先日、インターネット動画サイトの「ニコニコ生放送」で、とんでもない音楽の実験が放送された。
元カシオペアのキーボーディストで、パソコンマニア、ネットマニア、鉄道マニアで知られる向谷実氏が、「レコーディング可視化」と題してレコーディングからミックスまでを半日で仕上げ、翌日にはダウンロード販売するという企画である。
これをすべて生放送し、視聴者からのコメントも受け付けたのである。
元カシオペアのキーボーディストで、パソコンマニア、ネットマニア、鉄道マニアで知られる向谷実氏が、「レコーディング可視化」と題してレコーディングからミックスまでを半日で仕上げ、翌日にはダウンロード販売するという企画である。
これをすべて生放送し、視聴者からのコメントも受け付けたのである。
「レコーディング可視化」としては今回が2回目であるが、今回はもう1つの実験的試みとしてAKB48から佐藤亜美菜、倉持明日香、中村麻里子の3人が加わることになった。
佐藤亜美菜は作詞も担当している。
みらくるないん(佐藤亜美菜オフィシャルブログ「あみなといつしよ」)
上記のブログでは「ら抜き言葉」になっている部分が実際の歌では修正されたりしているので、本当に自分で書いた歌詞のようだ。
相当天才的な歌詞で驚いた。
最初は秋元康に向谷実がこういうことをやりたいと2月10日に声を掛け、14日にデモテープを送ったら、17日に人選が連絡され、23日にはレコーディングと言う強行軍となった。
【スペシャルロングインタビュー】向谷実×AKB48「もうこんなじかん」制作秘話(Gaudio+PCオーディオfan)
通常AKBのレコーディングは数十分で終わってしまうらしい。
人数が多いので大体歌割が1人10秒ぐらいしかないからもあるが、「オートチューン」で歌の音程をデジタル補正してしまうことも多いと言う。
(向谷はわざわざ「今回オートチューンは絶対使わない」と宣言していた)
カラオケも大体レコーディングに行くと完パケが出来ていて、あとは歌うだけ、というパターンが多く、今回もそのつもりだったらしい。
しかし、実際に行ってみると生バンドがいて、目の前で演奏していて驚いたと言う。
向谷が「今日やるのはぼくの本職のフュージョンという音楽で、16ビートの裏打ちを中心にした音楽です」と言う。
そこまでフュージョンって限定的な定義の音楽だったのかー!
笑った。
まずは向谷のピアノで歌の練習。
途中の部分をハモってみたら、と向谷が提案すると、3人はそれが気になってしょうがないようなので、とりあえずユニゾンで歌うことにする。
3人の歌を聞いてイメージを膨らませて、バンドの練習に入る。
向谷が「3人の歌が16ビートをきっちり刻んでいるから、逆にバンドは8ビートでレイドバックした演奏にした方がメリハリがあって面白いんじゃないか」と言う趣旨のことを言う。
するとホーンセクションのリーダー松木隆裕が「いや、全員でチャカチャカ16ビートを刻んだ方がいい」と反論して、結構な議論になる。
で、急遽向谷が「じゃあ投票にしよう!」と言ってニコ生の投票機能を使った多数決にする。
投票上は松木の意見が多数派になったが、なんとなく向谷の意見寄りのアレンジになったようだ。
バンド録りが終わったらボーカル録音になる。
「符割りが3人違う部分がある」
「カフェモカって言葉が言えていない」
などと、向谷がやさしい言葉ながら細かいディレクションを加えていく。
この歌入れも長時間に渡った。
「“ねえねえ”、っていう歌詞は、亜美菜ちゃんどう歌えばいいんだろう」と向谷が聴くと「ねえねえ・・・とセリフっぽく、甘えた感じで言うんだと思います」と提案する場面もある。
面白いなー!
サビは同じ歌を2回歌って重ねる(微妙にズレて分厚くなる)というフィル・スペクター的な手法で録音する。
「3回目も歌ってみよう・・・あ、やっぱりうるさくなるからいいや」という試行錯誤もある。
そしてドラムを撤去してホーンセクション、12人のヴァイオリニスト(高嶋ちさ子抜き)によるストリングスの録音、ジャケットの撮影と進んでいく。
向谷がAKBと取材を受けている間に、西脇辰弥がオープニングのジャーンジャンジャーンジャンジャーン・・・というところをシンセのノコギリ波で補強したり、「アイドルでは良くやる手法なんですが・・・」と言ってサビのメロディにチャイムを重ねるアイディアを出したりする。
AKBが帰ってからも向谷は徹夜でミックスをする。
実はこの後「寝落ち」するのだが、その瞬間もカメラはおさえている。
実に13時間の生放送であり、いまでもYouTubeで見られる。
本当に面白かった!
本物の一流プロの現場であって、それを最初から最後までノーカットで、解説を加えつつ見せるのが面白い。
ぼくは本当にこういうのが好きだ。
ものごとの中身を見るのが好きなのだ。
こういうの、他でも(科学の実験や、大工仕事や、ダンスのレッスンなどでも)やって欲しい。
「プロジェクトX」や「情熱大陸」のような妙なメッセージ性のあるものはいらない。
あれは最悪だ。
そうではなくて、プロが淡々と楽しそうに自分の仕事をして、普通に出力をするところをそのまま見たい。
そういう意味でも今回のニコ生は最高だった。
音楽が好きな人、仕事が好きな人は絶対見た方がいい。
佐藤亜美菜は作詞も担当している。
みらくるないん(佐藤亜美菜オフィシャルブログ「あみなといつしよ」)
上記のブログでは「ら抜き言葉」になっている部分が実際の歌では修正されたりしているので、本当に自分で書いた歌詞のようだ。
相当天才的な歌詞で驚いた。
最初は秋元康に向谷実がこういうことをやりたいと2月10日に声を掛け、14日にデモテープを送ったら、17日に人選が連絡され、23日にはレコーディングと言う強行軍となった。
【スペシャルロングインタビュー】向谷実×AKB48「もうこんなじかん」制作秘話(Gaudio+PCオーディオfan)
通常AKBのレコーディングは数十分で終わってしまうらしい。
人数が多いので大体歌割が1人10秒ぐらいしかないからもあるが、「オートチューン」で歌の音程をデジタル補正してしまうことも多いと言う。
(向谷はわざわざ「今回オートチューンは絶対使わない」と宣言していた)
カラオケも大体レコーディングに行くと完パケが出来ていて、あとは歌うだけ、というパターンが多く、今回もそのつもりだったらしい。
しかし、実際に行ってみると生バンドがいて、目の前で演奏していて驚いたと言う。
向谷が「今日やるのはぼくの本職のフュージョンという音楽で、16ビートの裏打ちを中心にした音楽です」と言う。
そこまでフュージョンって限定的な定義の音楽だったのかー!
笑った。
まずは向谷のピアノで歌の練習。
途中の部分をハモってみたら、と向谷が提案すると、3人はそれが気になってしょうがないようなので、とりあえずユニゾンで歌うことにする。
3人の歌を聞いてイメージを膨らませて、バンドの練習に入る。
向谷が「3人の歌が16ビートをきっちり刻んでいるから、逆にバンドは8ビートでレイドバックした演奏にした方がメリハリがあって面白いんじゃないか」と言う趣旨のことを言う。
するとホーンセクションのリーダー松木隆裕が「いや、全員でチャカチャカ16ビートを刻んだ方がいい」と反論して、結構な議論になる。
で、急遽向谷が「じゃあ投票にしよう!」と言ってニコ生の投票機能を使った多数決にする。
投票上は松木の意見が多数派になったが、なんとなく向谷の意見寄りのアレンジになったようだ。
バンド録りが終わったらボーカル録音になる。
「符割りが3人違う部分がある」
「カフェモカって言葉が言えていない」
などと、向谷がやさしい言葉ながら細かいディレクションを加えていく。
この歌入れも長時間に渡った。
「“ねえねえ”、っていう歌詞は、亜美菜ちゃんどう歌えばいいんだろう」と向谷が聴くと「ねえねえ・・・とセリフっぽく、甘えた感じで言うんだと思います」と提案する場面もある。
面白いなー!
サビは同じ歌を2回歌って重ねる(微妙にズレて分厚くなる)というフィル・スペクター的な手法で録音する。
「3回目も歌ってみよう・・・あ、やっぱりうるさくなるからいいや」という試行錯誤もある。
そしてドラムを撤去してホーンセクション、12人のヴァイオリニスト(高嶋ちさ子抜き)によるストリングスの録音、ジャケットの撮影と進んでいく。
向谷がAKBと取材を受けている間に、西脇辰弥がオープニングのジャーンジャンジャーンジャンジャーン・・・というところをシンセのノコギリ波で補強したり、「アイドルでは良くやる手法なんですが・・・」と言ってサビのメロディにチャイムを重ねるアイディアを出したりする。
AKBが帰ってからも向谷は徹夜でミックスをする。
実はこの後「寝落ち」するのだが、その瞬間もカメラはおさえている。
実に13時間の生放送であり、いまでもYouTubeで見られる。
本当に面白かった!
本物の一流プロの現場であって、それを最初から最後までノーカットで、解説を加えつつ見せるのが面白い。
ぼくは本当にこういうのが好きだ。
ものごとの中身を見るのが好きなのだ。
こういうの、他でも(科学の実験や、大工仕事や、ダンスのレッスンなどでも)やって欲しい。
「プロジェクトX」や「情熱大陸」のような妙なメッセージ性のあるものはいらない。
あれは最悪だ。
そうではなくて、プロが淡々と楽しそうに自分の仕事をして、普通に出力をするところをそのまま見たい。
そういう意味でも今回のニコ生は最高だった。
音楽が好きな人、仕事が好きな人は絶対見た方がいい。