1000回で今年のブログはシメるつもりだったが期間限定情報なので特別に書く。
要点をまとめると

 ・エロ劇画の久保書店/あまとりあ社が「劇画あまとりあ」の発刊を記念して「劇画バー」を開いた
 ・明日12月29日までの期間限定
 ・明日はお客さんとして作家の先生も来られるかも

ということだ。
興味がある方は是非どうぞ。

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先日、武蔵小山の薬酒バー「TARUHO」で飲んでいたら、同席したお客さんが、久保書店という出版社でエロ劇画の編集をなさっていて、今度同じビル(コレクションンハウス)の1階で「劇画バー」を開くと言っていた。

目黒区目黒本町のDIYなマンション「コレクションハウス」 - 東京DEEP案内

TARUHOといい、武蔵小山っていう街は変わったバーが開くところだなあ…(間違った感想…)

げきがばーってなんですか、と聞くと、エロ劇画を読みながらお酒が飲めるバーだと言う。
説明を聞いてもわけがわからないよ!
ということで、行ってみたのが12月22日のことだ。

昔「レモンピープル」を出していた久保書店と、終戦直後にに高橋 鐵(たかはし・てつ)という方が性科学の本を出していたあまとりあ社という会社は、実は兄弟会社であって、このたび久保書店から「劇画あまとりあ」という雑誌が出た。
ダーティ・松本さん、早見純さん、三条友美さんの作品からなるアンソロジーで、合間にモーリー・ロバートソンさん、会田誠さん、ロマン優光さん、永山薫さんのエッセイが入っている。
フランスのマンガ本BD(ベデ=バンド・デシネ)にのっとった造本形式ということだ。

手にとってパラパラ読んでみると、匂い立つような昭和エロ劇画の世界であって、それなのに校内暴力、出合い系とかリストカットと言った現代風の題材が出て来るのがタイムトリップ感覚で面白い。
たとえば「ロリコン教師」という言葉を書いても、昭和の昔と現代では意味がぜんぜん違うのだ。

なんと、同じバーのカウンターでお客さんとしてダーティ・松本先生と早見純先生が来られていて、本を買ったら絵付きのサインをしてくださった。
バイオレンス劇画の代名詞であったダーティ・松本先生が、猫耳の萌え少女を描いてくださってビックリ。
ダーティ先生が「俺のサインとか欲しくないでしょ…」と謙遜しておっしゃるので「先生、ぼくは30年越しの読者ですよ。昔は先生の本が、自動販売機に置いてありました」と言うと「エッ自動販売機知ってるの…アナタ、そうとうトシでしょう!」と言われて照れくさくも楽しかった。

家に帰ってじっくり読んでみると、合間のエッセイもモーリー・ロバートソンさんの「わが秘密の生涯」ばりの性遍歴とか書いてあって面白かった。
時代背景を理解するための脚注がいっぱいついていて、「雑誌レモンピープルは最初ロリコンコミック誌と銘打っていたが、吾妻ひでお先生の意見で美少女コミック誌と変更された」と言う脚注が面白かった。
的確な変更! 吾妻先生、先見の明あるな!!!

今日、12月28日も行ってみたら、今年の10月に単行本「少女、変態してゆく」商業誌デビューされた恵那さんという方が来られていて、コミックスを買ったらサインをいただいた。
普通、どんな美少女コミックであっても作家に会うとおっちゃんが描いているものだが、恵那さんは若くてきれいな女性でびっくり。
お話させてもらうと、昔のマンガの話が合って二度びっくりだった。

読んでみたが、いわゆる最近の萌え絵ではない密度の濃い絵で、それでいて女性らしい繊細な柔らかいタッチで良かった。
恵那さんによると、処女作ということで、すごく時間を掛けて描いているので、いろいろな画風が詰まっていて、最初の方の作品はもう納得がいかないという意味のことをおっしゃっていた。
ぼくが書いてるのは技術書ということで、分野は全然違うが、その気持ちはすごくよく分かる。

ということで「劇画バー」とは何か、いっさい分からなくて不安だったが、すごく楽しくて行って良かった。
明日まで開店していて、明日はまたダーティ・松本先生と早見純先生も来られるかもということだ。
壁には三条友美先生の泰西名画ばりの原画が飾られていて、これも見ることができて良かった。

劇画あまとりあ (AMATORIA)