昨日、17日金曜日はまた廻天百眼を見てきた。

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 ところでゲシュタルトとは、ゲシュタルト崩壊(Gestaltzerfall)という精神の異常現象で有名だ。
 これ、ゲシュタルトというドイツ語の普通名詞があるのか、ゲシュタルト博士という精神医学の研究者が提唱していた現象なのかどっちだろと長い間思っていたが、ゲシュタルトとはドイツ語で「形態」のことだそうだ。
 たとえばある文字をじーっと見ていると、健康な人でも一時的に精神が錯乱してしまって、文字の点画がバラバラになって、もとの形態とその意味が分からなくなってしまう。
 そういえば『冥婚ゲシュタルト』本編ではxxxxショーの掛け声「バラバラコール」が観客にも求められる。
 あまり関係ないとは思うが。

 今日の演目はまず『詩劇 冥婚ゲシュタルトEve メアリー爆誕秘話』という朗読劇。
 すでに初日を見た本編の演劇『冥婚ゲシュタルト』は、未来の話で、なぜそういう世界になってしまったのかは、セリフの端々で暗示はされているが、完全な説明はない。
 『Eve』はその前史であって、『冥婚』に出てくる存在がどのように作られたか、なぜそういう意志を持って生まれたか、その謎が語られる。

 平日の16時からの公演だが、結構お客さんがいた。
 朗読劇であって、血やいろいろな体液は飛んでこない、ということで、信じて前の方に陣取った。
 メインの朗読をされるのは大島朋恵さんで、本編には出ていないので豪華なキャスティングだ。
 他にも本編に出る役者さんが、ある人は本編と同じ役で、ある人は『Eve』だけの役で出演する。

 物語は本編に出てくる「マリ」の前身である「メアリー」の誕生、悲しい長い長い人生、そして破局を迎える彼女が起こした大事件についてのものだ。
 『冥婚』が「遠」未来のブッ飛んだ設定なのに対して、『Eve』は現代とのつなぎの話で、「近」未来SF的な味があって良かった。
 メアリーが関わる何人もの男性との話の中でも、特に南条ジュンさん(やはり『Eve』だけ出演)との悲しい物語はブレードランナー的な酸性雨が降り注ぐ世界の話で、映像で見たいな〜と思った。

 夜は本編。
 今回は警察組織・邏卒隊が通路で演技するところをバッチリ見たかったので、通路の後列、安全席の最前で見た。
 でもこのへんは全然安全ではなくて、結構いろいろな体液が被弾した。

 初回は『Eve』の前提を知らないで見たので、メアリーのような存在がなぜ生まれてしまったかが謎に包まれていて、その謎を楽しんで見られたが、2回目は間に『Eve』を挟んでいるので、一つ一つのセリフがより理解でき、悲しい物語がいっそう胸に迫った。
 つまり初回=>Eve=>2回目という自分の見方はバッチリだったと言える。

 同じ舞台を2回、違う角度から、擬似3Dで見るのは楽しい。
 1回目はストーリーを追うのに必死だったけど、2回目はその後ろで何かふざけていたり、結構重要な芝居をしている人がいるのを見て楽しむ余裕も出てきた。
 でもまだまだ見逃しているので、もうちょっと見たいな〜。