集団的自衛権の行使を可能にする新安保法制の議論が始まると、徴兵制になるんじゃないか、という議論が出てきている。


安倍さんの主張としては
また、新安保法制「賛成」の立場の、言ってしまえば右派の論客からも、
つまり、新安保法制を推し進めている人は、本当に徴兵制はありえないと信じていて、全国民にもそう信じて欲しい、左翼のデマにだまされないで欲しいと思っているようだ。
そこでぼくも、ノンポリのいち素人として、本当に徴兵制はありえないのか考えてみようと思う。
自衛隊のできることを増やし、戦争に参加する機会を増やしている。
では自衛隊にはどんどん入隊者が増えるだろうか。
戦争が起こり、自衛隊からも参加する機会が増えると、これまで災害救助だけしていれば良かった自衛隊に入ろうと思っていた人は思いとどまるのではないだろうか。
軍隊に入るのは辛いことだ。
だからこそ、世界の先進国でも徴兵制を取っているのである。
よって、集団的自衛権を使えるようになる=>戦争にコミットする機会が増える=>徴兵制が必要になる、という考えは、それほど突飛ではなく、自然に考察される1つのありそうな未来のオプションである。
また、保守系の政治家、論客からは、老政治家や評論家の「放言」として、さまざまな機会に徴兵制がちらつかされてきた。
本当に関係ない、勘違いであれば諄々と正してくれればいいようなものである。
「徴兵制などという関係ない話をしてすり替えている」と怒るのはスジ違いだ。
あらゆる危険なオプションについて可能性をつぶしておくことは、無駄ではないだろう。
口幅ったい言い方になるが、議論はお互いに人格を攻撃するものではなく、対立する立場が協力してひとつの妥協点を見出すプロセスである。
右派で、特定秘密保護法の成立に寄与した長谷部恭男先生も違反であると言っているのだ。
しかるに、安倍政権の政治家は「憲法学者は憲法の文言にこだわりすぎる」「もう合憲違憲の議論をするのに意味はない」「立憲主義って何ですか」などと放言して、憲法を軽視する立場を鮮明にしている。
憲法なんかあっても気にしないと言っている当のその総理大臣が、憲法で禁止されているから徴兵は出来ないというのはおかしい。
ぼくは日本の自衛隊がどこまでハイテク軍隊かは知らない。
だが、韓国という、スマホやデジカメ、液晶の分野で世界の中でノしているそこそこハイテクな国が徴兵制を取っている。
世界で最もハイテクで、周囲を友好国と海に囲まれているアメリカも取ったり取らなかったりしている。
島国だから、歩兵がいらないから徴兵制は取らない、という意見もあった。
なるほどー、と思った。
でも集団的自衛権の世の中になったら、地球の裏側でも、砂漠でも他国の戦争に加勢しなければならない。
国境がない国でも、国境を守るための兵力を持たなければならない。
それが集団的自衛権だ。
まあぼくなんか全然戦争に詳しくないので、上のような議論を深めることは出来ない。
ただ言えるのは、「Xだから人間はYしない」という議論は、「人間は合理的な行動をする」という前提に立っている、ということである。
人間は合理的か。
歴史の本を見ると、必ずしもそうではないようだ。
なぜあからさまに愚かな戦争をするのか。
なぜ理由のない残虐行為をするのか。
わりと最近までやっていたのである。
人間は愚かである。
だから法律で戒めなければならない。
しかし安倍さんは、それが存外難しかったので、憲法なんて守っても守らなくてもどっちでもいーじゃん、という態度を取ってなし崩しに海外派兵しようとしている。
ガッとした徴兵制は、憲法改正と同様に相当むずかしい。
よって安倍さんは、なし崩しに、からめ手で徴兵制相当のことをやってしまうのではないかという話もある。
これが経済的徴兵制で、社会の貧富の差を強化し、貧乏な家に生まれた若者が戦争にでも行かなければ高い教育が受けられず、生計も立てられない状況に追い込むことで、自然と兵役に着く子供が増えるという。
本当だろうか。
実際アメリカではこれがすでに起こっているそうで『貧困大国アメリカ』という本に詳しく書いているようだ。
ここまで書いてきて告白だが、まだ読んでない。
スミマセン。
読んでみよう。
現代の日本でも、原発の除染作業など、貧困者の受け皿になっている側面がある。
★
徴兵制という言葉を聞くと、ぼくは丸谷才一さんの小説『笹まくら』を思い出す。
これは今まで読んだ小説の中で一番好きなものの1つだ。
しゃれたサスペンス小説なのだが、漂泊する人間の悲しさ、そして歴史の波に飲み込まれていく恐ろしさを、しみじみ感じる。
この本にも書いてあったが、先の大戦で日本人がなぜ唯々諾々と徴兵制や特攻命令に従ったかというと、日本は同調圧力が非常に強いからだという。
ムラ社会の中で、世間の目が怖い、故郷に残してきた家族がどんないじめに合うかわからない、という恐怖で、逃れられなくなってしまうというのだという。
では振り返って現代はどうか。
残業を断れない、有給が取れない。
餓死するほどお金がない人がいる傍らで、過労死するほど働いている人がいる。
福祉制度として確立している生活保護を受けようとすると「恥ずかしいことだという自覚を持て」などと政治家から言われる。
こういう世の中で「平和のために、暴力から子どもたちを救うために、平和創生事業に参加しましょう」などと芸能人がバンバンテレビで言う世の中になったら、誰でもつい流されて銃を取って外国に出かけるかもしれない。
家族が世間様に後ろ指をさされるなら、自分が犠牲になって外国の子供兵士を殺すかもしれないのである。
そう考えると、徴兵制や経済的徴兵制、意に染まない戦争参加を強制されることは、なかなか身近な恐怖に感じる。
- 新安保法制は従来の自衛隊を使って行うため、徴兵制のチョの字も書いていない。まったく出てない、関係ない話を出して恐怖を煽り、反対材料にするのは卑怯である
- 徴兵制は憲法で禁じられている。よって出来ない
また、新安保法制「賛成」の立場の、言ってしまえば右派の論客からも、
- 今の自衛隊は高度に専門化されたハイテク軍隊であって、そのへんで徴発してきたアマチュア軍隊の出番はない。よって徴兵制はありえない
つまり、新安保法制を推し進めている人は、本当に徴兵制はありえないと信じていて、全国民にもそう信じて欲しい、左翼のデマにだまされないで欲しいと思っているようだ。
そこでぼくも、ノンポリのいち素人として、本当に徴兵制はありえないのか考えてみようと思う。
新安保法制と徴兵制は関係ないか
新安保法制は、従来個別的自衛権しか使わない(本土しか防衛しない)としていたところ、世界中どこであっても、たとえ日本に敵意を示していないどの国に対してであっても攻撃できる集団的自衛権の行使を可能にするものである。自衛隊のできることを増やし、戦争に参加する機会を増やしている。
では自衛隊にはどんどん入隊者が増えるだろうか。
戦争が起こり、自衛隊からも参加する機会が増えると、これまで災害救助だけしていれば良かった自衛隊に入ろうと思っていた人は思いとどまるのではないだろうか。
軍隊に入るのは辛いことだ。
だからこそ、世界の先進国でも徴兵制を取っているのである。
よって、集団的自衛権を使えるようになる=>戦争にコミットする機会が増える=>徴兵制が必要になる、という考えは、それほど突飛ではなく、自然に考察される1つのありそうな未来のオプションである。
また、保守系の政治家、論客からは、老政治家や評論家の「放言」として、さまざまな機会に徴兵制がちらつかされてきた。
本当に関係ない、勘違いであれば諄々と正してくれればいいようなものである。
「徴兵制などという関係ない話をしてすり替えている」と怒るのはスジ違いだ。
あらゆる危険なオプションについて可能性をつぶしておくことは、無駄ではないだろう。
口幅ったい言い方になるが、議論はお互いに人格を攻撃するものではなく、対立する立場が協力してひとつの妥協点を見出すプロセスである。
徴兵制は憲法で禁じられているから出来ないか
そもそも新安保法制は、ほとんどの憲法学者、多くのさまざまな分野の学者によって、憲法違反であると言われている。右派で、特定秘密保護法の成立に寄与した長谷部恭男先生も違反であると言っているのだ。
しかるに、安倍政権の政治家は「憲法学者は憲法の文言にこだわりすぎる」「もう合憲違憲の議論をするのに意味はない」「立憲主義って何ですか」などと放言して、憲法を軽視する立場を鮮明にしている。
憲法なんかあっても気にしないと言っている当のその総理大臣が、憲法で禁止されているから徴兵は出来ないというのはおかしい。
自衛隊は高度に専門化されたハイテク軍隊であって、そのへんで徴発してきたアマチュア軍隊の出番はないから、徴兵制はありえないのか
これは高度に戦争に詳しい人から出て来るべき議論である。ぼくは日本の自衛隊がどこまでハイテク軍隊かは知らない。
だが、韓国という、スマホやデジカメ、液晶の分野で世界の中でノしているそこそこハイテクな国が徴兵制を取っている。
世界で最もハイテクで、周囲を友好国と海に囲まれているアメリカも取ったり取らなかったりしている。
島国だから、歩兵がいらないから徴兵制は取らない、という意見もあった。
なるほどー、と思った。
でも集団的自衛権の世の中になったら、地球の裏側でも、砂漠でも他国の戦争に加勢しなければならない。
国境がない国でも、国境を守るための兵力を持たなければならない。
それが集団的自衛権だ。
まあぼくなんか全然戦争に詳しくないので、上のような議論を深めることは出来ない。
ただ言えるのは、「Xだから人間はYしない」という議論は、「人間は合理的な行動をする」という前提に立っている、ということである。
人間は合理的か。
歴史の本を見ると、必ずしもそうではないようだ。
なぜあからさまに愚かな戦争をするのか。
なぜ理由のない残虐行為をするのか。
わりと最近までやっていたのである。
人間は愚かである。
だから法律で戒めなければならない。
経済的徴兵制?
集団的自衛権を日本が行使するには、憲法改正して9条を廃止するのがスジであろう。しかし安倍さんは、それが存外難しかったので、憲法なんて守っても守らなくてもどっちでもいーじゃん、という態度を取ってなし崩しに海外派兵しようとしている。
ガッとした徴兵制は、憲法改正と同様に相当むずかしい。
よって安倍さんは、なし崩しに、からめ手で徴兵制相当のことをやってしまうのではないかという話もある。
これが経済的徴兵制で、社会の貧富の差を強化し、貧乏な家に生まれた若者が戦争にでも行かなければ高い教育が受けられず、生計も立てられない状況に追い込むことで、自然と兵役に着く子供が増えるという。
本当だろうか。
実際アメリカではこれがすでに起こっているそうで『貧困大国アメリカ』という本に詳しく書いているようだ。
ここまで書いてきて告白だが、まだ読んでない。
スミマセン。
読んでみよう。
現代の日本でも、原発の除染作業など、貧困者の受け皿になっている側面がある。
★
徴兵制という言葉を聞くと、ぼくは丸谷才一さんの小説『笹まくら』を思い出す。
これは今まで読んだ小説の中で一番好きなものの1つだ。
しゃれたサスペンス小説なのだが、漂泊する人間の悲しさ、そして歴史の波に飲み込まれていく恐ろしさを、しみじみ感じる。
この本にも書いてあったが、先の大戦で日本人がなぜ唯々諾々と徴兵制や特攻命令に従ったかというと、日本は同調圧力が非常に強いからだという。
ムラ社会の中で、世間の目が怖い、故郷に残してきた家族がどんないじめに合うかわからない、という恐怖で、逃れられなくなってしまうというのだという。
では振り返って現代はどうか。
残業を断れない、有給が取れない。
餓死するほどお金がない人がいる傍らで、過労死するほど働いている人がいる。
福祉制度として確立している生活保護を受けようとすると「恥ずかしいことだという自覚を持て」などと政治家から言われる。
こういう世の中で「平和のために、暴力から子どもたちを救うために、平和創生事業に参加しましょう」などと芸能人がバンバンテレビで言う世の中になったら、誰でもつい流されて銃を取って外国に出かけるかもしれない。
家族が世間様に後ろ指をさされるなら、自分が犠牲になって外国の子供兵士を殺すかもしれないのである。
そう考えると、徴兵制や経済的徴兵制、意に染まない戦争参加を強制されることは、なかなか身近な恐怖に感じる。