前から思っていたのだが、経済学が分からない。

Skarbus DUS
 年始から株が下がっていたが、また持ち直してきた。それでも日経平均16000円をウロチョロしている。去年は2万円の大台に乗せて、今年は2万5千円も狙えるかと言っていたのに奇怪なことである。

 でも今年の年初の株安は日本のせいではなく、基本的に外国由来のものと言われる。
 まずアメリカのシェール革命によって石油価格が暴落した。日本は石油を買う一方だから、値段が下がって万々歳だと思うのだが、短期的にはデフレマインドによるデメリットの方が多いらしい。そうらしいよ。
 次に中国の市場が安定しない。中東の情勢も安定しない。ヨーロッパの通貨危機もあるという。そういうことで、世界的にいまは「リスクオフ」の流れで、みんなが株から資産を引き上げ、代わりに「比較的安全な資産」である日本円を多く持ち始めたと言う。
 つまり日本円が高く評価された形で、日本人としては誇らしいように思える。ところが、どうも円高は評判が悪い。日本は輸出で立っている国だから、円高になるとものが外国に売れなくて困るそうだ。
 一方、円安になると外国製品の値段が上がる。石油も、小麦も、大豆も、日本はほぼ全部輸入していて、そういうものの値段が上がる。こういうものは、高く買ったから高級品で単位量あたりのカロリーが高いとかそういうことはない。この場合は単純に日本人からお金が奪われるわけだ。だから円安にもデメリットはあると思うが、とかくマスコミでは円高危機の方が叫ばれる。

 民主党時代は株安だったが、円高だった。日本は円が下がると株が上がり、円が上がると株が下がる関係にある。だから、為替を操作して円安誘導すれば、株価は上がる。でもそれは数字上で、ドルベースで見ると行って来いである。

 デフレ時代は、お金を刷ってデフレ脱出すれば日本の景気は良くなると言われていた。でも今は、緩和をしても株高にならない。
 傍目で面白かったのが昨年12月18日の「黒田バズーカ不発」で、日銀政策決定会合の発表が遅れたために「緩和があるのではないか」と言って、昼ごろから株価が急上昇し、10分間で500円ほども上がった。ところが午後になって、予想されたような大緩和ではなくて「補完措置」であったために900円も急落し、結局前日よりも366円安の18,986円で終わった。日銀が動いたために(動くと見せて思ったような動きではなかったために)株価がかえって下がってしまったわけだ。今は1月29日の「マイナス金利」の影響をめぐって株価は上がったり下がったりしている。日銀総裁なんて経済学の神様のような人だと思うが、手を打っても効かなかったり、下手をすると手を打つ前より株が下がったりする。不思議だ。

 今は国が年金を株につぎ込んでいるというのが話題だ。去年の後半には、日本政府は株価が下がれば下がった分だけ年金で株を買うから安心だと言っていたが、だんだん効果が薄れてきた。アベさんは株は短期的には上がったり下がったりするもので、長期的には儲かるから大丈夫だと言っている。しかし結果的に運用が悪ければ年金カットもやむを得ないとも言っている。ひどい。年金の運用が大きく株にシフトした、世界のトレンドに逆らってリスクを取っている。大丈夫ですか。

 一番わからないのは、経済学者同士の意見が割れていることである。お金を刷ったほうがいいのか刷らないほうがいいのか、国の借金は返したほうがいいのかまだまだ返さないでいいのか。国は破産寸前だと継承を鳴らす人もいれば、国の借金と言っても日本人が国債を買っているんだから、ギリシャとは違う、借金じたい存在しないと言う人もいる。
 こんなに正反対の意見が成立し、どちらも学者を名乗っているというのは、他の学問の分野では成立しないような気がする。そういう学問の方針によって日銀や政府の方針が決定し、成功したり失敗したりしている。
 汗水たらして物を作ったり、人にサービスしたりして富を生むのは分かる。人と人を引きあわせて、お互いの資源や技術を使って富を生むのも分かる。貧乏だけど技術を持っている人に投資して、花開いた時に返してもらうのも分かる。でも、単純に金を動かしただけで、金が金を生むものだろうか。そこが分からない。
 よく世界の富裕層上位1%が世界の50%の富を持っているとか言う。でもその「富」とは実在するのだろうか。単に数字上の仮想的な富ではないか。