最近家にLinuxのマシンが必要になって、いろいろいじってみている。

最初はUbuntuをEPSONの薄型デスクトップに入れてみたが、Unityというタブレットを意識したデスクトップ環境がちょっとすごく革新的すぎるのと、ファイルを検索するとAmazonの本がぞろぞろ出てくるのがちょっと気になった。
また、薄型デスクトップはファンの音が大きいので(家が静か過ぎるのだが)、これもちょっと気になった。

それでLinux Mintというのが評判がいいので、Think Pad X121eに入れてみたが、日本語化で手間取ってまたUbuntuに戻してみたくなった。
ということで、今回はThink Pad X121eにUbuntuを戻してみる。
Amazonの広告も消し、またシェルもGNOME Shellというのが評判がいいのでこれに変えてみる。
まず、前回同様Ubuntu Japanese Teamのサイトから「日本語REMIXバージョン」の最新ISOをダウンロードし、Unetbootinを使ってそれをUSBメモリーに焼いた。

そして、USBからThinkPadを起動した。
前回、起動画面にBIOSに行く方法やブートディスクを選ぶ方法が書いていないと文句を書いたのだが、実際には「詳しくはEnterを押してください」と書いてあって、Enterを押すと「BIOSに行くにはF1を、ブートディスクを選ぶにはF10を選んでください」という表示が出てくる。
濡れ衣を着せてすみませんでした>Lenovo

そしてUbuntuをインストールする。
これは本当にカンタン。
前回「キーボードレイアウトを選ぶとテキストボックスでテストさせてくれるMintはすばらしい」と書いていたのだが、これは実際にはUbuntuでも出来た。

Ubuntuを起動すると、まず日本語関係の設定を確認する。
Firefoxの検索窓や、エディターのgeditで、最初から日本語入力システムのAnthy+ibusが入っていることが分かる。
この点ははっきりMintに比べて一日の長がある。
素晴らしいすばらしい。

Mintのときも述べたが、日本語入力システムの起動キーがCtrl+Spaceなのが気になる。
Emacsのマーク(選択範囲の開始)とカブるのである。

やはりWindowsと共通のAlt+Grave(`)にしたい。
まず、「レンズ」で「ibus」と入力すると「キーボード・インプットメソッド」というのが選べるようになるので起動する。
次に「一般」の「切り替え」で「Control+Space」を含めいろんな無駄な起動方法があるので削除し、Alt+Graveだけを残す。

ところが、これだけではダメで、すでにAlt+Graveには別の機能(アプリケーションの中のペインフォーカスの移動)がバインドされているようなので、これを外す。
Lensからcontrolと入力して「システム設定」を表示する。
ハードウェア=>キーボード=>ナビゲーションとたどる。
ここまでまったく同じことを前回も書いたが、Mintではこのナビゲーションがなくなっていてここで諦めた。
いろんなところで問題になっているのでそのうち直るであろう。
で、Ubuntuではナビゲーションがあったので「ひとつのアプリケーション内のウィンドウ」を適当なキーにバインドする。
(実際には、いったん別のキーにバインドしたあと、また選択しなおしてバックスペースで消すとどのキーにもバインドされなくなると書いてある。いかにもバッドノウハウくさいが・・・)

ところが!
UnityではこのTipsが聞かず、いつまでもAlt+Graveが効かなかった。
ちょっとしおしおとなった。

気を取り直してAmazonの広告を削除する。
最初は気にならなかったが、気になりだすと気になるものである。
これは、コマンドラインから

 $ sudo apt-get remove unity-lens-shopping

で削除できる。
スッキリ。

次に、あらためてシェル(デスクトップ環境)について考えた。
Unityは確かに見た目が奇抜で面白いのだが、やはりWindowsやMacなどの感じから少しかけ離れている。

あと、気になるのが、メニューバーが現在アクティブなアプリケーションについてディスプレイの上端に固定で表示されるということである。
Macintosh方式だ。
メニューバーの表示方法には他に、アプリケーションを起動するごとに各ウィンドウについて表示されるWindows方式がある。
GNOME Shellであればこのアプリケーションごとのメニュー表示になり、ぼくはこっちの方が好みである。
ということでGNOME Shellをインストールしてみることにした。

またコマンドラインでsudo apt-getでもいいのだが、もっとカンタンな方法がある。
UbuntuにはソフトウェアセンターというiPhoneやMacのAppStoreのようなものがあり、ここで有料/無料のさまざまなアプリケーションをダウンロードして導入出来るのだ。
Screenshot_from_2013-02-24 14_00_43

やっていることはapt-getと変わらないのだが、ソフトウェアセンターを使うと、ウロ覚えのプログラム名であってもインクリメンタルサーチしてくれるのだ。
「GNOME Shell」の場合は「gnom」で表示される。
ダブルクリックするとルートのパスワードを求められるので(デフォルトでは最初にインストールしたときのユーザーパスワードと同じ)、これを入力するとアッという間にインストールされる。

「GDM」と「Light DM」のどっちを選ぶかと言われるが、よく分からないのでとりあえず「GDM」を選んでみる。
Mintのときも感じたが、このへん自由度が高すぎて迷うことが多い。

「GNOME Shell Extensions」
「Tweak Tool」
も入れてみた。

ここでいったんログアウトし、「セッション」の中から「GNOME」を選んで再度ログインする。
ここで「Ubuntu」を選ぶとUnityが選ばれてしまうので注意が必要だ。
(逆に言うと、いつでもUnityに戻すことが出来る。)

起動すると、まったく何も表示されていないウィンドウが出てきて少々ビビる。
GNOME Shellはこれがデフォルトで、ここからいろいろ追加していく。

「アクティビティ」をクリックすると、ここがいわばスタートメニューで、検索メニューが出てくるので、ここでたとえば「fire」と入力するとFirefoxが表示されるし、「term」を入力すると端末が表示される。
例によってインクリメンタルサーチなので、ウロ覚えでもよい。
デフォルトではWindowsキー(Superキー)にこのアクティビティがバインドされていて、Windowsキーを押してプログラムの名前を適当に入れてプログラムを表示させられる。

ここで候補が複数ある場合は矢印キーでフォーカスを移動してからリターンで確定すると、アプリケーションが起動するのだ。
完全にキーボードだけでナビゲーションが可能だ。
これは便利なので、覚えておくと良い。
「tweak」と入力すると「Tweak Tool」が選択できるので起動し、この中の「GNOME Shell拡張機能」でいろいろいじっていく。
「GNOME Shell カスタマイズ」でググるといろんな人のおすすめが出てくるので、楽しみながら入れていく。

さて、この過程で驚いたのが、Windowsと同じAlt+GraveでIME起動が効いていたのだ!!!!


ということで、上のAlt+Graveがカスタマイズ出来ないという現象は、Unityの不具合という節が濃厚のようだ。
これで一気にUbuntu使える!という気分になった。

ソフトウェアセンターからEmacsも入れてみた。
日本語入力はやはりAlt+Graveで出来るが、昔のMacのEG Bridgeみたいにちょっとしたサブウィンドウが出てそこで変換する懐かしい感じである。
(逆に今のエディターの中に直接日本語が入ることを「インライン入力」とか言って騒いでいたのを思い出す。年がバレるなあ~)
ちょっとわずらわしい気がするが、まあ快適だ。

MintでEmacsでAnthy+ibusを使おうとすると、昔の「たまご」のように縦バー(|)で囲まれた変換エリアが出てきて手こずった。
それにくらべるとUbuntuはグッとマシである。
Ctrl+U/I/O/Pで字種を変更できる、ATOK風のキーバインドにも出来る。
どこだったか忘れてしまったので、「Anthy ATOK」でググってください。
(ひどい)

まとめると、Windowsで出来ることは今のところだいたい全部出来るような気がする。

ということで、日本語設定にはUbuntuの方が一日の長があり、アマゾンを消してシェルさえ変えてしまえば断然Ubuntuの方がすぐに使い始められる。
まとめるとこうなる。

 ・Ubuntu Japanese TeamのサイトでUbuntu日本語REMIXのISOをダウンロードし、UnetbinというユーティリティでUSBに入れる
 ・UbuntuをインストールするとUnityで起動する
 ・アマゾンの広告を消す(ただし、Gnome Shellを使うのであればこの過程は不要かもしれない)
 ・ここでソフトウェアセンターでGnome Shell、Gnome Shell Extentions、Tweak Toolをインストールする。GDMとLight DMとどっちにしますかと聞かれる。GDMを選ぶ
 ・また、ibus設定で日本語IMEの起動キーからAlt+Grave以外を消し、キーボード設定の「ナビゲーション」「ひとつのアプリケーション内のウィンドウ」のバインドを消す(GNOME Shellでやってもいいかもしれない)
 ・ログアウトし、セッションからGnome Shellを選んでログインする
 ・ソフトウェアセンターや、Tweak TookのGnome Shell Extensionsからいろいろ選んで入れて遊ぶ

めちゃめちゃハンディである。

よく「Linuxはカンタンだ」「すぐ使えて軽くて安定している」という言説を聞き、その気になってやってみるとウソつけと思うことが昔は良くあった。
時代は変わっていて、ここまでカンタンに、無料で使えるOSがあったのである。
Ubuntuをおすすめする。

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