先日友人に「株がすごいらしいけど、どうなの」と言われた。
そういえばさらに先日ツイッターで「田舎のおふくろが株ってどうやって買えるのか聞いてきたから、そろそろ手仕舞いかなあと思う」みたいなツイートも載っていた。
ぼくは少々株をやっているが、10万円でも20万円でも株を買ってみると、金が賭かっているので真剣に新聞を読む。
いろいろ見えてくるような気がする。
今日は今時点で自分が思っていることをいろいろ書く。
ところがこれが、人によって見事にバラバラのことを言っているのである。
同じメディアに、ページを連ねて反対のことが書いてある。
たぶん同じ大学でも教室によって正反対の学説が唱えられているのではないだろうか。
物理学や化学ではあまりない状況だ。
天気予報や地震予知でもあまりない。
経済学者、エコノミストの意見を参考にするやり方がいまいちわからない。
思うのは、これだけ色々な意見が出揃うと、人間、自分に都合がいい意見を取捨選択して取り入れるということだ。
こうあって欲しいという意見を、なんとなく偉いっぽい人が難しい言葉で言ってくれると、安心し、ああいい話を聞いたなーと思う。
株を持っていなく、すべての財産をマネー(円)で持っている人は、株なんか暴落するという意見に飛びつく。
株をいっぱい持っていて、いつまでこの好調が続くかヒヤヒヤしている人は、まだまだ大丈夫、2万5千円まで行くという意見に飛びつく。
これは情報でもなんでもないのである。
いろいろなケースについて、「こうなったらどうする」という方針を決めておく必要があるだろう。
いわゆるアベノミクスは大企業優先、金持ち優先の政策だと思っている。
そんなぼくが株なんか買ったら信条に反するのではないか。
毎日新聞を見て、株上がれ、株下がるなと思っていると、いつの間にかアベさん応援団に入ってしまうのではないだろうか。
自分でもそう思っていた。
でも、現実にはそうでもない。
相変わらず政治的にはリベラルだし、アベノミクスには反対だ。
でも、株を少々持っている。
これはどういうことかというと、株を持っていないと、それは全財産を円に賭けることになってしまって、アベノミクスにいいようにやられてしまうと思っているからである。
それは間違いないが、お財布や銀行に入っているマネー(円)もリスク資産だ。
財布の中の千円は、明日も千円だろうか。
実際には同じ千円でも、物の値段が上下するから、価値が変動する。
今、株の値段が上がっているということは、株に対して相対的にお金の価値が下がっている。
だから、株を持つリスク同様に、円を持ち続けるリスク(株を持たないリスク)もあるということだ。
じっさい、円安で海外製品が値上げしているし、原材料費が上がっているから食品なども値上げしている。
ということは銀行預金の価値も下がっているということだ。
それを食い止めるために、自分で決めた割合の金を株に変える、という考え方もある。
これは東証一部に上場している企業から225社を選んで株価の平均を取ったものだ。
まず、有名な、大企業の株ばっかり選ばれている。
大企業の景気がいいからといって、中小企業の景気がいいとは限らない。
日本全体で見れば、中小企業の方がはるかに多いのである。
次に、一株あたりの株価の平均という変な計算をしている。
百株しか出していない会社の株価が10万円かもしれないし、一万株出している会社の株価が100円かもしれない。
この2社の平均を取ると50050円になる。
これって何の意味があるのだろうか。
単純平均しているので、高い価格の株の影響度がすごく大きい。
もうちょっと経済の実態を映していると思われる指数がTOPIXと言って、こっちは東証一部に上場している会社全部の時価総額を加重平均している。
現在、日経平均こそ大変伸びているものの、TOPIXの伸びはいまいち低い。
つまり、大企業の株価(時価総額ではなく1株あたりの値段)が伸びているだけで、株価全体が高いとは言えない。
2万円超えで狙いはTOPIX? 株価占う「NT倍率」とは | THE PAGE(ザ・ページ)
だからドル建てで換算すると20000÷120で166ドルとかである。
民主党時代の2011年8月の日経平均8400円はだったが、1ドル76円とかだった。
だからドル建てで換算すると8400÷76で110ドルとかだ。
2万円対8400円で比較するとすごい差があるようだが、ドル建てで比較すると大した差がない。
つまり、いま株の値段が上がっているからただちに日本企業の価値がすごく上がっているというわけではなく、物の値段を決めるお金(円)の価値が下がっていることも合わせて考える必要がある。
喜ばしいことである。
しかし、春闘に対して回答があったということは、労働組合がある大企業の給料が上がっている、ということに過ぎない。
日本は組合の組織率が低く、大多数の中小企業では春闘に参加せず、ベースアップがあったかどうか分からない。
また、給料も上がっているが、物価も上がっている。
今は円高の影響で輸入品も原材料費も上がっているので、物価は上がっている。
(原油は下がっていて、このいい影響がもうすぐ現れるとのことだが)
また、消費税も上がっている。
この両方をカバー出来るだけの賃上げかどうか。
まず日本銀行が量的緩和(国債を買って銀行や政府にお金を流すこと)をやっていて、金余りの状態を作っている。
次にGPIFなどの機関が、国民の年金の積立金を使って株を買う率を増やしている。
だから短期的には株は上がり続けるとも思えるし、でも長期的にはこんなこといつまでも続かないとも思う。
では、実体経済の裏打ちもなく株価が上昇する状況は「バブル」といえるのだろうか。
バブルというのはぼくぐらいの年代では良く覚えているが、日本では1980〜90年代に起きた、本来以上に景気が良く見える状態である。
お互いに金を貸し合って、土地の値段や株の値段がどんどん上がる。
オランダでは昔チューリップバブルというのがあって、球根1個が家より高かったそうだ。
あぶくであるから、いつかはじける。
日本でバブルが弾けたときは大変な騒ぎになって、自殺者が大勢出た。
二度と繰り返してはならない。
だから株価がグッと上がると「これはバブルではないか」という恐怖心が湧く。
前の日曜日の「日曜討論」ではこの件が話題になって、2人の専門家の間で見事に見解が割れていて面白かった。
一方の専門家の人は「PER(1株あたりの利益率という指標)がまだ全然低いからバブルというには当たらない。これまでの株価が低すぎた」という見解だ。
もう一方の人が言うには「バブルと言うのは、他の人が株や土地を買っているからと言って、よく分からずに買ってしまう状態のことで、そういう意味では今はバブルというのが当てはまる」ということだ。
後者の専門家の意見が自分のことを言われているようで耳が痛かった。
くだくだと書いてきたところだが、じゃあこの株高は続くのか続かないのか、それに対して我々はどうするべきかについては「まったくわからない」としか言えない。
そもそも分かる人がいたらその人は大儲けである。
ぼくがもし分かっていたらこんなところにうだうだ文章を書いていないで自分ひとり大儲けする。
株が下がる方に掛ける空売りという賭け方も出来るのだ。
だが、「わからないなら株なんか手を出すもんじゃない」とも一概にいえない。
現金もリスク資産であり、日本株を持たないリスクもあるからである。
そういえばさらに先日ツイッターで「田舎のおふくろが株ってどうやって買えるのか聞いてきたから、そろそろ手仕舞いかなあと思う」みたいなツイートも載っていた。
ぼくは少々株をやっているが、10万円でも20万円でも株を買ってみると、金が賭かっているので真剣に新聞を読む。
いろいろ見えてくるような気がする。
今日は今時点で自分が思っていることをいろいろ書く。
経済学者、エコノミストは意見が割れる
こういう普段と変わった状況が起こると、毎日経済学者やエコノミストが新聞やテレビでいろいろ発言する。ところがこれが、人によって見事にバラバラのことを言っているのである。
同じメディアに、ページを連ねて反対のことが書いてある。
たぶん同じ大学でも教室によって正反対の学説が唱えられているのではないだろうか。
物理学や化学ではあまりない状況だ。
天気予報や地震予知でもあまりない。
経済学者、エコノミストの意見を参考にするやり方がいまいちわからない。
思うのは、これだけ色々な意見が出揃うと、人間、自分に都合がいい意見を取捨選択して取り入れるということだ。
こうあって欲しいという意見を、なんとなく偉いっぽい人が難しい言葉で言ってくれると、安心し、ああいい話を聞いたなーと思う。
株を持っていなく、すべての財産をマネー(円)で持っている人は、株なんか暴落するという意見に飛びつく。
株をいっぱい持っていて、いつまでこの好調が続くかヒヤヒヤしている人は、まだまだ大丈夫、2万5千円まで行くという意見に飛びつく。
これは情報でもなんでもないのである。
いろいろなケースについて、「こうなったらどうする」という方針を決めておく必要があるだろう。
政治的信条と経済的行動は矛盾することがある
ぼくはせいせいリベラルな政治的信条の持ち主であって、戦争反対だし、原発にも懐疑的だ。いわゆるアベノミクスは大企業優先、金持ち優先の政策だと思っている。
そんなぼくが株なんか買ったら信条に反するのではないか。
毎日新聞を見て、株上がれ、株下がるなと思っていると、いつの間にかアベさん応援団に入ってしまうのではないだろうか。
自分でもそう思っていた。
でも、現実にはそうでもない。
相変わらず政治的にはリベラルだし、アベノミクスには反対だ。
でも、株を少々持っている。
これはどういうことかというと、株を持っていないと、それは全財産を円に賭けることになってしまって、アベノミクスにいいようにやられてしまうと思っているからである。
株同様、円もリスク資産である
株は上がったり下がったりするから、リスク資産だ。それは間違いないが、お財布や銀行に入っているマネー(円)もリスク資産だ。
財布の中の千円は、明日も千円だろうか。
実際には同じ千円でも、物の値段が上下するから、価値が変動する。
今、株の値段が上がっているということは、株に対して相対的にお金の価値が下がっている。
だから、株を持つリスク同様に、円を持ち続けるリスク(株を持たないリスク)もあるということだ。
じっさい、円安で海外製品が値上げしているし、原材料費が上がっているから食品なども値上げしている。
ということは銀行預金の価値も下がっているということだ。
それを食い止めるために、自分で決めた割合の金を株に変える、という考え方もある。
日経平均が高いから株価全体が高いわけではない
いま高い、2万円を15年ぶりに突破した、と言っているのは日経平均株価という指標である。これは東証一部に上場している企業から225社を選んで株価の平均を取ったものだ。
まず、有名な、大企業の株ばっかり選ばれている。
大企業の景気がいいからといって、中小企業の景気がいいとは限らない。
日本全体で見れば、中小企業の方がはるかに多いのである。
次に、一株あたりの株価の平均という変な計算をしている。
百株しか出していない会社の株価が10万円かもしれないし、一万株出している会社の株価が100円かもしれない。
この2社の平均を取ると50050円になる。
これって何の意味があるのだろうか。
単純平均しているので、高い価格の株の影響度がすごく大きい。
もうちょっと経済の実態を映していると思われる指数がTOPIXと言って、こっちは東証一部に上場している会社全部の時価総額を加重平均している。
現在、日経平均こそ大変伸びているものの、TOPIXの伸びはいまいち低い。
つまり、大企業の株価(時価総額ではなく1株あたりの値段)が伸びているだけで、株価全体が高いとは言えない。
2万円超えで狙いはTOPIX? 株価占う「NT倍率」とは | THE PAGE(ザ・ページ)
株価が高いから株の価値が高いわけではない
現在日経平均が2万円で1ドルが120円ぐらいだ。だからドル建てで換算すると20000÷120で166ドルとかである。
民主党時代の2011年8月の日経平均8400円はだったが、1ドル76円とかだった。
だからドル建てで換算すると8400÷76で110ドルとかだ。
2万円対8400円で比較するとすごい差があるようだが、ドル建てで比較すると大した差がない。
つまり、いま株の値段が上がっているからただちに日本企業の価値がすごく上がっているというわけではなく、物の値段を決めるお金(円)の価値が下がっていることも合わせて考える必要がある。
賃上げで給料が上がっているか
今年は春闘が奏功して給料がベースアップされたと報道されている。喜ばしいことである。
しかし、春闘に対して回答があったということは、労働組合がある大企業の給料が上がっている、ということに過ぎない。
日本は組合の組織率が低く、大多数の中小企業では春闘に参加せず、ベースアップがあったかどうか分からない。
また、給料も上がっているが、物価も上がっている。
今は円高の影響で輸入品も原材料費も上がっているので、物価は上がっている。
(原油は下がっていて、このいい影響がもうすぐ現れるとのことだが)
また、消費税も上がっている。
この両方をカバー出来るだけの賃上げかどうか。
官製相場
今回の株高の大きな要因は、国が株価を押し上げようとしているということだ。まず日本銀行が量的緩和(国債を買って銀行や政府にお金を流すこと)をやっていて、金余りの状態を作っている。
次にGPIFなどの機関が、国民の年金の積立金を使って株を買う率を増やしている。
だから短期的には株は上がり続けるとも思えるし、でも長期的にはこんなこといつまでも続かないとも思う。
今はバブルか
このように、実質的な企業の価値や庶民の金遣いにあまり連動しない今回の株高だ。では、実体経済の裏打ちもなく株価が上昇する状況は「バブル」といえるのだろうか。
バブルというのはぼくぐらいの年代では良く覚えているが、日本では1980〜90年代に起きた、本来以上に景気が良く見える状態である。
お互いに金を貸し合って、土地の値段や株の値段がどんどん上がる。
オランダでは昔チューリップバブルというのがあって、球根1個が家より高かったそうだ。
あぶくであるから、いつかはじける。
日本でバブルが弾けたときは大変な騒ぎになって、自殺者が大勢出た。
二度と繰り返してはならない。
だから株価がグッと上がると「これはバブルではないか」という恐怖心が湧く。
前の日曜日の「日曜討論」ではこの件が話題になって、2人の専門家の間で見事に見解が割れていて面白かった。
一方の専門家の人は「PER(1株あたりの利益率という指標)がまだ全然低いからバブルというには当たらない。これまでの株価が低すぎた」という見解だ。
もう一方の人が言うには「バブルと言うのは、他の人が株や土地を買っているからと言って、よく分からずに買ってしまう状態のことで、そういう意味では今はバブルというのが当てはまる」ということだ。
後者の専門家の意見が自分のことを言われているようで耳が痛かった。
くだくだと書いてきたところだが、じゃあこの株高は続くのか続かないのか、それに対して我々はどうするべきかについては「まったくわからない」としか言えない。
そもそも分かる人がいたらその人は大儲けである。
ぼくがもし分かっていたらこんなところにうだうだ文章を書いていないで自分ひとり大儲けする。
株が下がる方に掛ける空売りという賭け方も出来るのだ。
だが、「わからないなら株なんか手を出すもんじゃない」とも一概にいえない。
現金もリスク資産であり、日本株を持たないリスクもあるからである。