ということで昨日、WOWOWの無料視聴体験を申し込んだおかげで、首尾よくWOWOWで「ノンフィクションW 暗黒のアイドル、寺山修司の彼方へ。~「月蝕歌劇団」30年の挑戦~」を見た。
面白かった!

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WOWOWが月蝕歌劇団の記録映像を撮っているという話は、だいぶ前から聞いていて、舞台を見に行っても確かにビデオカメラを回しているスタッフがいた。
番組自体は40分にまとめられていたが、この40分のためにものすごい長期間、長時間ビデオを撮影している。
ぼくも先日例の睡眠時無呼吸症候群の件でテレビ東京の取材を受けた時、結局2分ほどの出番のために2時間近く回していて、映像の仕事はすごく大変だなあと思った。
月蝕の番組は、長期間に渡る撮影が凝縮されていて、多彩な舞台の様子や、俳優さんや演出の高取さんの素顔が捉えられていて面白かった。

実は観客の一人として、2回ほど取材カメラで撮られていた。
結局使われなかったんだけど(使われなくて良かったんだけど)、そのとき「地下アイドルとアングラ演劇の中間のようで、一粒で二度おいしくていいです」とか「いい意味で女子高の文化祭みたいな感じがいいです」とか話したような気がする。
失礼なことを言ってしまったかと思って、月蝕のみなさんが気を悪くしたらヤバいなと思っていたが、高取さん自身が番組のインタヴューの中で「ぼくが若い頃の文章に、宝塚歌劇よりも宝塚音楽学校の文化祭が見たい、と書いていたけど、ぼくは昔から未完成なものに魅力を感じている」という意味のことをおっしゃっていたから、それほど的外れではなかったのかなーと思った。

映像は練習や場当たりと本番が両方映されて、この舞台が実はこうなっていたんだなー、この美術には実はこういう事情があったのか。。などというのが分かって面白い。
月蝕の物販ではメイキングDVDや場当たりのDVDが売られることがあって、売り子を務める俳優さんが「本当は見てほしくないんだけど。。」と言って売っている。
でも、そういう、夢の裏舞台、書割りの裏面を覗いてみたい、一回表側の演劇を堪能した後に、同じ舞台の裏側を覗き見したいという野次馬根性が、どうしようもなくあって、それでメイキングDVDを買って見ている。
でも、家で漫然と見ていた無編集のメイキングと違って、意図を持って編集されたドキュメンタリーはより一層舞台の闇の奥に入り込んでいて、新しい発見があった。

女優さんのインタビューやプライベート映像もあって面白かった。
前から興味があった若松真夢さんの美術装置の制作風景があってうれしかった。
まさかあのアンドロイドがあんなもので作られているとは。
百津美玲さんの、血糊にまつわる苦労話も聞けて良かった。
これからは俳優さんたちがお見送りに出てくるのが多少遅くなっても待っていようと思った。
高取さんのトークでは「阿呆船」にかたつむりの物語が付け加えられた経緯が面白かった。
はじめてかたつむりの衣装が登場して女優さんたちが「かわいー」「かわいー」と言っているところも良かった。
前から年齢不詳の不思議な魅力に惹かれていた女優さんがあっと驚く二人の子持ちという話にはびっくりした。
でもあらためてテレビの画面で見ると美しかったなー!
ふだんは男前の倉敷あみさんの昼の光の中での映像も超絶かわいくて良かった。
高取さんが女優さんみんなにお父さんのように愛されていることが分かってうらやましいと思った。

40分はアッという間で、もっともっと見たいとも思った。
そして、早く次の公演の劇場に行って、血糊を浴びたりマッチの匂いをかいだりして、毎回違う劇場の空気を生で楽しみたいと思った。

同じ番組を23日と12月7日の深夜に再放送するらしいよ。
ノンフィクションW 暗黒のアイドル、寺山修司の彼方へ。  ~「月蝕歌劇団」30年の挑戦~|ドキュメンタリー/教養|WOWOWオンライン

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