以前も書いたが、ぼくは結構なアイドル好きである。
中学、高校の血気盛んな時期はむしろ洋楽やクラシックを聴いていたのだが、いいオトナになって「SPEED」あたりからハマるようになった。
一番好きだったのは「モーニング娘。」だが、親が病気になったり、自分が病気になったりして、生活に余裕がなくなって、急速に離れた。
それでもテレビで見たりするぶんには楽しいので、AKB48も普通に好きで、チェックはしていた。
アイドルと、そのコンテンツ自体はキッチュというか、サブカルというか、B級グルメ的な面白い味わいがあって、マンガやアニメ同様、日本独自のクールなコンテンツとして文化的に評価されるべきものだと思う。
今の日本で面白いものを、アイドル抜きに語るのは無理がある。
ただ、それと、一人のユーザーに同じCDを何枚も買わせようとする握手会商法とは話が別だ。
それは依存性ビジネスである。
文化としての酒造と、アル中の関係と一緒である。
アイドルファンの間でも、CDを何枚も買わせるやり方は、とうぜん問題になっていて、「ドーピング」と呼ばれている。
ぼくは依存性の怖さを知っていたので、AKBの握手会には行かないようにしていたが、2012年夏に、一番好きだった前田敦子さんのラストの握手会があると聞いて、一回行っとくかと思った。
あるCDが売りだされてから、そのCDに券が封入された握手会までには、かなり長い(半年近い)タイムラグがある。
ぼくがあっちゃんの握手会に行こうと思ったときは、当該CDはすでに入手困難だったが、それでも「蛇の道は蛇」で、昔の知り合いから5枚ほどの握手券を入手した。
場所はさいたまスーパーアリーナだ。
朝10時開場なので9時半頃に行ったが、すでに数万人からなる巨大な列が出来ている。
ぼくは横に並んでいた、ヲタクの人2人となんとなく話をしていた。
「こんなに沢山ならんでいて、1人何十枚もチケットを持っていたら大変ですね」と言うと、そのヲタクの人によると、彼らはいずれも1枚ずつしか持っていず、この会場にいるほとんどの人がそうだと思う、ということだった。
握手会にははちょっとしたライブや演し物があって、それを楽しみに来る人が大半で、何十枚もチケットを買うのは特殊な人ではないだろうか、というのが彼らの見解であった。
ぼくが「ぼくは5枚持ってるけど、あっちゃんの他に、篠田さんとか、指原さんとかも回りたいと思っています」と言うと「あっちゃんは今日大変ですよ。今日はあっちゃんだけで何時間も並ぶと思います。逆に他の人はその間ヒマなんじゃないでしょうか」と言われた。
「そうですか。じゃあ、一番最初はあっちゃんを回避して、他のメンバーに回ると時間的に効率がいいでしょうか」と聞いてみたが、2人共「うーん、そうですね・・・」ということだった。
ところがここで、前に並んでいた人が、急に向き直って真剣な目でぼくを見た。
あっ、変なことを言っちゃったかな、と思って緊張した。
しかしその人は、押し出すようにこう言った。
「差し出がましいようですが、絶対に『推し』の順番に回るべきだと思います。今日あっちゃん目的で来たなら、まず、あっちゃんから並ぶべきです・・・というのは、握手会が最後まで滞り無く進む、という保証がないからです。あっちゃんだけが体調不良で途中リタイアする可能性もあります。『変な人』が出てきて中止になることも、ないとは言えません。後悔しないようにするべきです・・・」
ぼくたち3人は「なるほどー」と言った。
ほどなく開場した。
チケットカウンターで握手券は普通のコンサートと同じ座席指定チケットに交換する。
そこに握手列用の通し番号が書いてあって、ぼくのは5000番ぐらいだった。
普通のコンサートと同じ席が出来ていて、ぼくはアリーナ最後方ぐらいだった。
(AKBの握手会は「全国握手会」と「個別握手会」があるが、今回レポートしているのは「全国握手会」のダンドリである。「個別」は行ったことないので良く分からない。)
最初にAKB48が衣装で出てきて5曲ほど歌った。
当然カラオケで、たぶん口パクだとは思うが、曲も踊りも良くて、ノリノリで楽しめた。
結構長いショーが終わって握手会になった。
舞台では非選抜メンバーの宮崎美穂さんと数人の研究生が出てきて、イジリー岡田さん司会の勝ち抜きゲーム大会になった。
これが結構すごくて、握手会が終わるまで、8時間ぐらいやっている。
これ目当てでくるお客さんも多くて、握手に行かずに客席で楽しんでいた。
ぼくは握手列に並ぼうとしたが、メンバーごとに「握手列に並べる整理番号」がアナウンスされる仕組みだった。
「前田敦子さん、1000番まで並んでOKです」
「指原莉乃さん、3000番まで並んでOKです」
というようなアナウンスが流れる、同時に電光掲示板に同じ情報が表示される。
列の長さをこれで調整しているのだ。
へぇー!
けっきょく前田敦子さんの「整列可能番号」は3000番ぐらいからピクリとも動かないまま1時間ぐらいが過ぎた。
他のメンバーはどんどん番手が進んでいる。
でも席に座ってゲーム大会を見ているので退屈はしない。
2時間ぐらい経って?ぼくの番号でも並べることになった。
ところが、この列が進まない進まない。
でも、列の横に巨大ビジョンが用意されていて、ゲーム大会の模様が表示されているので退屈しなかった。
ここで思ったのは、AKB握手会というのは一大事業であるということと、運営する人はものすごくユーザーのホスピタリティに心を砕いているということだ。
ここは他のアイドルの運営と力の入り方が全然違う。
ようやく前田敦子さんがいるテントの中に入った。
テントの中は仕切られていて、手前の仕切りに「OJS(おじさん)48」と言われる、警察OBの警備チームの人がいた。
「手のひらを見せてください」、「こちらのスプレーで消毒してください」と言われたので従った。
荷物検査や、身体検査はなかった。
ブースに入ると、前田敦子さんと、スタッフ2名がいた。
スタッフ1名はストップウォッチ係で、もう一人は「はがし」係(握手を終わらせてブースから押し出す係)であった。
だから、純粋に警備をしている、ぼくの行動を正面から監視している人はいなかったのである。
前田さんと握手して、ひとことふたこと言葉を交わしたが、前田さんは死人よりちょっとましぐらいの生気しかなく、疲れきっていて、かわいそうだった。
早々にブースを出た。
そこはさいたまスーパーアリーナの出口(裏口)になっていて、そこから再入場するにはいったんさいたま市の町に出て、ぐるっと回って正面に行き、また握手券を整理券に替えてもらい、アリーナに入場して番号を確認して並ぶ必要がある。
アリーナに入場するまでは2回めにもなるとさすがにスムーズだったが、前田さんの握手列はまだ混んでいた。
逆に他のメンバーの握手列は「過疎」が始まっていて「xxxxさんと握手する人はもういませんか〜?」、「xxxxさんの列はもう締め切りまーす」などというスタッフの声が飛び交っている。
ぼくは今度は篠田麻里子さんの列に並んだ。
ここは百人?ぐらい並んでいたが、スムーズに握手できた。
篠田さんがニヤニヤ笑いながら「私のこと好きなの」と言ってきたので、「ツイッター見てるから」と言うと「ツイッター見てるの、変態じゃーん」と言って笑った。
そして別れ際に「また来なよ」と言って手を振っていた。
出口を出て、さいたま市に出て、さいたまスーパーアリーナのまわりを回って、チケットを交換し、アリーナを横切って、もう一度篠田麻里子さんの列に並んだ。
完全に術中にはまっている。
ブースの中に入ると「おかえりー。早かったじゃーん」と篠田さん。
「走ったから」と言うと「アハハハ。歩いて来ても大丈夫だから。気をつけてよ」
こんな感じである。
握手会じたいは、たぶん夜の8時ぐらいまでやっていたと思う。
ゲーム大会もまだまだ続いていたが、ぼくは何時間も立って、歩いて、並んだだけでヘトヘトになったので、結局チケットを残してリタイアし、地元のラーメンを食べて帰った。
ということで、一回経験しておいてよかったとは思うけど、一回経験しただけでぼく的には十分である。
★
昨日2014年5月25日、岩手のAKB握手会に不逞の輩が潜入し、衣服の下に隠し持った刃渡り50センチの刃物(農作業用のおりたたみのこぎり?)でメンバーに切りつけるという事件が起こった。
5人のメンバーが並ぶレーンであり、そのうちの川栄李奈さんと入山杏奈さんが、骨折と裂傷を負った。
報道によると、メンバー1人あたり2人の警備員がいたそうであり、ぼくの時と同じである。
ぼくの経験から言うと、この手口の凶行は以前から可能であり、かつ、警備をちょっと手厚くすれば防げた凶行ではあったと思う。
それにしても、握手会や「総選挙」を使って、1人のユーザーに複数枚の不必要なCDを買わせるやり方は、ファンの間でも批判されている「ドーピング」であり、パチンコやキャバクラ、酒タバコ、携帯ゲームと一緒で、依存性ビジネス、人の心の弱さに付け込んだ商売である。
だから、こういう事件が起こる素地は、以前からあった。
物理的な凶行であったから、大きく報道されたが、暴言などの被害は以前からあったと聞いている。
ぼくが行った握手会で、一緒に並んでいたヲタの人たちは、ものすごくいい人達揃いだったが、そういう人たちも「変な人たち」が一定量いること、それが全体に大きな影響を与えかねない危険な存在であることは認識していた。
ぼくの主張をまとめると、ぼくはアイドル文化そのものは、アニメ、ゲーム、ラーメンなどと一緒で、言うところのクール・ジャパン特有の良質なサブカルチャーコンテンツであり、誇るべきものであると思う。
なくなると寂しい。
しかし握手券ビジネス、いわゆるドーピングは、パチンコやサラ金と一緒で「社会のバグ」であると思う。
ただ、本当に何十枚も一人で買ったりする入れ込んだ人や、握手会で何かヤラカシてやろうと思うようなヘンな人は、全体の中でも一握りであるとも思う。
まだ詳細は分かっていないが、今回の凶行に限って言えば、犯人の動機はおそらく世間を騒がせたかったものであって、学校での乱射事件や、通り魔事件と変わらないのではないか。
特定のメンバーや、AKB全体に含むところがあったとか、別のメンバーを相対的に「上位に」するための意図はなかったんじゃないだろうか。
ちょっと整理されていない文章になったが、今回の凶行と、いわゆるAKB商法の悪質さには、直接的な関係はないと思う。
アイドルがいる日本は楽しいところだと、ぼくは思っているが、危険性があることは、常に注意すべきだとも思っている。
一番好きだったのは「モーニング娘。」だが、親が病気になったり、自分が病気になったりして、生活に余裕がなくなって、急速に離れた。
それでもテレビで見たりするぶんには楽しいので、AKB48も普通に好きで、チェックはしていた。
アイドルと、そのコンテンツ自体はキッチュというか、サブカルというか、B級グルメ的な面白い味わいがあって、マンガやアニメ同様、日本独自のクールなコンテンツとして文化的に評価されるべきものだと思う。
今の日本で面白いものを、アイドル抜きに語るのは無理がある。
ただ、それと、一人のユーザーに同じCDを何枚も買わせようとする握手会商法とは話が別だ。
それは依存性ビジネスである。
文化としての酒造と、アル中の関係と一緒である。
アイドルファンの間でも、CDを何枚も買わせるやり方は、とうぜん問題になっていて、「ドーピング」と呼ばれている。
ぼくは依存性の怖さを知っていたので、AKBの握手会には行かないようにしていたが、2012年夏に、一番好きだった前田敦子さんのラストの握手会があると聞いて、一回行っとくかと思った。
あるCDが売りだされてから、そのCDに券が封入された握手会までには、かなり長い(半年近い)タイムラグがある。
ぼくがあっちゃんの握手会に行こうと思ったときは、当該CDはすでに入手困難だったが、それでも「蛇の道は蛇」で、昔の知り合いから5枚ほどの握手券を入手した。
場所はさいたまスーパーアリーナだ。
朝10時開場なので9時半頃に行ったが、すでに数万人からなる巨大な列が出来ている。
ぼくは横に並んでいた、ヲタクの人2人となんとなく話をしていた。
「こんなに沢山ならんでいて、1人何十枚もチケットを持っていたら大変ですね」と言うと、そのヲタクの人によると、彼らはいずれも1枚ずつしか持っていず、この会場にいるほとんどの人がそうだと思う、ということだった。
握手会にははちょっとしたライブや演し物があって、それを楽しみに来る人が大半で、何十枚もチケットを買うのは特殊な人ではないだろうか、というのが彼らの見解であった。
ぼくが「ぼくは5枚持ってるけど、あっちゃんの他に、篠田さんとか、指原さんとかも回りたいと思っています」と言うと「あっちゃんは今日大変ですよ。今日はあっちゃんだけで何時間も並ぶと思います。逆に他の人はその間ヒマなんじゃないでしょうか」と言われた。
「そうですか。じゃあ、一番最初はあっちゃんを回避して、他のメンバーに回ると時間的に効率がいいでしょうか」と聞いてみたが、2人共「うーん、そうですね・・・」ということだった。
ところがここで、前に並んでいた人が、急に向き直って真剣な目でぼくを見た。
あっ、変なことを言っちゃったかな、と思って緊張した。
しかしその人は、押し出すようにこう言った。
「差し出がましいようですが、絶対に『推し』の順番に回るべきだと思います。今日あっちゃん目的で来たなら、まず、あっちゃんから並ぶべきです・・・というのは、握手会が最後まで滞り無く進む、という保証がないからです。あっちゃんだけが体調不良で途中リタイアする可能性もあります。『変な人』が出てきて中止になることも、ないとは言えません。後悔しないようにするべきです・・・」
ぼくたち3人は「なるほどー」と言った。
ほどなく開場した。
チケットカウンターで握手券は普通のコンサートと同じ座席指定チケットに交換する。
そこに握手列用の通し番号が書いてあって、ぼくのは5000番ぐらいだった。
普通のコンサートと同じ席が出来ていて、ぼくはアリーナ最後方ぐらいだった。
(AKBの握手会は「全国握手会」と「個別握手会」があるが、今回レポートしているのは「全国握手会」のダンドリである。「個別」は行ったことないので良く分からない。)
最初にAKB48が衣装で出てきて5曲ほど歌った。
当然カラオケで、たぶん口パクだとは思うが、曲も踊りも良くて、ノリノリで楽しめた。
結構長いショーが終わって握手会になった。
舞台では非選抜メンバーの宮崎美穂さんと数人の研究生が出てきて、イジリー岡田さん司会の勝ち抜きゲーム大会になった。
これが結構すごくて、握手会が終わるまで、8時間ぐらいやっている。
これ目当てでくるお客さんも多くて、握手に行かずに客席で楽しんでいた。
ぼくは握手列に並ぼうとしたが、メンバーごとに「握手列に並べる整理番号」がアナウンスされる仕組みだった。
「前田敦子さん、1000番まで並んでOKです」
「指原莉乃さん、3000番まで並んでOKです」
というようなアナウンスが流れる、同時に電光掲示板に同じ情報が表示される。
列の長さをこれで調整しているのだ。
へぇー!
けっきょく前田敦子さんの「整列可能番号」は3000番ぐらいからピクリとも動かないまま1時間ぐらいが過ぎた。
他のメンバーはどんどん番手が進んでいる。
でも席に座ってゲーム大会を見ているので退屈はしない。
2時間ぐらい経って?ぼくの番号でも並べることになった。
ところが、この列が進まない進まない。
でも、列の横に巨大ビジョンが用意されていて、ゲーム大会の模様が表示されているので退屈しなかった。
ここで思ったのは、AKB握手会というのは一大事業であるということと、運営する人はものすごくユーザーのホスピタリティに心を砕いているということだ。
ここは他のアイドルの運営と力の入り方が全然違う。
ようやく前田敦子さんがいるテントの中に入った。
テントの中は仕切られていて、手前の仕切りに「OJS(おじさん)48」と言われる、警察OBの警備チームの人がいた。
「手のひらを見せてください」、「こちらのスプレーで消毒してください」と言われたので従った。
荷物検査や、身体検査はなかった。
ブースに入ると、前田敦子さんと、スタッフ2名がいた。
スタッフ1名はストップウォッチ係で、もう一人は「はがし」係(握手を終わらせてブースから押し出す係)であった。
だから、純粋に警備をしている、ぼくの行動を正面から監視している人はいなかったのである。
前田さんと握手して、ひとことふたこと言葉を交わしたが、前田さんは死人よりちょっとましぐらいの生気しかなく、疲れきっていて、かわいそうだった。
早々にブースを出た。
そこはさいたまスーパーアリーナの出口(裏口)になっていて、そこから再入場するにはいったんさいたま市の町に出て、ぐるっと回って正面に行き、また握手券を整理券に替えてもらい、アリーナに入場して番号を確認して並ぶ必要がある。
アリーナに入場するまでは2回めにもなるとさすがにスムーズだったが、前田さんの握手列はまだ混んでいた。
逆に他のメンバーの握手列は「過疎」が始まっていて「xxxxさんと握手する人はもういませんか〜?」、「xxxxさんの列はもう締め切りまーす」などというスタッフの声が飛び交っている。
ぼくは今度は篠田麻里子さんの列に並んだ。
ここは百人?ぐらい並んでいたが、スムーズに握手できた。
篠田さんがニヤニヤ笑いながら「私のこと好きなの」と言ってきたので、「ツイッター見てるから」と言うと「ツイッター見てるの、変態じゃーん」と言って笑った。
そして別れ際に「また来なよ」と言って手を振っていた。
出口を出て、さいたま市に出て、さいたまスーパーアリーナのまわりを回って、チケットを交換し、アリーナを横切って、もう一度篠田麻里子さんの列に並んだ。
完全に術中にはまっている。
ブースの中に入ると「おかえりー。早かったじゃーん」と篠田さん。
「走ったから」と言うと「アハハハ。歩いて来ても大丈夫だから。気をつけてよ」
こんな感じである。
握手会じたいは、たぶん夜の8時ぐらいまでやっていたと思う。
ゲーム大会もまだまだ続いていたが、ぼくは何時間も立って、歩いて、並んだだけでヘトヘトになったので、結局チケットを残してリタイアし、地元のラーメンを食べて帰った。
ということで、一回経験しておいてよかったとは思うけど、一回経験しただけでぼく的には十分である。
★
昨日2014年5月25日、岩手のAKB握手会に不逞の輩が潜入し、衣服の下に隠し持った刃渡り50センチの刃物(農作業用のおりたたみのこぎり?)でメンバーに切りつけるという事件が起こった。
5人のメンバーが並ぶレーンであり、そのうちの川栄李奈さんと入山杏奈さんが、骨折と裂傷を負った。
報道によると、メンバー1人あたり2人の警備員がいたそうであり、ぼくの時と同じである。
ぼくの経験から言うと、この手口の凶行は以前から可能であり、かつ、警備をちょっと手厚くすれば防げた凶行ではあったと思う。
それにしても、握手会や「総選挙」を使って、1人のユーザーに複数枚の不必要なCDを買わせるやり方は、ファンの間でも批判されている「ドーピング」であり、パチンコやキャバクラ、酒タバコ、携帯ゲームと一緒で、依存性ビジネス、人の心の弱さに付け込んだ商売である。
だから、こういう事件が起こる素地は、以前からあった。
物理的な凶行であったから、大きく報道されたが、暴言などの被害は以前からあったと聞いている。
ぼくが行った握手会で、一緒に並んでいたヲタの人たちは、ものすごくいい人達揃いだったが、そういう人たちも「変な人たち」が一定量いること、それが全体に大きな影響を与えかねない危険な存在であることは認識していた。
ぼくの主張をまとめると、ぼくはアイドル文化そのものは、アニメ、ゲーム、ラーメンなどと一緒で、言うところのクール・ジャパン特有の良質なサブカルチャーコンテンツであり、誇るべきものであると思う。
なくなると寂しい。
しかし握手券ビジネス、いわゆるドーピングは、パチンコやサラ金と一緒で「社会のバグ」であると思う。
ただ、本当に何十枚も一人で買ったりする入れ込んだ人や、握手会で何かヤラカシてやろうと思うようなヘンな人は、全体の中でも一握りであるとも思う。
まだ詳細は分かっていないが、今回の凶行に限って言えば、犯人の動機はおそらく世間を騒がせたかったものであって、学校での乱射事件や、通り魔事件と変わらないのではないか。
特定のメンバーや、AKB全体に含むところがあったとか、別のメンバーを相対的に「上位に」するための意図はなかったんじゃないだろうか。
ちょっと整理されていない文章になったが、今回の凶行と、いわゆるAKB商法の悪質さには、直接的な関係はないと思う。
アイドルがいる日本は楽しいところだと、ぼくは思っているが、危険性があることは、常に注意すべきだとも思っている。