ぼくは歳のわりにブランド物に興味が無いし、じっさい持っていない。

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 服はギャップかユニクロで済ませる。メガネはジンズである。
 電子機器は割りとこだわっている。パソコンはMacでスマホはiPhone、腕時計はAppleWatch、ビデオはAppleTVである。これはこだわっているというよりAppleに囲い込まれていると言うのが正しい。
 文房具は比較的こだわっていて、ボールペンはラミー2000の4色を、芯をゼブラ4Cに換えている。メモ帳はロディアのNo.11だ。
 他に携帯用白板のNu Board新書版というのを買っている。これ、一時廃番になっていて、Amazonのマーケットプレイスで8千円とか法外な値段で売っている人がいた。今は新品が手頃な値段で売っているのだが、ぬわんと法外な値段のままデッドストックを売っている人がいる。絶対に買わないほうがいい。
 カバンは割りとこだわっていて、ポーターが多い。ミニショルダーはユニクロのが最強だったのだが、廃番になってしまった。いまは妥協して無印良品のを使っている。
 ということで、書き出してみると、意外とこだわりが多かった。

 財布は、ここ6年ぐらいアニエスベーボヤージュのを使っていた。
 6年前、2010年にはじめてアニエスベーボヤージュのを買った。別にこだわりがあるわけではなく、会社の近くのビルに直営店が入っていて、見やすい感じだったので買ったのだ。

 これがハマった。革製品はほとんど買わないのだが、財布だけは革がいいような気がする。使っているうちにどんどん馴染んでくるのがいい。
 3年後、2013年に財布がクタクタになってきた。それで、同じビルの直営店に行って「これと同じ財布ありますか」と言った。店員さんが「ちょっと待っててください」と言って奥に新品を取りに行った。そのあいだ別の店員さんと、フランスの大統領が変わったけどアニエスさんどう言ってますか、とか話をしたような気がする。

 で、財布を取り替えて、それから3年持ち続けて、またクタクタになってきた。
 表面の感触が悪くなる。小銭入れのマチ部分もクタクタでうまく折りたたまれなくなっている。全体的に型くずれがしている。
 こりゃ駄目だ、と思って、もう会社をやめているので、電車に乗って前に買ったビルにいった。
 ちなみに横浜のクイーンズタワーであるが、アニエスベーがなかった。撤退しているのである。ショック!

 困った。iPhoneで調べると、横浜のそごうにあるという。
 みなとみらいから15分ほど歩いて行ってみたが、横浜そごうのアニエスベーボヤージュにはレディースしかなかった。また、メンズフロアのアニエスベー売り場にはあまり小物がなかった。
 全体的にアニエスベーに、日本市場への力の入れ方が弱まった気がする。

 数日後、表参道のアニエスベーのアンテナショップに言ってみた。
 このブログ全体的にアニエスベー、アニエスベーと言っているが、別にアニエスベーが好きとか自分に似合うとか思っているわけではない。ちなみにアニエスの服は、他のブランド同様ぼくには小さ過ぎ、着ていると苦しくなるから買わない。

 アニエスベーのアンテナショップで古い財布を見せると、もうそのラインは生産していない、ということだった。
 ショック!
 基本的に表面がザラザラした「型押しレザー」の製品ばっかりになっている。これが気に入らない。別に財布なんかに強いこだわりがあるわけじゃないけど、やっぱツルツルしてるほうがカッコイイ気がする。個人の感想です。
 他にも、ラインが入ったやつとかツートンカラーのやつとかあるけど、毎日着替えるわけじゃないのでシンプルな方がいいような気がする。財布は毎日変えるわけじゃないので、このへんが難しい。
 店員さんがいろいろ出して、親切に対応してくれたが、どれもいまいちトキメキがなかったので「ちょっと考えます」と言って店を後にした。

 表参道になんかめったに来ないが、ここにはレザーのブランドのアンテナショップがたくさんある。2軒ほど回ってみた。しかし、急に激しい疲労感に襲われた。この探し方は効率が悪い。あるブランドの店で、ある製品が気に入ったとする。また別のブランドの店で、別の製品が気に入ったとする。でも、本当は2つの製品を横に並べて比較したいのだ。さっきのあの店の財布どんなだったっけとか、覚えてないのである。
 雨が降っている日で、気持ちが沈んできたので、この日は財布を買わないことにした。

 次の日は別の用事で新宿タカシマヤに来たので、東急ハンズで財布を見た。しかしここのは少し小ぶりで若向けのが多い気がする。今の財布と大きくイメージが違うものは避けたい。
 ルイヴィトン、グッチの店も、買うかどうかはさておき、一応ある。でも、ルイヴィトンは地下1階、グッチは2階のように離れているのである。離れた店の財布を比較するのがどうにも面倒だ。あと、服やカバンが置いてある中に、どう考えても場違いな自分が入って行って、店員さんに財布なんか見せてもらうのは気が引ける。
 しょぼくれた気分で家に帰った。
 財布1つ買うのに何日も何やってるんだろうか。
 アホ丸出しだ。

 数日後、そういう場合は新宿の伊勢丹メンズ館に行けばいい、という情報を聞いた。また無駄足は踏みたくなかったので、伊勢丹に電話して店員さんに話を聞いてもらった。「お気持ちはわかります。うちはエッティンガー、ホワイトハウスコックス、ガンゾ、キプリス、ユハク、ポール・スミスなど、いろいろなブランドが横並びで比較していただけますので、おそらくご希望に添えると思います」と言われた。

 新宿を通過する用事があったので、行ってみた。新宿には副都心線で新宿三丁目から行く場合が多いが、なんと駅の改札を降りて目の前が伊勢丹である。地下1階に入り、食品売り場を突き抜けるとメンズ館に入った。

 ここはいい。
 全部メンズフロアである。カバンエリアにはいろんなブランドのカバンが、財布エリアにはいろんなブランドの財布がずらーっと並んでいる。これこれ! こういう店を探していたのである。いわゆる、昔ながらの古き良きザ・百貨店だ。西武とかマルイのような、今時のデパートは、なんかブランドのアンテナショップが間借りしている雑居ビルみたいなものになっていて、比較して歩くのに非常に手間取る。フロアマップを見てもデザイナーズ・ブランドのわけが分からないカタカナ名前がずらーっと並んでいて、わけがわからない。
 その点伊勢丹メンズ館は考え方がぜんぜん違う。

 いろんなブランドを見比べて、非常に好みなものと全然違うものとあることが分かった。
 ポール・スミスの水色の財布があって、なかなか可愛げがあるのでちょっと食指が動いたが、中にポール・スミスの人生の心構えみたいなのが金文字で入っている。別に財布を使うたびにポール・スミスに説教なんかされたくないので、買うのをやめた。

 楽しくいろいろ迷った末に、最終的にガンゾという日本のメーカーのものと、エッティンガーというイギリスのものが候補に残った。
 フロアの中盤と端っこである。

 元気な女性の店員さんに声を掛けて、この(ガンゾの)財布とあっちのエッティンガーの財布と、直接対決で比べてみたいんですけどと言うと、どうぞどうぞと行ってアテンドしてくれた。
 ぼくは大抵のものをネットで買うが、この感じがやっぱリアル店舗はいいね。
 身に付けるものはやっぱりリアル店舗で買いたい。

 しばらく試すがめつ比べて、当初の予算をだいぶオーバーするが、エッティンガーのを買うことになった。
 あきらかにぼくには身に過ぎた買い物であって、恥ずかしいから値段は書かないが、いいものを買った感が満喫できた。
 店員さんが「半年ぐらいして表面が乾燥してきたら、クリームを塗ったほうがいいです」と言う。「クリーム買ったほうがいいですか」というと「ここに持ってきていただければ、無料でお塗りします」だそうだ。商売うまいな!
 ということで、とりあえずメンズ用品を買う場合は、伊勢丹メンズ館に行くということを覚えた。