8月28日木曜日、北品川の「フリースペース楽間」で、劇団「演劇屋モメラス」の『色は匂へど、』を見てきた。
月蝕歌劇団から落合美香さん、若松真夢さん、柴奏花さん、そして以前在籍していた森永理科さんが出ている。
(ぼくは森永さん時代の月蝕は見ていない)
あと万有引力の高橋優太さん、そして、テレビドラマ「トリハダ」に出ていた笹野鈴々音さんも出ていて、豪華なキャスティングだ。

超・面白かった。
20140828rakuam
北品川の「楽間」に行く。
武蔵小杉から横須賀線に乗って、品川までは驚くほど速くてびっくりしたが、品川からほんの1駅の北品川に行くのが意外に時間が掛かった。
京急は快速特急、特急、急行はしょっちゅう来るのに、各停がなかなか来ないのだ。
北品川に着いてから踏切を渡る。
この踏切もなかなか開かない。
ここから商店街を5分ほど歩くと劇場に着く。
これから行く人は、ちょっと時間に余裕を見て行った方がいいだろう。

「楽間」は商店街に面したガラス張りのスペースで、中から外が、外から中が丸見えだ。
三段の座布団じきで、舞台との間に赤い鉄パイプの柱が3本立っていて、どこに座ればいいか迷う。
結局下手側の、いちばんパイプが開いている最前列に座った。

この芝居は日曜日までやっているので、機会がある人は是非見に行ったほうがいい。
ということで、見に行く人はネタバレを避けて、ここから先は見ないで下さい。







警告したからな!

ぼくは演劇に不案内なので、この演目に特徴的なことではなく、「演劇という表現形式そのもの」についての感想になってしまうが、演劇というのは面白いもので、タイムマシーンやどこでもドアのような機能がある。
役者が「ここは革命前夜のパリ・・・」と言うと、そこは革命前夜のパリになってしまうし、「ここは戦争直後の南京・・・」というと、そこは戦争直後の南京になる。
演劇を作る人は、時間と空間を自由に操る能力を持っている。

小劇場の公演に行くと、いつもすごく変わった場所にあるのでまず驚く。
お寺のお堂のようだったり、閉店後の喫茶店のようだったり、倉庫のようだったりする。
まずその公演ごとに異なる変わった空間に行って、見やすい場所を探して、でかい図体を折りたたんで座るのが楽しみである。

★このへんから本格的にネタバレ

今回は商店街に面したガラス張りの劇場で、カーテンも閉めずに演じ始めるのが斬新だった。
道行くおじさんやおばさんが、中を覗いていく。
バイクが通ったりする。
北品川の、夕方の商店街が、舞台の一部として機能しているのだ。

脚本は2つの時代を行き来し、同じようなことで悩んでいる小市民の世界を対比している。
劇場の外の世界と、中の世界、過去の世界と、現代の世界を、セリフ一つで縦横に移動する。
落語に題を取った話だが、役者が第四の壁を破って世間話風に自己紹介をしたり、舞台設定を説明したりするのも楽しかった。
おどろおどろしい月蝕歌劇団とまったく違う、分かりやすくて爽やかな演目で、それをおなじみの役者さんが演じているのが新鮮で良かった。