ここで言う自炊とは、お米や野菜を買って自分でごはんを作ることではなく、紙書籍をスキャンして自分で電子書籍を作ることを指す。
ぼくは以前から、紙の本が片付かなくて、手頃にタブレット端末で読める自炊電子書籍に憧れていたが、以下のような理由でなかなか手が出なかった。
1. 本を裁断してスキャン、という難しそうな作業を自分に出来るか自信がなかった
2. スキャナー、裁断機という道具がそこそこ高く、設置場所も食いそうなので、なかなか買う勇気が出なかった
紙書籍をスキャンした電子書籍が実用的にスラスラ読めることは分かっていた。
以前「自炊代行業者」(だったら料理店と呼ぶべきか?)を頼んだことがあったのである。
1冊100円ほどで、300冊ほど頼んだ。
これは相場的には安いほうだが、それでも高い。本1冊100円だと、中古の本が買えてしまうのである。
あと、「自炊代行は著作権の侵害」という裁判の判決が出たらしい。
有罪判決が出ても、代行業者はまだ業務をやっているようだが、あまりおすすめしない。
まず、本の箱詰め、発送に時間と手間が掛かる。
次に、安い業者はスキャン完了までに時間が掛かる。
数ヶ月も待たせる場合があるのである。
蔵書が数ヶ月手元にないというのはなかなかのストレスだ。
マンガが途中の1冊だけ手元にないのはなかなかつらいよ。
ということで、自炊になんとか乗り出したいと思った。
裁断機、スキャナーが手元になくてもなんとか自炊をすることは出来る。
「自炊の森」などのお店でやる方法も一案だが、本を持っていくのが大変だ。
今回ぼくが取ったのは、裁断機とスキャナーを期間レンタルで借りる方法だ。
自宅に裁断機とスキャナーが届くので、作業の難度や設置負担がどれぐらいか体感できる。
有名どころではDMM.comとスキャレンがあるが、値段やネット上の評判を見てスキャレンを頼ることにした。
「自炊セット上」で、8泊9日5千円強というのを使ってみた。
この間に自宅の本をぜんぶスキャンしてしまえたらと思った。
レンタル料金 - スキャレン.com
連休前に頼んだのだが、到着するのは連休後ということで、こちらもそうとう人気があるようだ。
連休後に1メートル、20キロぐらいの巨大な荷物が来た。
これはちょっとビビる。
作業部屋の真ん中にずるずる荷物を持って行って開梱した。
送られてきた段ボールをそのまま使って、スキャレンに送り返すことになる。
感心したのが、裁断機とスキャナーの収納をするために、箱の蓋や内部にスチロールの緩衝材がちょうどいい形に付属していて、さらに写真付きのマニュアルまで(!)ついていることだ。これに従えば簡単に、元通りガッチリ収納できる。送り返すときトラブルがなくて安心だ。
スキャナーは、一番人気のPFUのScanSnap ix500だ。
設置空間的には50cmの立方体という感じだろうか。
これなら全然邪魔にならない。
机の周りのスキマにひょいと置いておける。
(※後日書くが、ぼくはこのスキャナーを買わず、canonのDR-C240というスキャナーを買うことになった)
裁断機は、たぶんPLATAという会社のこのタイプだと思う。
これはそうとう大きく、重い。
長さが1メートル、重さが20kgぐらいある感じだ。
立てて収納もできないし、なにしろ巨大な刃物が付いていて、怖い。
8泊9日だから我慢できるけど、普段こいつが部屋にあったらぼくみたいな狭いアパートの住人にはそうとう気が重いだろう。
(※これも後日書くが、ぼくは裁断機もダーレーの200DXという別の製品を買った)
開梱して、まずスキャナーのドライバーをインストールした。
マニュアルの他に、スキャナー表面にもいろいろスキャレンの人がテプラで指示を貼ってくれているので、安心して作業できる。
次に裁断だ。
自炊のための裁断というのは、本の背(せ)の部分を5ミリから1センチぐらい切って、本をバラバラの紙に解体することを言う。
深く切り過ぎると、本の印刷しているところまで切り離してしまい、その部分が読めなくなってしまうので、可能な限り浅く切りたい。
しかし、浅く切り過ぎると、ノリ部分が残ってしまって、紙がくっついてしまう。
この加減が難しい。
ぼくはレンタル期間の8泊9日の間、いろいろ用事があって忙しかったのでで結局30冊ぐらいしか切れなかったが、そのうち1冊だけは失敗して捨ててしまった。
もったいない。
でも、慣れればほとんど失敗せずに切れると思う。
この裁断機、大きさ、重さという点ではかなりキツイが、裁断性能、確実性という点ではなかなか良かった。
ネジ式のストッパーで本をがっちり固定して裁断するので、事故が起きない。
大きくて重いので、逆にレバーを下ろすときにズレることがなく、気を使わない。
ザクザク切れる。
裁断したらスキャンする。
ぼくもそのうち書くが、自炊は、特にix500の設定は沢山の人が細かいブログを書いている。
このブログが特に勉強になった。
電子書籍化しまくって辿り着いた、効率の良い自炊方法まとめ。 | KJ新谷のビジネス幼稚園
それに従ってやったが、ぼくはあまり凝らなかった。
凝る人はもっと凝る。
自炊の方法だけで大部の本になるようなブログもある。
ぼくはといえば、まったく凝らない方だが、自分なりに実用的な自炊電子書籍がバンバン作れた。
まず、スキャナーの設定をカラー表紙と白黒本文の2つ設定した。
この設定は名前を付けて保存できる。
スキャン品位(解像度)の設定がポイントだ。大きくすれば品位は上がるが、速度が遅くなる。ぼくは表紙は400dpi、中身は300dpiにした。
表紙はフルカラーでいいとして、中身はグレースケールにした。白黒だと図版など飛んでしまうし、紙が日に焼けていると真っ黒になる。
あと、OCRはぜんぶオンにした。最近のOCRの技術の進歩は凄まじく、「本当にやってるの?」と思うぐらいのスピードでOCRしてくれる。
これで自炊の電子書籍でも検索が可能になる。これは便利だ。
フォーマットはPDFにした。凝る人はJPEGにしてあとでくっつけるとかしているそうだが、ぼくは凝らないことにした。
この設定で文庫本は1冊50MB、技術書は100MBぐらいだ。100メガに収まれば御の字ではないだろうか。
Dropboxに置いて、ComicGlassというアプリで読んでいる。
1〜2冊スキャンして分かることは、自炊は「びっくりするほどカンタン」だということだ。
いままで悩んでたのがアホみたいだ。
最初はまとまった本をスキャンするのにある程度(かなり)時間が取られるだろうが、それ以降は、買ってきた本をスキャンするぐらいなら、ぜんぜん楽勝だ。
1冊10分といった感じではないだろうか。
他に、スキャナーがあると出来ることがいろいろある。
自炊に使うのは、事務用ファクシミリのように、ドキュメントフィーダー(連続用紙送り装置)が付いているものだ。
受光部が表裏2つあって、一気に両面取れる。
フラットベッドスキャナー(ガラスに押し付けて使うスキャナー)と違って、読み込む用紙の形を選ぶかなと思っていたが、思いのほかいろいろスキャンできる。
便利なのは名刺やクレジットカードサイズのプラスチックのカードもスキャンできることだ。
他にマニュアル、書類、写真などもバンバンコピーした。
面白いのが芝居の記録である。
芝居を見に行くと、チケットやチラシの他に、パンフレットを貰う。
あと、劇団によっては、生写真、おみくじ(なんだそれ)などのノベルティーももらう。
思い出に残るから取っておきたいが、場所を食うし、ぼくは物を管理出来ないのでぐちゃぐちゃになって、結局見返すことができないでいた。
これらをぜんぶスキャンし、公演ごとにPDFをまとめる。
スキャンは、編集者間隔で収録するものや順番を考えるのが楽しい。
これで、自分なりの電子アルバムが出来る。
スキャン作業だけである程度思い出が蘇って楽しい。
物理物は、サイン入り生写真や直筆の手紙のようなものを除いては、処分した。
モノより思い出というが、モノよりPDFである。
ということで、裁断機とスキャナーを買う決意が完全に固まった。
1. 本を裁断してスキャン、という難しそうな作業を自分に出来るか自信がなかった
2. スキャナー、裁断機という道具がそこそこ高く、設置場所も食いそうなので、なかなか買う勇気が出なかった
紙書籍をスキャンした電子書籍が実用的にスラスラ読めることは分かっていた。
以前「自炊代行業者」(だったら料理店と呼ぶべきか?)を頼んだことがあったのである。
1冊100円ほどで、300冊ほど頼んだ。
これは相場的には安いほうだが、それでも高い。本1冊100円だと、中古の本が買えてしまうのである。
あと、「自炊代行は著作権の侵害」という裁判の判決が出たらしい。
有罪判決が出ても、代行業者はまだ業務をやっているようだが、あまりおすすめしない。
まず、本の箱詰め、発送に時間と手間が掛かる。
次に、安い業者はスキャン完了までに時間が掛かる。
数ヶ月も待たせる場合があるのである。
蔵書が数ヶ月手元にないというのはなかなかのストレスだ。
マンガが途中の1冊だけ手元にないのはなかなかつらいよ。
ということで、自炊になんとか乗り出したいと思った。
裁断機、スキャナーが手元になくてもなんとか自炊をすることは出来る。
「自炊の森」などのお店でやる方法も一案だが、本を持っていくのが大変だ。
今回ぼくが取ったのは、裁断機とスキャナーを期間レンタルで借りる方法だ。
自宅に裁断機とスキャナーが届くので、作業の難度や設置負担がどれぐらいか体感できる。
有名どころではDMM.comとスキャレンがあるが、値段やネット上の評判を見てスキャレンを頼ることにした。
「自炊セット上」で、8泊9日5千円強というのを使ってみた。
この間に自宅の本をぜんぶスキャンしてしまえたらと思った。
レンタル料金 - スキャレン.com
連休前に頼んだのだが、到着するのは連休後ということで、こちらもそうとう人気があるようだ。
連休後に1メートル、20キロぐらいの巨大な荷物が来た。
これはちょっとビビる。
作業部屋の真ん中にずるずる荷物を持って行って開梱した。
送られてきた段ボールをそのまま使って、スキャレンに送り返すことになる。
感心したのが、裁断機とスキャナーの収納をするために、箱の蓋や内部にスチロールの緩衝材がちょうどいい形に付属していて、さらに写真付きのマニュアルまで(!)ついていることだ。これに従えば簡単に、元通りガッチリ収納できる。送り返すときトラブルがなくて安心だ。
スキャナーは、一番人気のPFUのScanSnap ix500だ。
設置空間的には50cmの立方体という感じだろうか。
これなら全然邪魔にならない。
机の周りのスキマにひょいと置いておける。
(※後日書くが、ぼくはこのスキャナーを買わず、canonのDR-C240というスキャナーを買うことになった)
裁断機は、たぶんPLATAという会社のこのタイプだと思う。
これはそうとう大きく、重い。
長さが1メートル、重さが20kgぐらいある感じだ。
立てて収納もできないし、なにしろ巨大な刃物が付いていて、怖い。
8泊9日だから我慢できるけど、普段こいつが部屋にあったらぼくみたいな狭いアパートの住人にはそうとう気が重いだろう。
(※これも後日書くが、ぼくは裁断機もダーレーの200DXという別の製品を買った)
開梱して、まずスキャナーのドライバーをインストールした。
マニュアルの他に、スキャナー表面にもいろいろスキャレンの人がテプラで指示を貼ってくれているので、安心して作業できる。
次に裁断だ。
自炊のための裁断というのは、本の背(せ)の部分を5ミリから1センチぐらい切って、本をバラバラの紙に解体することを言う。
深く切り過ぎると、本の印刷しているところまで切り離してしまい、その部分が読めなくなってしまうので、可能な限り浅く切りたい。
しかし、浅く切り過ぎると、ノリ部分が残ってしまって、紙がくっついてしまう。
この加減が難しい。
ぼくはレンタル期間の8泊9日の間、いろいろ用事があって忙しかったのでで結局30冊ぐらいしか切れなかったが、そのうち1冊だけは失敗して捨ててしまった。
もったいない。
でも、慣れればほとんど失敗せずに切れると思う。
この裁断機、大きさ、重さという点ではかなりキツイが、裁断性能、確実性という点ではなかなか良かった。
ネジ式のストッパーで本をがっちり固定して裁断するので、事故が起きない。
大きくて重いので、逆にレバーを下ろすときにズレることがなく、気を使わない。
ザクザク切れる。
裁断したらスキャンする。
ぼくもそのうち書くが、自炊は、特にix500の設定は沢山の人が細かいブログを書いている。
このブログが特に勉強になった。
電子書籍化しまくって辿り着いた、効率の良い自炊方法まとめ。 | KJ新谷のビジネス幼稚園
それに従ってやったが、ぼくはあまり凝らなかった。
凝る人はもっと凝る。
自炊の方法だけで大部の本になるようなブログもある。
ぼくはといえば、まったく凝らない方だが、自分なりに実用的な自炊電子書籍がバンバン作れた。
まず、スキャナーの設定をカラー表紙と白黒本文の2つ設定した。
この設定は名前を付けて保存できる。
スキャン品位(解像度)の設定がポイントだ。大きくすれば品位は上がるが、速度が遅くなる。ぼくは表紙は400dpi、中身は300dpiにした。
表紙はフルカラーでいいとして、中身はグレースケールにした。白黒だと図版など飛んでしまうし、紙が日に焼けていると真っ黒になる。
あと、OCRはぜんぶオンにした。最近のOCRの技術の進歩は凄まじく、「本当にやってるの?」と思うぐらいのスピードでOCRしてくれる。
これで自炊の電子書籍でも検索が可能になる。これは便利だ。
フォーマットはPDFにした。凝る人はJPEGにしてあとでくっつけるとかしているそうだが、ぼくは凝らないことにした。
この設定で文庫本は1冊50MB、技術書は100MBぐらいだ。100メガに収まれば御の字ではないだろうか。
Dropboxに置いて、ComicGlassというアプリで読んでいる。
1〜2冊スキャンして分かることは、自炊は「びっくりするほどカンタン」だということだ。
いままで悩んでたのがアホみたいだ。
最初はまとまった本をスキャンするのにある程度(かなり)時間が取られるだろうが、それ以降は、買ってきた本をスキャンするぐらいなら、ぜんぜん楽勝だ。
1冊10分といった感じではないだろうか。
他に、スキャナーがあると出来ることがいろいろある。
自炊に使うのは、事務用ファクシミリのように、ドキュメントフィーダー(連続用紙送り装置)が付いているものだ。
受光部が表裏2つあって、一気に両面取れる。
フラットベッドスキャナー(ガラスに押し付けて使うスキャナー)と違って、読み込む用紙の形を選ぶかなと思っていたが、思いのほかいろいろスキャンできる。
便利なのは名刺やクレジットカードサイズのプラスチックのカードもスキャンできることだ。
他にマニュアル、書類、写真などもバンバンコピーした。
面白いのが芝居の記録である。
芝居を見に行くと、チケットやチラシの他に、パンフレットを貰う。
あと、劇団によっては、生写真、おみくじ(なんだそれ)などのノベルティーももらう。
思い出に残るから取っておきたいが、場所を食うし、ぼくは物を管理出来ないのでぐちゃぐちゃになって、結局見返すことができないでいた。
これらをぜんぶスキャンし、公演ごとにPDFをまとめる。
スキャンは、編集者間隔で収録するものや順番を考えるのが楽しい。
これで、自分なりの電子アルバムが出来る。
スキャン作業だけである程度思い出が蘇って楽しい。
物理物は、サイン入り生写真や直筆の手紙のようなものを除いては、処分した。
モノより思い出というが、モノよりPDFである。
ということで、裁断機とスキャナーを買う決意が完全に固まった。