このブログは、山崎元さんの下の記事のほぼ受け売りだ。

「今なら」間に合う! NISAの正しい活用法|山崎元のマルチスコープ|ダイヤモンド・オンライン

人の記事の受け売りなんかなぜ書くのということだが、自分の言葉で理解したところを書いて、少しでも情報を広めるのは有意義だと思うので、書く。
TokyoStockExchange1950
NISA(ニーサ)というのが来年、2014年から始まる。
これはイギリスでISAというのをやっていたのの日本版であって、要するに確定拠出年金と同様に、銀行に貯金せずに株式などのリスク資産を買えば、税金が減免されるというシステムだ。
条件があって
  • 対応した金融機関(証券会社、銀行、信用金庫)に口座を作る
  • 来年からそこを通じてリスク資産を年に100万まで買う(節税の効果を最大に享受するには年頭に100万ボンと買うのがいい)
  • これが5年続く。つまりMAX500万までリスク資産が免税になる
ということだ。

重要なことは、3つある。
(1)まだ口座は作れるけど、リスク資産を買えるのは来年から
逆に言うと、口座だけ作ってもしょうがないので、まだ慌てる必要はない。「NISA口座。始めた人から免税!」などというCMがあるが、不要に焦りをあおるものだと思う。
(2)基本的に1人に1口座しか口座は開設できない
(3)もう申し込んだ人は、2013年10月1日(一週間後!)までならスムーズに取り消せる
10月2日以降であっても、がんばれば取り消せる気もするが、よく分からない。ちなみにぼくは、まだ申し込んでない。

だから、いまいろんな金融機関ががんばってニーサ、ニーサとCMを連呼しているのは、悪意に取ると「なんとかして自分の口座に囲い込んでしまって、もう変えられないようにしてしまえ!」というのが目的だと思う。
客にしてみれば、どのみちリスク資産が買えるのは来年からなので、慌てなくていい。
(いまニーサ、ニーサと騒いでいる金融機関は、半沢直樹風に言えば「晴れの日には傘を貸し、雨の日には取り上げる銀行」のような、信用できない存在だと思う。)



ではどのような口座に申し込めばいいか。
 (妻)NISA、どこにしようか?
 (夫)説明が親切なところがいいなあ~
 (お店)いらっしゃいませ!
というCMをやっているが、こういう親切なところを選ばない方がいいと思う。

親切な説明をするのはコストが掛かる。
そのコストをどこから持ってきているかというと、客の手数料である。
この件は昔ブログを書いた。

イジハピ! : 【第329回】証券会社のCMが(悪い意味で)気になる

じゃあ親切な説明なしにどうやって複雑な金融機関/金融商品を選べばいいかというと、自分で調べればいいと思う。
ぼくは、やはり山崎氏のこの本で勉強した。





2008年に旧版が出たときは、リーマン・ショック直後だったので、旧版のメソッドをまるまる実行したぼくはそこそこ儲かった。
儲かったって言っても、元手が少ないからチョビットですよ。

その本の改訂版が、今月出た。
改訂版はNISA、アベノミクスという内容を盛り込んでいるが、そのぶん基本的な説明が圧縮されて難しくなったように思う。
ただ、本書は原理を説明するだけでなくて、その時々で最適なポートフォリオもバッチリ固有名詞で書いているので、その意味では新しい方が望ましい。

この事情は、ぼくは著作者の立場で分かる。
(ぼくなんかがベストセラー作家の山崎氏と勝手に共感するのは明らかに僭越だが)
Perlの本でも、文字コードの本でも、新しいトピックを入れようとすると分厚くなる。
原理的な不変部分は原理的な不変部分でやはり残したいからである。
でも本を分厚くすると途端に売れなくなる。
場合によっては出版社が出してくれなくなるのである。
だから、新しい本は涙を飲んで削るか、圧縮する必要がある。
どの方針を取っても
 「原理的なことが書いてない」
 「新しいトピックが書いてない」
 「分厚くて重い」
 「説明が難しい」
というご意見のどれかをアマゾンのレビューで貰うことになる。
「すぐわかるオブジェクト指向Perl」なんか、同じ本がこの4つのうち上の3つを全部もらった。
ご意見はどれもありがたいが、すべてを満足させるのは不可能だ。

最適解は、どんどん分厚くして行って、内容をモジュール化し、読者が分かっている部分は読み飛ばし、分からない部分や、新しいトピックだけをつまみ読みできるようにすることだろう。
その実現にはもう一段高度な電子書籍が必要だと思う。

「全面改訂 超簡単 お金の運用術」の場合は、原理的な部分を圧縮していて、多少難しいと感じた。
この5年で読者の金融リテラシーも上がったと思ったのか、どうせ新版を買う人は旧版も買うと思ったのか。
新版を読んで難しいと感じる方は、旧版も買ったらどうだろうか。
古本が安く売っている。

ぼくは旧版も新版もKindle版を持っているが(旧版は紙の本を持っていたが、Kindle版があったので買いなおした)、今見ると旧版はKindle版がなくなっている。
「Kindle化リクエスト」ボタンはついているが、明らかに意図的に削除されているので、リクエストしても無駄だと思う。
これがちょっと残念だ。

話を戻すが、勉強した結果を踏まえて、どこに口座を持てばいいかというと、ネット証券がいいと思う。
ぼくは上の本を読んで面白かったので、お礼の意味をこめて山崎氏が勤務している楽天証券にしてみた。
本記事は我ながらキモチワルイぐらい山崎元推しになっているが、誓ってステマではない。
筆者とは知遇を得ていないし、当然何の報酬も得ていない。

ネット証券はセールスマン、セールスレディ(まとめてセールスパーソン)がいないので、そのぶん経費が節減されている。
当然、しょうしょう面倒なパソコン操作をしなければいけない。
ボタン1つで何十万円もお金を動かすのはストレスである。
でも、それに耐えられるのは自分の「強み」であって、そのぶん余計な手数料を軽減できると思う。

でっかい証券会社はセールスパーソンと会わなければならない。
当然あっちは立派なビル、オフィス、おいしいコーヒーを用意しなければならないし、セールスパーソンの安からぬ給料も叩き出さなければならない。
いきおい、手数料の大きい製品、金融会社に取っておいしい商品を勧められることになる。
これは、別にでっかい証券会社やセールスパーソンを排撃しているわけでなく、理の当然として、原理的にそうならざるを得ないと思うのである。

また、ぼくは個人的に、でっかい証券会社に行ったり、場合によっては自宅にセールスパーソンを招じ入れるのがたいへん苦痛である。
ぼくはその辺に買い物に行くのもユニクロのイージー・ショートパンツを着ていたい方であるし、家では何なら全裸でいたい。
また、ぼくの家は基本的にゴミ屋敷なので、人なんか入れたくない。
証券会社の人なんかと会うのに、小奇麗な格好をして、部屋を掃除したりして、何時間も費やすのは耐えられないのである。
だったら、幸いぼくはパソコンがまあまあ得意なので、ネット証券でバンバンボタンを押して売り買いした方が気が楽だ。
基本的にインデックスファンドのほったらかし投資なので、真剣にボタンを押すのは年に数回である。

立派な証券会社で対面販売の製品を買わないほうがいい、という主張は、山崎氏の専売特許だけではなく、竹川美奈子氏も言っている。



山崎氏や竹川氏のような経済評論家、ファイナンシャル・アドバイザーというのも結局は商売であって、ぼくが株なんか買って得しようが損しようが、場合に寄っては破産して泣きをみようが何の保証もしてくれない。
本が売れた文の印税だけはチャッカリもらっていくだけの存在だ。
だから100%の信用は出来ないし、宗教のように信じてしまうのは(他のどんなことにも当てはまるが)危険である。
また、お金をちょっと貯めるために、「お金が貯まる本」なんかを何冊も買うのもダサい話だ。
Webをみればいいという気もするが、Webはまたいろんな人がいろんな時点で好きなことを書いていて、正しい情報を得るのが至難の業だ。
(リスク資産の運用は基本ギャンブルなので、「正しい」情報は厳密には得られない)
あちこちWebを渉猟して費やす時間的コストもバカにならない。
だったら本業に精を出したほうがいい。

ああでもないこうでもないと考えているとわけがわからなくなるが、ぼくの場合は、一渡り本を読んで、とりあえず納得が言ったので、今は山崎氏の方針(セールスパーソンのいないネット証券で手数料なしのインデックスファンドを買う)を支持している。