今日もザムザ阿佐谷に月蝕歌劇団「新撰組 in 1944―ナチス少年合唱団―」を観に行った。
初日だ。

Bundesarchiv Bild 146-1982-004-13A, Aufmarsch am Abend der Machtergreifung Hitlers
月蝕はいつも2回公演で、どちらも初日と千秋楽が見たいから、本公演が始まると毎日感想のブログを書かないといけない。
すげえ好きみたいで恥ずかしい。

今日は昼夜公演の間に詩劇ライブ、月蝕パーティという、演者さんにとっては地獄の一日である。
ぼくは詩劇ライブ、月蝕パーティ、夜公演という順番で見た。

詩劇ライブはおなじみ劇中歌を女優陣が歌うという趣向だが、誰がどの歌を歌うかが楽しみである。
この人がこの歌を歌うとこうなるのか〜!
あっ、この人がこの歌を歌うとこうなるのか〜!
というのがあって楽しめる。
歌と、歌っている人のパーソナリティが両方深く理解できるのだ。
今日は倉敷あみさんの「にゃんにゃんにゃんにゃーん」という曲が全力ですごく良かった。
三上ナミさんは自作曲のソロライブ3曲だが、「クラゲ少女」という曲を初めて聴いた。
めちゃくちゃ難しくて素晴らしい曲。
ピアノのリフがクラゲの伸縮運動を思わせる。
変拍子、転調がやたらある曲をラクラクと楽しそうに歌っているのが本当に良かった。

月蝕パーティというのは女優陣が歌い踊り、高取英氏がトークをし、客に茶菓が振る舞われるというイベントだ。
初めて参加した時はパーティという名前で身構えてしまって、カクテルグラスを持っていろんな人とシャレた会話とかしないといけないのかとか思っていたが、当然そういうことはない。
毎回楽しい。
今回は時間がないのでパーティ短縮という荒技に出たようだった。
これはちょっと残念。
劇場の撤収の時間の関係とかあるのかな〜。

高取さんのトークでは、新しく人間性文庫というところから出た「ザ えろちか―青少年のためのセックス入門―」という本の話が出た。
これは1984年に「性度は動く―セックスは文化とヤル」という本として出たのを、文庫化したものということだった。
今回の文庫版は緊縛女性の写真になっているが、「性度は動く」が出た時は、高取さんは女性の唇のアップにしようとしたのに、コウモリ傘とミシンの絵になり、そのカバーが佐伯隆幸氏に褒められた。
「解剖台の上のミシンとこうもり傘の偶然の出会いのように美しい」というのは、ロートレアモン伯爵の「マルドロールの歌」だけど、そういうシュルレアリスムの、難しい感じの表紙にされてしまった。
難しい、まじめくさったものがイイっていう文化は、ぼく(高取氏)みたいな関西人には理解し難い。
月蝕歌劇団はエンターテインメント、娯楽を大事にしている。
エロも暴力も出てくる。
これは(高取氏のような)マンガ評論家が、本来言わないことなんだけど、マンガってのはエロと暴力があるから売れてるんですよ。
みたいな話だった。

さて、ここでようやく本番の芝居「新撰組 in 1944―ナチス少年合唱団―」である。
まだ初日なので内容には触れないが、まあ題名で分かるけど、高取氏お得意の歴史改変SFである。
今回の芝居は新撰組というものへの高取氏の評価、解釈が話のテーマになっていたようだ。
倉敷あみさんがめちゃくちゃ二枚目で、涙を誘った。
あと柴奏花さんと三上ナミさんがめちゃめちゃメインでおおっと思った。
本職が歌手の三上さん、セリフめちゃくちゃ多かったけど堂々としていて感心した。
やっぱ一芸に秀でた人はここぞというときの集中力はすごいな〜。
新撰組もナチスも、耽美的な美少年集団という見方があって、それを美少女集団の月蝕が演じるところが良かった。
美少女度で言えば白咲すみれさんがやっぱすごくて、凛とした感じが良かった。
あと男優陣も良かった。
マンガ家の田村信先生がなかなか出ないな〜と思っていたらすごい登場の仕方をしてビックリ。
あと以前唐組にいたという男優の藤本拓也さんが(ちょっとだけネタバレだが)桂小五郎の役をやっていて、これが教科書そっくりで雰囲気が出ていてウケた。
新大久保鷹さんの怪演もナチスっぽくて良かった。

終演後、鷹さんが話しかけてくださって、聞いたところでは、田村先生の役と鷹さんの役は、いぜん同じ演目をやったときは、元祖の大久保鷹さんが二役でやっていたそうだ。
なるほどー。

明後日までやっている。