★このブログ来週一週間お休みします★

ぼくのアパートは2階で、3階に大家さんが住んでいる。
男は大家さんが上にいるアパートに住むのをいやがる、と、なんかの雑誌のランキングで言ってたけどその気持ちが分からない。
上の階に大家さんがいると、たまに荷物を預かってもらえたり、逆にぼくが絶対にいらない変なお中元お歳暮をもらってくれたりして便利である。
まあ大家さんにもよるだろうけど、ぼくは快適だ。

その大家さんが、おたくの部屋のエアコンを取り替えましょうと言ってきた。
なにしろ10年以上使っているし、今のは電気代も安いから、ということだった。
ぼくは特に古いエアコンで不満はなかったがお言葉に甘えることにした。
この話が出たのが夏のことだ。
ところが、古いエアコンはガス式(ヒートポンプ式)で、ガスの撤去と電気エアコンの設置に都合3日ぐらい掛かり、夏に3日エアコンなしはツラいから秋か冬にしましょう、ということだった。
ぼくは、冬はオイルヒーターを使っているので冬でもいいです、と言っておいた。

で、先日、約束どおり、エアコンを取り替えることになった。
量販店にいる大家さんから電話が掛かって来て、もうエアコンは選んだので、工事の手続きをしてくれと言う。

まず東京ガスの人が来て、ベランダの配管を切って行った。
吾妻ひでおさんの失踪日記に出てくるやつだー、と思っていた。

こっちは予約も工事もスムーズだった。

問題はエアコンの設置の方で、別に悪口を書くつもりではないので名前を出してもいいと思うが、ヤマダ電機の委託業者がやるということだった。
電話で連絡すると
 ・予約は日単位でしか出来ない
 ・予約日の前日に配送センターの方から何時に来るか一方的に連絡してくる(時間の交渉の余地はない)
ということだった。

納得がいかない。
ぼくは一人暮らしだし、遊び回る方なので、勝手に予定を入れられても困るのである。
しかし、そういう風に決まっていると言うことなので、折れて、まあまあ暇な日を指定した。
結果的に、午前10時に来るということで、まあまあ暇な時間で良かった。

もう一つ心配事があって、うちはエアコンのダクトのギリギリに、突っ張りラック(ルミナス)を設置しているのである。

えあこんだくと


これが邪魔で、ラックを移動するということになったら大騒ぎである。
ラックを設置してくれた、いつもゴミ屋敷になる前に家を掃除してもらっている便利屋さんに電話で聞くと、その配置だったら問題なく工事出来ると思いますよ、ということだった。
信じた。

時間があったのでいろいろ疑心暗鬼になってしまって、「ヤマダ電機 エアコン 取り付け」で検索した。
こんな検索をすることがいいことか悪いことか分からない。
悪口ばっかり書いてあるのである。
書いた人がウソとか、ライバル業者がヤマダを貶めるために書いてるとか言う気はない。
そういう事象もあったのであろう。
これは構造的な問題であって、無事にエアコンが着いたから喜びの声をインターネットに投稿する人はあまりいない。
逆に、ひどい目にあって怒り心頭に発して書く人はすごく多いのである。
インターネットとはそういうもので、文字のやりとりをしているうちにどんどん、どんどん過激な悪口大会になっていく。
これは情報機器のあり方としてあまり健全、賢明ではないので、社会の問題として改善がはかられるべきだと思う。
(「情弱」は情報の真贋を見極める目を持て、と、インターネットとか得意な最近の若い人は言い放つのかもしれないが~)

さて、エアコンの取り付け工事で問題になるのは「真空引き(しんくうびき)」という工程をやってくれるかどうかという話である。

真空引き・エアパージの違い|エアコン交換取付工事|東京・神奈川・埼玉・千葉|ダイキン、三菱重工、パナソニック、東芝

エアコンは冷媒という非常に沸騰しやすい液体が室外機と室内機の間を循環している。
れいばいと言っても恐山のイタコではない(それは霊媒)ので注意が必要だ。
冷媒は、沸騰(気化)する時に熱を奪う。
圧縮(液化)するときに熱が出る。
これを使って室内の熱を外に出したり、逆に室内を温めたりする。

冷媒として、以前はフロンを使っていたが、温室効果ガスということで、地球温暖化に配慮して、使わないことになった。
代わりに、フロンと同じような沸点になり、かつ環境負荷が少ない新冷媒を使っている。
いくつかの物質を混合して作るそうだ。

冷媒は、エアコン出荷時には圧縮して室外機の中に封入されている。
これを設置するとき、次の2つの工程がある。

(1)真空引き

室内機、室外機ともに設置が終わり、ダクトの配管が終わったところで、電動ポンプを使ってエアコンの中から空気を抜く。
で、真空(気圧がゼロ以下)になったところで、穴を塞いで冷媒を放出する。
配管回路の中に冷媒だけが満たされる。

(2)エアーパージ

真空引きを行わずに冷媒を放出し、配管の中の空気を冷媒で押し出して封入する。

ただしページによって用語が不統一であって、上のように説明しているものと、「空気を出して(air purge)冷媒を入れることがエアーパージ。エアーパージの方法は真空引きとガス圧式がある(ここで言うガス圧式は上で説明した(2)と同じ)」という風に説明しているものがある。
どっちが正しいかわからないので、ここでは上の(1)真空引き(2)エアーパージという説明で押し通す。

真空引きを行わないエアーパージは問題がある、と言われる。
いわく、冷媒以外の空気が残ってしまうことで、エアコンの効きが悪くなり、破損する。
冷媒が少なくなるので効きが悪くなる。
冷媒の一部が世間に放出するので、環境に悪い。

じゃあ必ず真空引きすればいいのにと思うが、少ない時間で作業を上げて回転率を上げるために、わずかの手間を惜しむ業者もいると言う。
本当だろうか。

Webを検索すると「家庭用エアコン程度では真空引きしようがすまいがどうってことない」という意見もあれば「かならず購入店に真空引きを行うという言質を取り、自宅に来た作業者にそのことを申し伝え、やらない場合は追い返すべき」という意見もある。
モー、これ、例のあのインターネットのあの感じであって、極端から極端に走るのである。
プラクティカルなソリューションというものがない。

どうしようかなーと思い悩んでいるうちに約束の日の午前10時が来て、業者さんが来た。
一人で来た。
とりあえず名刺をもらった。

突っ張りラックの件を聞くと、問題ないと言う。
テキパキ脚立を組み立てて、古いエアコンを外し、新しいエアコンを付ける。

それにしても、こんな作業よく一人でできるわ、と思った。
ぼくは絶対に出来ない。
プロはすごいものである。

ベランダから「電源をお借りしていいですか」と言うので、いいですよというと、コードを伸ばしてきて壁のコンセントにつないだ。
ベランダから、カタカタカタ・・・という音がするので、作業員さんに「あっ、これがポンプですか」と言った。
「そうです、真空ポンプですよ」
「おお、真空引きってやつですね」
「良くご存知ですね、そうですよ」
「これ、ネットで話題になってるんですよー。やってくれる業者とやってくれない業者がいるって言う」
「アハハ、量販店の委託業者でやらないところってないんじゃないですかね。そういうこと、さいきんはお客さんがすごくウルサイんですよね。大丈夫、うちはやりますよ」
ということでやってくれてよかった。

業者さんが帰ったので、エアコンの暖房を使ってみた。
明らかに暖かくはなっているのだが、暖かい空気は上に行くので、足元が温まらず、頭がのぼせる。
やはり暖房は上からは良くない。
冬はオイルヒーターを使いつづけることにした。

冷房は、今は冬で寒いのでまだテストしていない。

いずれにしても、いい業者さんに当たってスムーズでヨカッタ。

(※写真はうちのエアコンと関係ありません)

2008-08-23 Durham Regional Hospital air conditioner