一昨日、お笑い番組の悪影響について書いたが、いま、最も悪影響があると思う番組は、政治家が出てくる国会中継と、討論番組だ。

国会中継は、学校のクラスの話し合いにおいて、やってはいけないとされていることを堂々とやっている。
人が発言している最中にわあわあとヤジを言う。
人の質問にちゃんと答えない。
論点を発散させ、自分の主張だけを言う。

政治家の論点ずらしで一番イヤなのが「～と言う前に」というやつだ。
ぼくがアパートの家賃を払わないで大家さんに「なぜあなたは家賃を払わないんですか」と聞かれたときに「家賃を払う、払わないの議論をするその前に、あなたが家賃とおっしゃるそのお金について考えてみようじゃないですか」などと言い出したら殴られると思う。

聞かれた言葉に簡明に答えず、他人の発言を邪魔する。
最終的には人の発言を打ち切って強行採決に掛ける。
悪い大人の姿をテレビで見て、それで子供が悪くなるのが本当に心配なら、国会中継こそ最悪のテレビである。

芸人が演じるキャラクターの場合は、大人の良いお手本ではないと、あらかじめ自認している。
戯画化された人間を演じている姿であって、だからおかしい。

しかし、国会議員は選良と言うぐらいであって、我々の中から特に優れた人として選出された代表である。
しかもその話し合っている内容は、税金を預かってどう使うか、原発を持つか捨てるか、若者を戦争に送るか送らないかと言う、最も深刻な、真剣な内容であって、最も真面目に議論を尽くさなければならないはずである。

それを聞いている人はわあわあ野次を言うし、答える人は真面目に答えない。
これをテレビで見ている子供は、ああ日本で一番偉い人であっても、話し合いはああやって好き勝手にしていればいいんだ、真面目なことは話し合いで決めないでいいんだ、どうせ時間切れになって多数決で決めればいいんだと思うだろう。
そうすれば政治に期待することもなくなり、若い人が投票することもなくなる。
まあそれが国会議員の思うつぼなのかもしれないが。
Japanese Diet Hall Raising Ceremony 1927