携帯のSIMの話。また間が空いてしまった。1回「ブログを休む」という行動レパートリーを身につけてしまうとダダダッと休みが続いてしまう。今後も不定期に書きますのでお目に止まったら見てください。

Veil Nebula - NGC6960
 前回のあらすじとしては、長い間「格安SIM(MVNO)」のIIJmioを使ってきたが、今回新進のイオンモバイルに乗り換えることにした。

 イオンはいままで、イオンモバイルという名前で他社の回線を斡旋してスマホを売る事業をやってきたが、みずからMVNO事業に乗り出した。
 と、言ってもバックグラウンドはIIJmioの回線を借りる形である。
 IIJmioは、前回書いた通りdocomoの回線を借りているMVNOという業者であり、又貸し、2次貸しという形になる。
 docomoからIIJmioが借りたものを、イオンモバイルがさらに借りる。
 普通だとマージンを抜かれて高くなりそうなものだが、これが安くなるという。
 仕組みはよく分からない。

 となると、安かろう、悪かろうという言葉が世間にはあって、やっぱりdocomoの方が安心なんじゃないの、遅くなったり、「イザという時に」困るんじゃないのということだったが、IIJmioのときも大して困らなかったので、やはり「安さは正義!」ということでイオンモバイルを試してみることにした。
 イオンSIMは他に、解約の自由度、速度規制のなさという点で、他の会社を圧倒しているそうだ。

イオンモバイルスマホ|全プラン解説 端末問題と2年後料金が・・・

 こういうのは仕様なので、横並びに比較するとすぐに分かる。後発の企業ほど先発の顧客を奪わないといけないので、条件はどんどんユーザー有利になる。しかし、一度3大キャリアーのように顧客をガッチリ掴んでしまえば、殿様商売になってユーザー不利に条件を変更してくる可能性がある。

 それだけならいいが、なんとか割りとか、なんとかサービスとか、次々に繰り出してくる。割引や規制の制度をどんどんどんどん複雑怪奇にしてくるのだ。パッと見、有利になったのか不利になったのか、どこが安いのか便利なのか、何が善なのか悪なのか、素人にはわからないようになっている。キャリアー側でそうしているのだ。つまり、検討するのは面倒くさいので大キャリアー、オプションなんかはお店の人の言うままにつけてくださいということになって、いざ請求書が来たり、通信規制が来たりするとビックリ、というパターンが多い。これは通信キャリアーの反道徳的なところだ。どんどんルールを複雑にして顧客からお金や自由をかすめ取っているのである。
 格安SIMのMVNOは、2016年春の現状では、この点料金も格安で、ルールも単純で明快な物が多い。また、上に引いたような比較サイトも多くて、比較的風通しがいい。

 さて、イオンSIMの予約だが、この時点で大きなトラブルがあった。
 当初の予想を遥かに超えた人が予約に殺到したために起こったトラブルということらしく、Webページにも「お詫び」が載っているが、イオンモバイルと言う会社は予約の歩留まりの読みが甘い、モバイル会社としての体制がしっかりしていない、ということの現れであるから、記憶に留めたい。やっぱり普段は地元の買い物客相手にスーパーをやってる会社だから、オタクの恐ろしさを知らなかったということだろうか。

 まず、Web予約ができなくなった。急に「予約を停止」し、「いつ復旧するか不明」というアナウンスが出た。もっとも、2月末のことである。
 で、店頭予約も、一時中止したり、再開はしたものの即時開通はできなくなったりした。
 ぼくが予約しようとした3月18日には、以下の様な状態だった。

 * 予約は店舗だけ
 * 店舗によって割り当てられたSIMの枚数は決まっている
 * 割り当てられたSIMの予約は、店舗に出頭して予約し、前金を払ってからでないとできない
 * それから開通作業に入るが、開通は即日ではない
 * 開通が終わったら、また店舗に出頭してSIMを引き取らないといけない

 これは大変だ。
 (※この状況はその後改善され、Web予約も、店舗での即日開通もでき、在庫も潤沢になっていると思われるので念の為)

 つまりイオンのスーパーに2回行かないといけなく、1回め行くまでは買えるかどうかわからないのだ。
 ぼくは家の近所と思われるイオンに片っ端から電話を掛けた。
 イオンによってもイオンモバイルのサービスをやってるところとやってないところがあり、イオンモバイルのサービスをやっててもイオンSIMを取り扱ってるところと取り扱ってないところがあり、イオンSIMを取り扱ってても在庫があるところとないところがある。
 と、まとめて書くと大して複雑ではないような気がするが、ぼくはあちこちに電話を掛けているうちにこういう事情がだんだん飲み込めてきた。

 イオンSIMと言っても音声つきSIMと音声なし(データ専用)SIMがある。ぼくはiPhone用に前者を1枚、iPad用に後者を1枚確保したかったので話はさらに複雑だ。
 電話に出てくれた人も、いわゆるスーパーのおばちゃんであってITに不慣れな人もいれば、ITオタクの人もいた。

 特筆すべきは、某店舗に、頭のおかしいやたら攻撃的な人がいたことだ。いちいちいちいち相手の言葉尻を捉えてやり込めようとしてくる。逆クレーマーだ。こっちも何本も電話を掛けて気が立っていたかもしれないが、あの人と話してたら確実にトラブル起こるよ。イオンSIMの人気を低下させて手続きの混乱をクールダウンさせるために配置されている工作員だろうか。だったらグッド・ジョブだよ。何支店の誰さんか、ばっちりメモが残っている。向こうは誇りを持ってプロの仕事をしているだろうから、ここで晒して実り多い議論をしてもらってもいいのだが、まあそれは保留しておく。全体的にイオンの接客は良かったが、この時はなにしろSIMのタマが少なく、開通作業も渋滞中だったので、店員も客もイライラしていた。

 結局、自宅に比較的近く、在庫も潤沢な場所はイオン橋本店だということが分かった。

 橋本ってどこですか。

 歌人の俵万智さんがかつて高校教師をやっておられ、「万智ちゃんを先生と呼ぶ子らがいて 神奈川県立橋本高校」という絶唱がある。この「子らがいて」の「が」が素晴らしい、ここが「は」だと締まらない、ということを「日本語で一番大切なもの」という対談集で大野晋先生と丸谷才一氏が言っていた。

 閑話休題、ぼくが住む武蔵小杉からはまず菊名まで東横線で10分、菊名から横浜線で40分かかる。合わせて1時間内外で行ける気がするが、ずいぶん遠いところというイメージがある。
 じっさい、遠かった。
 横浜線が遅かったのである。
 このブログの歩みも遅いが、今日はここまでにさせてください。