前回の続き。
日本語1音の名詞を分類する試みとして、前回「絵」を分析した。

前々々回「胃」(い)には以下のような特徴があると分かった。

 ・物体である
 ・自然に存在する
 ・世界に無数にある一般的なものの名前である
 ・一個の独立したものであるとも、連続したものの範囲であるとも言える
 ・より大きな別のものに従属したものとしてのみ存在する
 ・生命を持っている
 ・母体から切り離されると死ぬ
 ・だいたい大きさが決まっている(※前回「絵」について考察していて追加した属性)

そして前々回「鵜」(う)には以下のような特徴があると分かった。

 ・物体である
 ・自然に存在する
 ・世界に無数にある一般的なものの名前である
 ・生命を持っている
 ・一個の独立したものである
 ・独立して生きている
 ・だいたい大きさが決まっている(※前回「絵」について考察していて追加した属性)

そして前回「絵」(え)には以下のような特徴があると分かった。

 ・情報であるか、その情報を定着させた物体(画材)である
 ・人工のものである
 ・人間が鑑賞するためのものである
 ・世界に無数にある一般的なものの名前である
 ・一個の独立したものである
 ・生命を持っていない
 ・どんなに小さいことも、どんなに大きなこともある

そして今日は「尾」(お)について考える。

Orange and white tabby cat with the impressive tail-Hisashi-01
尾は動物のお尻についている器官である。
手や足と同じで外側についている。
この点で胃や腸のような内臓とは違う。

内臓の対義語を辞書で調べたが書いてなかった。
ちなみに男性の睾丸は冷却の都合で体外に出ているが、内臓のような気がする。
内臓と非内臓器官を分けるものはなんだろうか。

なお、尾は人間にはない。
尾骶骨があるので、類人猿から進化する過程で退化したと言われている。

まとめると

 胃:動物の内臓である。人間にもある
 手:動物の器官であるが、内臓ではない。人間にもある
 尾:動物の器官であるが、内臓ではない。人間にはない

という分け方である。

では人間にはない内臓ってあるのだろうか。
牛のように胃が4つもあったり、鶏のように「スナズリ」があったりする。
この切り口でいろんな器官を分類するのも面白いと思うのだが、そういう学問があるのだろうか。

尾は独立した機関のようだ。
犬は親愛の情を示すために左右に尾を振る。
また縦に曲げて腹の下に入れるのは服従を示すそうである。

ところで蛇の尾はどこからだろうか。
これも生物学的には結論が出ていて、産卵器、排便器、排尿器をすべて兼ね備えた「総排出孔」という穴よりも後ろが尾だそうだ。
まあ人間が勝手に決めたことであるが、少なくとも生物学者の間では「何を持って尾とするか」が問題になっていることが分かる。

トカゲは蛇と同じ爬虫類で近い親類だと思うが、外敵に捕まえられると尻尾が抜けてその場に残る。
尻尾はしばらく生きて動いているので、その間に本体は逃げる。
これがいわゆるトカゲの尻尾切りであって、ぼくは小さいころによくトカゲを捕まえようとして何度か経験したことがある。

ところで尾のことを尻尾と書いてシッポと読む。
尻がシリだから尾はポと読むのかとも思うが、オッポとも言う。
オッポの場合は尾尾だろうかとも思うが、そういう書き方はないようだ。
たぶん尻尾と書いてシッポと読むからと言って、どこがシッでどこがポという区別はなく、鹿児島県出身のひとをサツマッポと呼ぶのと一緒でポは語調を整えるためにあるのではないだろうか。
また、尻以外から尾が出ることはなく、尻尾とわざわざ書かなくてもいいような気がする。

では分類に入る。
これは「胃」とだいたい一緒である。

 ・物体である
 ・自然に存在する
 ・世界に無数にある一般的なものの名前である
 ・一個の独立したものであるとも、連続したものの範囲であるとも言える
 ・より大きな別のものに従属したものとしてのみ存在する
 ・生命を持っている
 ・母体から切り離されると死ぬ
 ・本体の大きさに対して、だいたい大きさが決まっている
 ・人間にはない

いくつか注釈が必要であろう。

 ・一個の独立したものであるとも、連続したものの範囲であるとも言える

これは、さんざん蛇の尻尾はどこからかとか議論したので、明確になっているのではないかとも思えるが、じゃあミミズの尻尾はどこからか(それともミミズにはシッポはないのか)などという問題になる。
生物学で決まっていても、諸説あるかもしれないし、普通の市井の人の言語感覚も大切にしたいので、ここはぼかしておく。

 ・本体の大きさに対して、だいたい大きさが決まっている

これは「胃」の「だいたい大きさが決まっている」を拡充したものだ。

ゾウのシッポは、ゾウの間ではだいたい大きさが決まっているが、ゾウのシッポは大体蛇ほどもあるであろう。
だから、動物の種類を変えると全然大きさが変わる。

胃もそうであって、人間の胃とハムスターの胃は全然大きさが違う。
だから「本体の大きさに対して」という言葉を付加した。

 ・人間にはない

これが「胃」と「尾」の違いである。
だから「胃」には

 ・人間にはある

という属性を追加しよう。



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