなくなっても、そんなに減らないんじゃないか。。と思うだろう。
これが、減る。

ちなみに、机が散らかっている人は、1日1個でもモノを減らすといい。
A4の紙1枚でも、ボールペン1本でも1個と数える。
半年もすると驚くほど片付く。
これはおすすめ。

スキャンした電子書籍を読まないんじゃないか、ということだが、ぼくは、読む。
大きく分けて
 ・長い本
 ・技術書
 ・マンガのコミックス
が効く。

長い本は、どこでも持ち歩いてちょっとずつ読むのがいい。
この用途に電子書籍は合っている。
iPad miniで文庫本を読むと、字が大きくなって読みやすい。
ぼくはこれで、夏目漱石の「吾輩は猫である」、スタンダールの「パルムの僧院」、夢野久作の「ドグラ・マグラ」を読み直した。
若い頃に読んだ本を、年取ってから読み直すと、いろいろ発見があって面白い。

技術書というのは、場所ふさぎである。
分厚い本のうち、実際に使うのはほんのちょっとということが多い。
これが電子化すると便利である。

最初から最後まで読み通してやる! サンプル プログラムを打ち込んでやる! と思っている場合も、電子書籍の方が良い。
パソコンで、立てて読める。
メモを同じパソコンでエディターに書ける。
何なら電子書籍からエディターにコピペして、噛み砕き読みをすることもできる。
これが強烈に効く。

自炊したOCR本をコピペしても、字の間違いだらけで使い物にならないんじゃないかと最初思う。
これが間違いであって、今のOCRソフトはものすごく進化しているので、驚くほどスムーズにコピペできる。
字の間違いを校正すると、勉強になる。
これは面白い読書法である。

マンガのコミックスは電子書籍に最も合っているんじゃないか。
物理本が幅を食うのである。
10巻、20巻となると、次の本をどこに置いたっけ……というのが、物理本の場合、ぼくにはものすごい負担であった。
家が片付かないからである。
これが、電子書籍の場合、Dropboxに整然と並んでいる。

ということで、「巡航速度」になって改めて、自炊に手を染めて良かったなーと思う。

なぜここまで導入が遅れたのか。

それは世間の自炊ブログが、あまりにもマニアックに、電子書籍のクォリティを追求して微に入り細を穿つ技術論を極めていたからである。

読んでいて非常に助かったし、いいブログも多いのだが、あまりにも志が高すぎるブログが多い。
もっと雑でいいのである。
家にある本なんて、おしょうゆがこぼれていたり、折りじわがあったりする。
それはぼくらが、長年本に触れて、無視することを学んだノイズなのである。
しかるに、紙の本の素人電子化なんて、たいしてクリエィティブでないことに、鬼のようにクォリティを追求してもしょうがないと思う。
アハハ、曲がっちゃったね、でも読めるね、それでいいんじゃないだろうか。

まあぼくがそう思うだけであるが。

あと、演劇のフライヤー、チケットは、観てきたその日にスキャンする。
どうせどっかに行ってしまうものであるが、観劇日記になって、たまっていくのが楽しい。

さて、いぜんこのブログに、断裁機の紙抑えが何のためにあるのか分からない、ぼくは外して使っている的なことを書いた。
この使いみちが、俄然分かってきたので補足する。

2016107じすいIMG_6458

この写真のグレーの部分である。

本は断裁機の刃にまっすぐ当てる。
まっすぐ当てるためには右側の、メモリのついたルーラーに綴じ目に対して垂直な面を押し付ける。
で、レーザー光線ガイドを見て、裁ち落とす幅(5ミリ〜1センチぐらい)を確保する。
ここで裁ち落とせばいいので、グレーのガイドはいらないと思っていた。

しかし、最近はこうしている。
切る位置を決めたら、グレーのガイド(DURODEXの場合、ルーラーに磁石でくっつく)を動かして、下の面にぴったりくっつくようにする。
で、左側に動かす。

2016107じすいIMG_6459

なんでかというと、ルーラーに押し付けた位置で常に切っていたら、刃が右側ばっかり減ってくるからである。
ぼくは3ヶ月で300冊ぐらい切ったが、これぐらいでもだんだん切れ味が悪くなった気がする。
どうせ研ぎに出すのであるが、右側ばっかり使うのは良くない。
左側を使ってみると、やっぱり切れ味がいい気がする。
これが最近のプチ発見である。