睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状を緩和する、一種の人工呼吸器、CPAP(シーパップ)を病院でも装着するため、便利屋さんを頼って持ってきてもらった。
これでこの日から装着出来るが、もう一つ問題があった。
これでこの日から装着出来るが、もう一つ問題があった。
CPAPというのは、寝るとき鼻を覆うゴムのマスクを付け、そこに機械からエアーを入れる。
マスクは顔にゴム帯で固定する。
ぼくはこれが気になって眠れないたちだ。
ていうか普通気になるよ!
ぼくの場合、主に苦痛に感じるのは「痒み」だ。
もともとアレルギー体質で、こらえ性がないので、ゴムが顔に触れている部分が痒くなる。
睡眠の質を改善すべき器具を装用するのに、かえって睡眠を妨げられていた。
そこで、かかりつけの医者に相談し、眠剤(みんざい。睡眠薬のこと)を処方してもらっていた。
睡眠薬にはいくつか種類があるが、睡眠導入剤という、すぐに効いてすぐに効き目がなくなるやつを使っていた。
導眠剤とも言う。
最初の取っ掛かりさえ掴めば、あとは自然に眠れる。
理科の実験に出てきた、静摩擦係数と動摩擦係数のようなものである。
ぼくの場合レンドルミンと、マイスリーを1錠ずつ、2種類飲んでいた。
それを入院している病院のドクターに言った。
すると、点滴も取れたし、注射もやめたし、普通食に戻ったので、普段かかりつけ医に処方されているやつを飲んでください、糖尿と高脂血症の薬も飲んでください、と言われた。
入院8日めの1月29日のことである。
ぼくはミニショルダーに、普段飲む薬をひと通りピルケースにつめて入れていた。
薬がなくなった時に処方してもらえるように、PTP(press through pack、錠剤が入っている押すと出てくるパッケージのこと)の一部を切り抜いて、薬の名前と容量が分かるようにしていた。
それをナースに見せると、1個1個「これは何のクスリですか」、「これはいつ飲むんですか」と聞かれた。
ネシーナ(糖尿の薬)と、ベザネフィード(高脂血症の薬)が朝食後。
レンドルミンとマイスリー(導眠剤)が寝る前。
それだけ言えばいいかと思ったのだが、他の薬も教えろというので、頓服の頭痛薬と胃薬です、とか、あとはサプリ的なものですが、もう飲んでませんとか答えた。
すると、ナースが、付箋紙とセロテープでデコってくれて、これで間違いないですか、と持ってきてくれた。
すげーな。
これで間違いありませんというと、じゃあドクターに確認します、と言って、また持って行かれてしまった。
で、またナースがやってきて「ドクターのオッケー出ましたので、今日から普段通り飲んでください」と言う。
退院前に飲みきってしまうと言うと、そのぶんは改めて処方しますだそうだ。
とりあえずピルケースを持っていて良かった。
ということで、ついにCPAPをセットした。
家では畳敷きの部屋に投げ出しているのだが、病院ではエアコンのダクトのスペースにちょうどよくセット出来た。
病院は21時半に消灯する。
6時半に点灯する。
最初は、この時間に寝て起きるのが正しい人の道かと思って、がんばっていたが、絶対に無理だと分かった。
せいぜい23時ぐらいまでは起きていないと、眠れないし、いやな時間に途中でおきてしまう。
23時に一回ナースが血糖を測りに来るので、それが済んだら寝ようと思った。
最初はネタフリしていたりしたのだが、それも意味ないので、「11時まで寝られないんです」と言うようにしていた。
それで思い出したのだが、近所の部屋に、耳が遠い老人が入院しているらしく、ナースと患者の話し声がたまに聞こえた。
で、15時ぐらいに「xxさん、いま寝ないで! 今は起きて、夜に寝て! また眠剤出さないといけなくなるから!」というナースの声が聞こえた。
これはマンガ「おたんこナース」や「アル中病棟」にも出てくる「病院あるある」だが、実際に病院で聞けるとは思わなかった。
入院患者は、常にベッドに寝ているから、睡眠が不規則になる。
昼夜逆転すると、いろいろと社会的に障害が出てくるので、なるべく早寝早起きをキープした方がいいし、ドクターやナースの検査や施術も昼中心に動いているのである。
ぼくの場合、これは入院する前からなのだが、CPAPを付けないで昼寝すると、ちょっとならいいのだが、1時間を超えて寝ていると頭痛がする。
血中のCO2濃度が増えるので、酸欠になって頭痛になるらしい。
体を休めるべき睡眠が、かえって体を傷つけているのだ。
23時になって、ナースが血糖値を見に来た。
まだ寝ないんですかと言うので、導眠剤を飲んで、CPAPを付けて寝ますと言って、マスクを装用するところを見せた。
ナースも職業上興味があるようなので、いろいろ説明した。
で、ベッドを最適な形にリクライニングし、導眠剤を飲み、あと音楽を聞きながらだと寝やすいのでイヤホンを付け、マスクを装用して、寝た。
ぼくが使っているのはAuto CPAPという機能がついていて、マスクを付けて呼吸すると、それを検知してCPAPのスイッチが入る。
寝入りばなの5分ぐらいはゆるやかにエアーが出て、完全に睡眠状態に入ると本式に稼働する。
それでも、自力で呼吸しているときはそれほど強いエアーが出ず、呼吸が止まるとそれを検知してフルパワーになる。
あと、寝ている途中にマスクを外すと(エアーが漏れてゴーという音が出る)アラームが鳴って、それでも再装用しないとエアーが切れる。
そういう機能がついたハイテク機である。
もっとすごいBiPAPというのもあって、エアーを送ってくる(無理矢理吸わせる)だけでなくて、エアーを吸い込む(無理矢理吐かせる)機能があるやつもある。
ぼくは個人輸入で、自分でパラメーターを設定して使っているので、BiPAPではなくAuto CPAPを使っているが、むかし専門医に処方されていた固定圧のCPAPよりもこっちのほうがはるかに快適だ。
ということで23時に寝た。
翌朝6時半に眼が覚めた。
わざとらしいようだが、本当に絵に描いたように熟睡出来た。
頭痛も完治している。
SASの症状が極限まで進行した時にCPAPを付けると余計に効くようだ。
朝までマスクを着けていたのもめずらしい。
あと、こういうことを書くのはどうかと思うが、科学の話なのでしょうがないから書くが、いうところのアサダチ現象があった。
以前から記録しているので知っているのだが、これはSASの進行度と密接に関係がある。
いわゆるED患者がかなりの割合でSASを患っているという話である。
同病の人は注意されたい。
ナースがバイタルを測りに来た。
パルスオキシメーターの値を見ていると、99になった。
「これって相当いいんじゃないですか」
と聞いてみると「あっそうですね。良好です。前は96とかでしたもんね」と言う。
「やっぱりCPAPが効いてるみたいですね」というと「そう思います」とのことだった。
アサダチ現象がありましたとかは特に言わなかった。
とりあえずグッスリ眠れ、目覚めも爽快で、頭痛が劇的に治ってよかった。
CPAPを装用すると、パルスオキシメーターの値が変わるというのはいい発見だった。
(血糖値も改善されるかと思ったが、それは全然変わらなかった)
CPAPが効いて喜んでばかりもいられない。
これだけ奏効するということは、SASが治っていないということだ。
ぼくはCPAPを個人輸入してから、5年ほども病院に通っていず、検査をしていないし、CPAPを着けるのもサボり気味だったので、いまだにSASなのか、もう治っているのか、良く分からない状態だったのである。
しかし、これだけひどい頭痛になり、それがCPAPを着けるとこれだけ治ったということは、やはりSASは進行中であり、CPAPの装用が重要であるということだ。
日本の病院に通ってCPAPを貸与してもらうと、重症認定で保険が効いても月々5千円払わなければならない。
1回検査すると3万円だ。
(この検査費用は病院によって違い、ぼくの掛かったSASの専門病院は特にボッタクリだったと今になれば思われる。もっと安い病院はあるらしい)
最初の3年間は病院に通っていたので、5千円のレンタル費用だけでも18万円、検査を3回したので27万円取られた。
月に1回5千円払いに行って1分ほど診察してもらうのも大儀だったのである。
それで堪忍袋の緒が切れてCPAP個人輸入に踏み切った。
この過程はこのブログに詳しく書いてある。
それから5年になる。
個人輸入のCPAPはいろいろサプライ品も含めて8万円ほどだった。
もし5年間病院に行っていたらさらに30万円取られていたところである。
つばを飛ばしてお金の話をしていて卑しいようだが、働いて得たお金を取られるのは命を削られるのと一緒である。
医者に悪意はないと信じたいが、日本のSASの治療体制には改善の余地が大いにある。
また、同病の方はCPAPの個人輸入という道があることを知ってもらいたい。
マスクは顔にゴム帯で固定する。
ぼくはこれが気になって眠れないたちだ。
ていうか普通気になるよ!
ぼくの場合、主に苦痛に感じるのは「痒み」だ。
もともとアレルギー体質で、こらえ性がないので、ゴムが顔に触れている部分が痒くなる。
睡眠の質を改善すべき器具を装用するのに、かえって睡眠を妨げられていた。
そこで、かかりつけの医者に相談し、眠剤(みんざい。睡眠薬のこと)を処方してもらっていた。
睡眠薬にはいくつか種類があるが、睡眠導入剤という、すぐに効いてすぐに効き目がなくなるやつを使っていた。
導眠剤とも言う。
最初の取っ掛かりさえ掴めば、あとは自然に眠れる。
理科の実験に出てきた、静摩擦係数と動摩擦係数のようなものである。
ぼくの場合レンドルミンと、マイスリーを1錠ずつ、2種類飲んでいた。
それを入院している病院のドクターに言った。
すると、点滴も取れたし、注射もやめたし、普通食に戻ったので、普段かかりつけ医に処方されているやつを飲んでください、糖尿と高脂血症の薬も飲んでください、と言われた。
入院8日めの1月29日のことである。
ぼくはミニショルダーに、普段飲む薬をひと通りピルケースにつめて入れていた。
薬がなくなった時に処方してもらえるように、PTP(press through pack、錠剤が入っている押すと出てくるパッケージのこと)の一部を切り抜いて、薬の名前と容量が分かるようにしていた。
それをナースに見せると、1個1個「これは何のクスリですか」、「これはいつ飲むんですか」と聞かれた。
ネシーナ(糖尿の薬)と、ベザネフィード(高脂血症の薬)が朝食後。
レンドルミンとマイスリー(導眠剤)が寝る前。
それだけ言えばいいかと思ったのだが、他の薬も教えろというので、頓服の頭痛薬と胃薬です、とか、あとはサプリ的なものですが、もう飲んでませんとか答えた。
すると、ナースが、付箋紙とセロテープでデコってくれて、これで間違いないですか、と持ってきてくれた。
すげーな。
これで間違いありませんというと、じゃあドクターに確認します、と言って、また持って行かれてしまった。
で、またナースがやってきて「ドクターのオッケー出ましたので、今日から普段通り飲んでください」と言う。
退院前に飲みきってしまうと言うと、そのぶんは改めて処方しますだそうだ。
とりあえずピルケースを持っていて良かった。
ということで、ついにCPAPをセットした。
家では畳敷きの部屋に投げ出しているのだが、病院ではエアコンのダクトのスペースにちょうどよくセット出来た。
病院は21時半に消灯する。
6時半に点灯する。
最初は、この時間に寝て起きるのが正しい人の道かと思って、がんばっていたが、絶対に無理だと分かった。
せいぜい23時ぐらいまでは起きていないと、眠れないし、いやな時間に途中でおきてしまう。
23時に一回ナースが血糖を測りに来るので、それが済んだら寝ようと思った。
最初はネタフリしていたりしたのだが、それも意味ないので、「11時まで寝られないんです」と言うようにしていた。
それで思い出したのだが、近所の部屋に、耳が遠い老人が入院しているらしく、ナースと患者の話し声がたまに聞こえた。
で、15時ぐらいに「xxさん、いま寝ないで! 今は起きて、夜に寝て! また眠剤出さないといけなくなるから!」というナースの声が聞こえた。
これはマンガ「おたんこナース」や「アル中病棟」にも出てくる「病院あるある」だが、実際に病院で聞けるとは思わなかった。
入院患者は、常にベッドに寝ているから、睡眠が不規則になる。
昼夜逆転すると、いろいろと社会的に障害が出てくるので、なるべく早寝早起きをキープした方がいいし、ドクターやナースの検査や施術も昼中心に動いているのである。
ぼくの場合、これは入院する前からなのだが、CPAPを付けないで昼寝すると、ちょっとならいいのだが、1時間を超えて寝ていると頭痛がする。
血中のCO2濃度が増えるので、酸欠になって頭痛になるらしい。
体を休めるべき睡眠が、かえって体を傷つけているのだ。
23時になって、ナースが血糖値を見に来た。
まだ寝ないんですかと言うので、導眠剤を飲んで、CPAPを付けて寝ますと言って、マスクを装用するところを見せた。
ナースも職業上興味があるようなので、いろいろ説明した。
で、ベッドを最適な形にリクライニングし、導眠剤を飲み、あと音楽を聞きながらだと寝やすいのでイヤホンを付け、マスクを装用して、寝た。
ぼくが使っているのはAuto CPAPという機能がついていて、マスクを付けて呼吸すると、それを検知してCPAPのスイッチが入る。
寝入りばなの5分ぐらいはゆるやかにエアーが出て、完全に睡眠状態に入ると本式に稼働する。
それでも、自力で呼吸しているときはそれほど強いエアーが出ず、呼吸が止まるとそれを検知してフルパワーになる。
あと、寝ている途中にマスクを外すと(エアーが漏れてゴーという音が出る)アラームが鳴って、それでも再装用しないとエアーが切れる。
そういう機能がついたハイテク機である。
もっとすごいBiPAPというのもあって、エアーを送ってくる(無理矢理吸わせる)だけでなくて、エアーを吸い込む(無理矢理吐かせる)機能があるやつもある。
ぼくは個人輸入で、自分でパラメーターを設定して使っているので、BiPAPではなくAuto CPAPを使っているが、むかし専門医に処方されていた固定圧のCPAPよりもこっちのほうがはるかに快適だ。
ということで23時に寝た。
翌朝6時半に眼が覚めた。
わざとらしいようだが、本当に絵に描いたように熟睡出来た。
頭痛も完治している。
SASの症状が極限まで進行した時にCPAPを付けると余計に効くようだ。
朝までマスクを着けていたのもめずらしい。
あと、こういうことを書くのはどうかと思うが、科学の話なのでしょうがないから書くが、いうところのアサダチ現象があった。
以前から記録しているので知っているのだが、これはSASの進行度と密接に関係がある。
いわゆるED患者がかなりの割合でSASを患っているという話である。
同病の人は注意されたい。
ナースがバイタルを測りに来た。
パルスオキシメーターの値を見ていると、99になった。
「これって相当いいんじゃないですか」
と聞いてみると「あっそうですね。良好です。前は96とかでしたもんね」と言う。
「やっぱりCPAPが効いてるみたいですね」というと「そう思います」とのことだった。
アサダチ現象がありましたとかは特に言わなかった。
とりあえずグッスリ眠れ、目覚めも爽快で、頭痛が劇的に治ってよかった。
CPAPを装用すると、パルスオキシメーターの値が変わるというのはいい発見だった。
(血糖値も改善されるかと思ったが、それは全然変わらなかった)
CPAPが効いて喜んでばかりもいられない。
これだけ奏効するということは、SASが治っていないということだ。
ぼくはCPAPを個人輸入してから、5年ほども病院に通っていず、検査をしていないし、CPAPを着けるのもサボり気味だったので、いまだにSASなのか、もう治っているのか、良く分からない状態だったのである。
しかし、これだけひどい頭痛になり、それがCPAPを着けるとこれだけ治ったということは、やはりSASは進行中であり、CPAPの装用が重要であるということだ。
日本の病院に通ってCPAPを貸与してもらうと、重症認定で保険が効いても月々5千円払わなければならない。
1回検査すると3万円だ。
(この検査費用は病院によって違い、ぼくの掛かったSASの専門病院は特にボッタクリだったと今になれば思われる。もっと安い病院はあるらしい)
最初の3年間は病院に通っていたので、5千円のレンタル費用だけでも18万円、検査を3回したので27万円取られた。
月に1回5千円払いに行って1分ほど診察してもらうのも大儀だったのである。
それで堪忍袋の緒が切れてCPAP個人輸入に踏み切った。
この過程はこのブログに詳しく書いてある。
それから5年になる。
個人輸入のCPAPはいろいろサプライ品も含めて8万円ほどだった。
もし5年間病院に行っていたらさらに30万円取られていたところである。
つばを飛ばしてお金の話をしていて卑しいようだが、働いて得たお金を取られるのは命を削られるのと一緒である。
医者に悪意はないと信じたいが、日本のSASの治療体制には改善の余地が大いにある。
また、同病の方はCPAPの個人輸入という道があることを知ってもらいたい。