今日で一応入院記をまとめる。

退院時、入院していた病院のドクターから、A4のずっしりした茶封筒をもらった。
封緘していて中身は見えない。
表書きには「○○クリニック 担当医師 足下」と書かれていた。
この足下って敬称、医者の紹介状いがいに見たことないけどどういう意味なんだろう。

20150302fujisan
退院した次の週に、封筒を持ってかかりつけのクリニックに行った。
この病院は月イチで掛かっているところで、二ヶ月に1回血液検査をしてもらっている。
毎朝飲んでいる高脂血症の薬と、糖尿の薬、そして毎晩飲んでいる眠剤、あと花粉症シーズンは朝晩飲んでいるアレルギーの薬を処方してもらっている。
茶封筒を出して以下のことを述べた。

 ・1月21日に下血になったこと
 ・救急車を呼んでxx病院に緊急入院したこと
 ・マーゲンチューブを鼻に入れたが胃液はきれいだったこと
 ・ウィルス性感染症の疑いがあったので隔離されたが、糞便を培養した結果陰性であったこと
 ・点滴と注射を入れて症状は収まったこと
 ・大腸カメラを入れて大腸に憩室が数個と良性ポリープが1つあると言われたこと
 ・胃カメラを入れて胃はキレイだと言われたこと
 ・一週間の絶食、絶飲を経て回復食から普通食に戻し、結局13日入院し、2月3日に退院したこと
 ・入院の後半は、貧血が治らないので鉄剤を服用したこと
 ・入院中ずっと血糖値が高過ぎると言われ、インスリンを最大1日4回投与したこと
 ・最初は頭痛がしたが、睡眠時無呼吸症候群の治療具CPAPを使ったら直ったこと
 ・最後の方全身が痒くなり、いまだに治らないこと

クリニックのドクターは、書類をひと通り見て以下のような所見を述べた。

 ・下血の原因は憩室炎であろうと推測されている
 ・確かに写真に憩室は見える
 ・憩室は大腸に出来るエクボのような凹みで、そこに便秘便が引っかかると動脈が裂けて下血になることがある
 ・糖尿は昨年12月の検査まで、特にひどいという感触は持っていなかった
 ・おそらく大出血したので、体が防御反応として血糖値を上げたのだと思う
  (シマウマがライオンに追われている時血糖値が上がるようなものだということだ)
 ・これからインスリンを使うのかはわからない。次回の診断で血糖値を見て決めよう
 ・貧血は大出血で失った赤血球を取り戻せなかったからだと思う
 ・1回めの血液検査と2回めの血液検査の???という指標が(失念した)それを示している
 ・全身の痒みは、あなた(ぼく)がおっしゃる通り、病室の乾燥や使い慣れない石鹸によるものだと思う
 ・肝臓癌の予兆のような深刻なものではない。それなら眼球に黄疸が先に出るはず

病院について、「ずいぶん遠くまで連れて行かれたんだねえ」と言われた。
ぼくは答えて
 ・救急救命士さんが病院に携帯で??病院(家の近所の大学病院)に当たった
 ・しかし「大部屋がいっぱいだから、差額ベッド代が払えないなら断る」と言った
 ・救急救命士さんが他の病院に「差額ベッド代が苦しいとおっしゃってるんですが」と言いながら問い合わせると、7件ぐらいの病院に断られた
 ・8件目で(意識が朦朧としていたので定かではないが)xx病院のドクターが、ぼくを電話口に出させた
 ・そして「うちも大部屋は開いていないけど、ERで受診は出来るから来てみますか」と言われたので、行った
 ・そして「下血、下痢なので、感染症の疑いがあるから、個室に隔離します。病院都合ですので差額ベッド代は発生しません」と言われた
 ・結局大部屋は空かなかったと見えて、追加料金無しに13日間個室に泊まった
と言った。
クリニックのドクターは、それは「あるある」である、海外旅行でエコノミーが満席でビジネスにグレードアップシてくれたみたいなもので、ラッキーだったね、と言われた。
差額ベッド代が払えないなら断る、という救急病院の物言いは合法なのか、この場合差額ベッド代および「個室に入るのを希望します」という同意書への署名を拒否することは可能か、と聞いたが、クリニックのドクターはよくわからない、とのことだった。

この件は厚労省なり、川崎市なりの機関に電話して聞こうと思う。
じっさい、ホットなトピックであって「緊急入院 差額ベッド 同意書」でググると沢山のページに当たる。

まずは一般論。

鳥取県のページから。
差額ベットの料金請求についての相談 /医療指導課/とりネット/鳥取県公式サイト
医者は懇切丁寧に差額ベッドの何たるかについて聞かなければならず、同意書を得なければならない、と書いている。
しかしぼくはこの説明では納得しがたい。
ぼくの場合「差額ベッド代が払えないなら入院は出来ない」と病院に言われたので(正確には直接言われたのは救急救命士)、診療を受ける以前に門前払いされているのだ。

こちらは「ダイアモンド・オンライン」のもの。
あなたが払った差額ベッド料は取り戻せる!?トラブル回避のために覚えておきたい3つの条件|男の健康|ダイヤモンド・オンライン
かなり詳しいが、やはり一般論の域を出ない。


ぼくが知りたいのは以下の点である。
 ・「緊急入院は差額ベッド云々のことで断れないはずですよ」と言い張って救急車に強行突破してもらえるか
 ・「個室ですか、しょうがないですね。個室じゃないと見てもらえないんですか。じゃあ個室でいいです」と言質を取っておいて、いざ支払う段になって「個室じゃないと見てもらえないと言ったんだから、病院都合なはずだ」と言っていいものなのか
 ・同意書って診療が済んで、個室に落ち着いてから署名させられるのか。それとも血をダラダラ流しながらストレッチャーで運び込まれたときに「この門を通るならまず同意書にサインしてもらいましょうか」と事務の人が仁王立ちで書類を突きつけてくるのか
 ・その時点で拒否したらもう一度救急車に乗って別の病院に行くのか。(行けるのか?)
このへんが、どのサイトを見てもよく分からない。

次に個人ブログ。
この人は
(1)同意書にサインして入院
(2)退院時にレセプトをもらって差額ベッド代を発見
(3)厚労省に電話し「このケースは差額ベッド代は払わなくていいはず」という言質を取る
(4)支払い窓口でゴネて、差額ベッド代以外の医療費についてのみ請求書を切り直させ、そのぶんはキッチリ支払い
(5)後日病院から「今回は払わなくていい」と言われる
という流れのようで、完全勝利だ。
差額室料(差額ベッド代)について。 - doubtwayoflifeの日記
これはかなり最強の例である。
同意書にサインしても取り返したってのは相当心強い。

最後にWikipedia。
差額室料 - Wikipedia

差額ベッドの最高額は慈恵医大病院の1日21万円だそうだ。
ひえー!
政治家とかが泊まるんだろうか。

他にも、同意書をつきつけられて署名させられるときに、署名の横に「大部屋希望!」と大書すればいいという珍アイディアを含む記事もあって笑った。
差額ベッド代とは?入院費用を抑えるために知っておくべき基礎知識

いろいろ読んでいてわかったが、この差額ベッド半強制の流れは、病院の経営が苦しく、差額ベッド代で稼いでいるという側面があるということらしい。
でも、それはおかしい。
差額ベッド室は本来患者が希望して入るべきものなのに「差額ベッドでいいですか」と病院の方から言ってきて、血をダラダラながして意識がフラフラしている患者に、同意書に署名させて入院させるのは、患者を騙していると言われてもしょうがない。
患者をだまして儲けることが、苦しい経営のために仕方なくやっているんです、というのは、道理が通らないのではないか。
それなら最初から基本料金を上げれば済む話である。
適正価格では勝負できないからだまし討ちでやってます。
それはまっとうな商売と言えないのではないか。

なお、共産党系の民医連の病院は差額ベッドを取らないことを謳っているそうだ。
全日本民医連

しょうじき、入院する時に差額ベッド代を払う払わないでモメて、強行突破して入院しても、それが原因で病院の人に冷たくされたらかなわない。
だったら、救急救命士の人に辛抱強く「差額ベッドに入れられない病院を探してもらえますか」と言うのがいいかもしれない。
でも、お金が余っている人はドーンと払えばいいかもしれない。
しょうじきぼくが乗った救急車の救急救命士さんは「面倒な患者だなァ」、「死ぬか生きるかの時にカネの話かよ」みたいな空気をビンビンに出していた。
朦朧とした意識の中で、救急救命士さんがぷりぷり怒っているのはツライ経験だよ。
ぼくは恥がないから誰にどう思われようがかまわないが、気が弱ければここで面倒になって差額ベッド代を受忍することになるかもしれない。
まあ、誰が悪いというものではなく、世の中のバグである。
引き続き出来る範囲で追求したい。

他に今回の入院の反省点を書く。

大家さんに血まみれの部屋を拭いてもらったのは今思えばまずかった。
ウィルス性感染症の可能性に思い至らなかったのである。
これはぼくのまったく不徳のいたすところであった。
今後は、便利屋さんに完璧な防御で行ってもらえばいいと思うし、万一感染症であれば、行政や消防署のレスキューが頼れるのかもしれない。

一方、ミニショルダーをいつも持ち歩いていて良かった。
財布、クレジットカード、iPhone、保険証、いつも飲んでいる薬を持ち歩いていた。
最低これだけ持っていればなんとかなる。
もう一つ、iPhoneのAC充電器を持っていれば良かったと思う。

ただぼくは、身の回りの物や着替え一回分をまとめて、今回姉がくれたショルダーバッグに入れておくことにした。
防災袋ならぬ、入院袋である。
これを玄関のそばにおいているので、何かあったらすぐに取ってきてもらえばいいと思う。
今回、いつ病気になって緊急入院するかしれないということが分かったので、この習慣は続けよう。

以上がぼくの入院記だ。
急性の、あっという間になおった病気であって、もっと深刻な病気に罹った人からは、そんな程度のことで何をガタガタ騒いでいるのかと思われるかもしれない。
しかし、普段とはまったく違う環境に強制的に置かれることであって、いろいろな驚き、気付きがあった。
前もって身構えができていればもう少しストレスが減ったかもしれない。
そう思って、備忘録および読者の方の参考用に、あえて長々と書いたものである。