今日はひさびさに映画館に行って、『バクマン。』を見てきた。



さいきん映画を見に行っていない。
武蔵小杉という、まあまあ便利な場所に住んでいるのだが、手近な映画館がなくなってしまったのだ。

以前はみなとみらいの109シネマズが便利だった。
新高島駅が最も近いが、みなとみらい線の初乗り料金180円を払うのがいやだから、横浜駅からてくてく歩いていた。
でも閉館してしまった。
桜木町コレットマーレにも、みなとみらいワールドポーターズにも映画館があるが、わざわざ行くのはチト遠い。
うちに一番近いのは渋谷、ということになろうかと思うが、あのおぞましい東急新渋谷駅で降りなければいけない。
前は武蔵小杉にシネコンが出来る、という話があったのだが、ポシャってしまった。
映画って斜陽なんだろうか。

『バクマン。』の実写映画が面白いという話なので、家に近い映画館を調べると、横浜市営地下鉄の「センター北」にあるイオンシネマが結構近いと分かった。
武蔵小杉から日吉までてくてく歩いて、地下鉄で行ってみた。

「センター北」という地名がよく分からない。
その次の地名がセンター南である。
「センター」という駅はないのか?
そもそもセンターって何のセンター?
この市営地下鉄グリーンラインは、他に「日吉」と「日吉本町」とか、「東山田」と「北山田」とか(「山田」はない)、なんか紛らわしい駅名が多い。
だいたい緑の線ってどういう意味なんだろ。
もともとの横浜市営地下鉄がブルーラインらしい。
たしかに横浜市営地下鉄はすごい遠回りするので乗っていてブルーになる。

センター北のイオンシネマはこぎれいなモールの中にある、こぎれいなシネコンである。
しかし、人が少なくて、寂れているような気がした。
平日とはいえ、こんなに人がいなくて維持できるのだろうか。

それにしても、映画館ってなんでこんな大々的でこぎれいなシネコンにしなければならなくなったのだろうか。
昭和の映画館はもっと汚かった。
シネコンはポップコーンやドリンクを売っている店も、小ぎれいで、値段が高い。
そして入場料が高い。
1800円もするのである。
1800円って、なかなか普通の晩ごはんでもそこまでしないよ。
しかも完全入れ替え制である。

昔の映画館は1300円ぐらいしたが(スターウォーズの第1作(エピソード4)が1500円で話題になった)、いつ入っていつ出ても良かった。
地方は2本立てだったので、添え物のプログラムピクチャーの途中に入って、後半を見て、メインの映画を見て、もう一本の前半を見て出てきたりできた。
これが便利で、あんまり時間調整しなくても済んだのである。

東京には名画座がほうぼうにあって、500円で「七人の侍」や「天井桟敷の人々」のような昔の名作や、ゴジラ、ガメラのような好きな人が見る映画をどこかでやっていた。
ほぼ毎週のように見に行っていたのだ。
こうなると「映画を見に行く」という行動が身近なものになるので、ロードショーが多少高くても見ようかという気になる。

映画館が空いているのでか、発表会やセミナーの会場として映画館をお貸しします、という宣伝をやっていた。
そんなことやるぐらいなら、安い値段で昔の映画を掛けたらどうだろうか。
「七人の侍」なんか絶対映画館で見たいし、毎週だれか見に来ると思うけどなあ。

映画館がこんなに割高に感じられるようになったのは、レンタルDVDや映像配信サービスが発達したからだ。
わずかなお金を払えば、家で映画が見られるのは便利なものだ。
一時停止をしてトイレに行って、トイレから戻ってまた再開できる。
宅急便も受け取れるし、買い置きの食べ物も食べられる。
うちのテレビは42インチだが、もっと大きいテレビもそんなに高くない。
それぐらいのテレビを間近で見ていると、あんまり映画館と変わらない気がする。

映画会社の方もあきらめているのか、いまは公開後3ヶ月もすればDVDを出す。
これじゃ見に行く人いないんじゃないだろうか。
じっさい、映画館はほんとに人が少なかった。
製作者はちゃんと資金を回収できているのか、気になる。



「バクマン。」の実写映画化は誠実なデキで、一本の映画としては佳作だったと思う。
しかし、やはりあの長大で濃密なマンガを2時間に収めるのは至難の業だ。
結局どの部分を残しても、あの部分がなかった、と思ってしまう。
ぼくは原作のマンガが大好きで、特にシュージンの彼女の伽耶ちゃんが好きなので、出てこなくて残念だった。
あと、ヒロイン小豆さんのヴィジュアルは、ぼくは勝手に「まゆゆ」で脳内実写化していたので、ちょっとかなりイメージと違った。
小豆ちゃん=まゆゆ、伽耶ちゃん=たかみなで映画化して欲しい。
主人公の男の子2人は演技がナチュラルで良かった。

良かった点は、マンガのペン入れをする部分を実写で、映画館の大スクリーンで見たことだ。
あのペンが紙を滑る音は、原作マンガでは味わえない感覚であり、味わえて良かった。
驚愕のエンドロールといい、制作者の原作愛が感じられて、好感が持てた。
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