それにしてもテレビのニュースばかり見ている。なぜ最近テレビのニュースが気になるかというと、天気予報が気になるからだ。寒暖の差が大きいので、マメに服装を変えないと、寒かったり、汗をかいてしまったりする。

"Man with guns" graffiti

 それで気になるのが最近の事件報道の多さだ。それも殺人事件が多い。朝から2件も3件も立て続けに見せられるのである。関東甲信越の朝の15分のニュースを見ているのだが、まず殺人のニュースを3件ほど見て、そのあと地域の変わったお祭りとかのほっこりする話があって、天気予報という感じである。お祭りの話なんかはヒマネタだ。民放の場合はこれがいま話題のデパ地下グルメとかの話になる。それ以外は本当に殺人の話ばっかりだ。日本は殺人ばっかり起きているのかという気がする。
 ところが、殺人数じたいは、ご案内のように減っているのである。

殺人事件てどれくらい起きてるんだろう? - NAVER まとめ

 これはどういうことか。15分という短い時間だから、「重要な」事件を最初に見る、ということだろう。でも殺人事件の報道ってそんなに重要か? 日本で特に殺人が多く、普通の人でも油断していたらおちおち生きられないというのなら、生活に役立つ情報として知っておいたほうがいい。しかし殺人の数は傾向として減っている。

 報道被害も多い。事件が起きた瞬間に、加害者も被害者も実名報道する。加害者は冤罪だった場合救われない。日本の警察がいかに冤罪を生み出しうるかというのはすでにご案内の通りである。冤罪の余地がある以上、基本加害者は実名報道しない方がいいんじゃないだろうか。

 被害者もいい迷惑である。ある少年殺人の場合、被害者の父親がマンションのエレベーターに乗ろうとすると、マスコミ関係者がエレベーターに立錐の余地もなくぎゅう詰めに乗ってきたという。これ、マスコミを映すカメラも欲しい。どんな顔をしてエレベーターに乗り込んでくるのか報道して欲しい。

 テレビ朝日も日本テレビも、だいたい事件報道については似たような言い回しになる。よく揶揄される「バールのようなもので殴った」に続いて最近は「拳銃のようなもので撃たれた」というのが話題になっている。「段ボールのようなものに遺体が入っていた」というのも聞いたことがある。で、シメは「殺人事件と見て捜査を続けています」と言う。なぜ型どおりになるかというと、警察の発表をそのまま伝えているからだ。だったら警察が直接発表すればいいんじゃないだろうか。

 ぼくは、関東地方に住むローカルの住民として、横浜の欠陥マンションのニュースとか、千代田区の議員歳費の報酬付け替えのニュースとか、もっと暮らしに直結した報道、自分にも危険がある問題についての報道をして欲しいと思う。調べたら議員歳費付け替えの件は沙汰止みになったそうだが、もっとそんなことを提案した議員の普段の言動とか、論理付けに協力した学者の普段の言動とか、知りたい。そっちはもともと顔出し名前出しで、ちゃんと自分の主義主張があってやっていることだから、もっと詳しく報道してやればいいと思う。

 最近は貧困の問題をもっとニュースにして欲しい。気づいたら日本人は世界でも貧困者が多い国になっているそうですよ。これ、貧困に陥った家庭が、どうやったら救われるのかを毎日もっと教えたほうがいい。そうしたら殺人はもっと減るだろう。
 むろん殺人は憎むべき犯罪だが、繰り返しになるが減っている。日本人は殺人だけは減らす努力がうまくいっていて、それは最近流行りの日本人が誇るべきところだ。なのにこんなに事件報道中心になるニュースはおかしい。もっと他に、憂慮すべき問題、解決すべき課題はあるだろう。