Facebookで、毎日新聞校閲部の「校閲部ことばブログ」の記事がシェアーされていた。

「タイ」は動植物名だけど、「鯛茶漬け」は料理名だし、料理店では漢字で書いてあることが多かろう。ここは漢字で書いてルビを振るのがいいと思う。新聞本文の文字サイズは往年の文庫本より大きいからルビをふっても十分読めるはず。

Posted by 森 卓司 on 2016年1月1日

 以下は当該記事より。
魚のタイを使ったお茶漬けを「タイ茶漬け」と表記した紙面を見たある読者が、タイの国のお茶漬けかと思い、どんなものかと思ったそうです。なぜ「鯛茶漬け」としないのですか、というご質問をいただきました。こう思われる読者の方は多いと思いますので、このブログでも簡単に理由を説明しておきましょう。

端的に言うと、「鯛」という漢字を使わないことにしているからです。新聞紙面では使える漢字に制限を設けています。国で定めた常用漢字をもとに、新聞業界(具体的には日本新聞協会という業界の団体が代表しています)での合意事項を加味し、新聞各社独自に少し手直しをした範囲で書き表すことにしています。

漢字の知識がある方にとっては、じれったく感じられるかもしれません。しかし、新聞は不特定多数の読者を対象としています。なるべく多くの読者に正確に伝わるようにするには、漢字の制限もやむを得ないだろうと考えています。
 このブログの文章は、読者の質問への回答になってないと思われる。読者は「タイ国の茶漬けと紛らわしい」と思って聞いたのである。つまり、タイ茶漬け(ちなみにGoogle日本語変換では変換しない)と書くことで、かえって誤解が生じているのではないか、と聞いているのだ。
 タイカレーだと分かりやすい。この場合、普通はタイ国のレッド・カレー、グリーン・カレーのことだと思うだろうが、渋谷にあるダイニング・バー「MAMIDO(マミドゥ)」では、鯛のカレーを出しているそうだ。

『ちょっと珍しい鯛カレーがあるお店』by hossyst : MAMIDOO (マミドゥ) - 渋谷/ダイニングバー [食べログ]

 タイラーメンではどうか。これはタイ国のラーメンと鯛で出汁を取ったラーメン、完全にフィフティ・フィフティであると思う。タイ料理と書けば、ほとんどの人がタイ国の料理だと思うのではないか。
 新聞がタイ茶漬けと書くとき、それは読者の分かりやすさのためではなく、単に自社の用字制限に機械的に従っているだけではないだろうか。いや、新聞社の人が、自社の用字制限に機械的に従うことぐらいあっても仕方ないとは思うけど、わざわざブログで「不特定の読者を対象にする新聞がなるべく多くの読者に正確に伝わるようにするため、動植物の名前であるタイは漢字ではなくカタカナで書いている」などと書くのは、かえって不正確ではないだろうか。

 と、思って、たわむれに「鯛茶漬け site:mainichi.jp」で検索してみると、「鯛茶漬け」と漢字表記の記事がいろいろ見つかる。

 *21店が趣向凝らし「鯛茶漬けフェア」 福津 /福岡(2015-05-20 福岡版)
 *ご当地どんぶり選手権:「鯛茶漬け」が悲願のグランプリ(2013-01-20)

 他にも記事中に「鯛(たい)茶漬け」とよみがな付きで載っているのもあった。紙面上はルビを振っているのだろうか。

 「鯛茶漬け 毎日新聞」で検索してみても「ご当地どんぶり選手権:「鯛茶漬け」が悲願のグランプリ」が、「なぜ「鯛」を新聞は「タイ」と書くのか|毎日ことば」よりも上に来る(「毎日ことば」ブログはmainichi-kotoba.jpという独自ドメインを取っているので、さっきの「site:mainichi.jp」で検索できなかった)。

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 「タイ茶漬け 毎日新聞」でも、「ご当地どんぶり選手権:「鯛茶漬け」が悲願のグランプリ」がトップに来る。強いなご当地どんぶり選手権! これは、「タイ茶漬け」を検索すると「鯛茶漬け」を検索するようなシソーラス機能をGoogleが備えているからだろう。

 マイナスによる除外機能を使って、「-鯛茶漬け タイ茶漬け 毎日新聞」で検索すると、ようやく以下の記事に行き当たった。

 *週刊外食倶楽部 | ぐるなび白書 調理時間たった5分でタイ茶漬け /東京
 *日本航空:壱岐・平山旅館のタイ茶漬けが国際線の機内食に - 毎日jp(毎日新聞)

 検索エンジンでなんでも分かるわけではないが、検索した結果、毎日新聞では「鯛茶漬け」表記を禁止はしていず、ていうかどうやら「鯛茶漬け」の方が優勢のようだ。まあそりゃそうか。