昨日のあらすじは
 ・地アナ時代の録画(SD画像:640x480)をぼくは大量に持っている
 ・これをフルハイビジョンのブラウン管(HD画像:1920×1080)に表示すると非整数倍に拡大されるためにじみが出て見るに耐えない
 ・地デジ(1440×1080)も拡大されているが、これは肉眼ではよく分からないようだ
 ・逆に地アナ時代のブラウン管で地デジ画像を見ると、上下に黒い帯は出るがくっきりきれいに見える
 ・それでブラウン管を手放せなかったが、ついに大型液晶に変えてしまった
というものである。

今日はその続き。
CIMG0127
ハイビジョンブラウン管で地アナ時代の録画を見ると、原理的に見るに耐えない。
これは厳然たる事実であるが、あまり報道されない。

しかしながら、当然ユーザーサイドでは問題になっている。
一番問題にしているのは古いファミコンのゲームを愛しているマニアである。
ゲームにとっては画像のゆがみやにじみは(キャラクターの)生死に関わる問題だ。
「ふっかつのじゅもん」が読めなくなってしまったら困るだろう。

東芝レグザはこの問題にもっともいろいろ取り組んでいるユーザーで、「SDゲームファイン」「SDレトロゲームファイン」などという映像モードを用意してファミコンのゲームも楽しめるようにしている。
このモードを転用すれば、SD時代のテレビ録画もきれいに見られるのではないかとかねがね思っていた。

東芝はゲーム以外にも、普通のDVD画像をHDブラウン管できれいに見る方法を模索している。
偉い。
まあ、あれだけRDシリーズを開発して録画文化を花開かせたのだから当然だろう。
映像の方のアプローチは「超解像」と言って、拡大によって増える隙間を計算して埋めるというものだ。
だが、私見では、これがちゃんと働いたところを見たことがない。
結局、にじむ。
こういうの、一喜一憂しながら一生懸命見比べていると気持ちが悪くなるのである。
現状では到底美しいとは言えない。

では、SDゲームモードでSDテレビを見るとどうなるか。
電気屋の店先ではテレビがはめ殺しの状態で、デモムービーか地デジが流れており、参考にならない。
ここにSDプレイヤーを持ち込んで接続する勇気はない。

たまにDVDプレーヤーがつないでいることがあるので、店員に頼んで自宅から持参の地デジ時代のビデオを掛けてみた。
デフォルトでは当然地デジ用のHD画面であって、にじむしゆがむしもうメチャクチャだ。
で、リモコンをいろいろいじって映像モードを変えてみたが、どうやってもお目当ての「SDゲームファイン」「SDレトロゲームファイン」が出てこない。

その場で(電気屋の店先で)iPhoneを使ってマニュアルを調べると(便利な世の中だね)、「SDゲームファイン」「SDレトロゲームファイン」はアナログ映像端子、それも赤白黄のコンポジット端子ではなくD端子に接続する必要があるということだ。
D端子ケーブルをその場で買ってつなぎ替えさせてもらおうと思ったが、それほど元気もなかった。

ちなみに、赤白黄のコンポジット端子も、D端子も、アナログ端子はもうすぐ廃止されることが決まっていると聞く。
それがないと、コピー自由なDVDレコーダーやVHSレコーダーを、いつまでも使われてしまうことになるからだ。(Wikipedia
ここにテレビのデジタル化を推進する企業、メディア、省庁の本音がある。
古いビデオをコピーされると困るので、国を挙げて地デジにし、ダビング10を導入し、HDMI端子を盛り上げてきたのだ。
すげえな、権利者!
まあ、それをここで言いつのってもしょうがない。

ということで、実機でのチェックはついにできなかった。
東芝のショールームに行けばいい、と思っていたが、東芝のショールームは現在ない。
これも困ったものだ。

ということで、不見転でテレビを買ってしまった。



実際には同じフルハイビジョン(1920×1080)であれば小さい液晶の方がきれいに見える可能性があるかなとも思ったが、HDの映画を大画面で見るのも捨てがたいと思って42にしてしまった。

また、ひとつ問題なのが、レグザでも最高機能のZシリーズは3Dモデルが多いのだ。
前にも書いたがぼくは斜視で3Dが3Dに見えない。

あと、いまの「3D」がどこまで意味があるのか良く分からない。
何回も書くが、今のテレビは芸人のラーメン食べ歩きとひな壇トークが主眼である。
これを飛び出す画面で見る必要はそんなになかろう。
そして、ぼくがテレビを見る主な理由である古いテレビや映画は当然3D化していないのである。
もともと2Dだった映像を「疑似3D」にする技術もあるが、原理が分からないし、意味が分からない。

「アナログ」から「デジタル」にテレビを買い替えさせたのに、さらに「2D」から「3D」にテレビを買い替えさせる必要があるだろうか。
テレビってそんなに毎年買い替えるものか?
古いテレビは廃棄物になる。
最近は不用品回収車というのが大音量を出して、軽トラに乗って時々やってくるが、あれに出したテレビは中国の人が川辺で硫酸に溶かして金を取ると報道特集だかバンキシャだかでやっていた。
どう考えてもエコではない。
(大型液晶テレビに「エコポイント」が付くのも奇怪な感じがしたものだ。テレビの買い替えのどこがエコだよ!)
じっさい、あまり3D買い替えブームは湧き起っていないと思う。

現在の3Dの映像形式は2種類ある。
アクティブシャッター方式と偏光方式だ。
アクティブシャッター方式は、右目用の映像と左目用の映像を短い時間に切り替えて表示し、メガネ側も電気駆動のシャッターを同期させて開閉して3D効果を得られるものだ。
時間的に半分に間引かれた画像を見ることになる。

一方偏光方式は、画面の表面に偏光フィルムを張って、縦ラインの半分を横方向偏光、半分を縦方向偏光に割り振るものだ。
したがってHD画像であっても半分の画素数に間引きされる。
空間的に半分に間引いているのだ。
メガネ側も左右で偏光方向が異なる偏光レンズを用いる。
メガネを電気駆動する必要がないので安価で軽くなる。

東芝は偏光方式を採用している。
問題は、ぼくは斜視だし古い映像ばかり見ているので3D機能をオフにしていいのだが、偏光方式の場合は3Dがオフであっても偏光フィルム自体は貼っているのだ。
不要なフィルムが手前に貼っているわけで、これが2D時にも影響するのかどうか分からない。
価格.comのレビューなどでは「暗くなる」「見られる角度が狭くなる」という意見があるが、真偽のほどは分からない。
とりあえず不要なフィルムなんかが貼っているのは気持ち悪いものだ。

斜視で3Dが見えない人はぼくやサルトルをはじめ結構いると思うのだが、一家の団欒で家族の誰かが斜視、と言う場合どうするのだろうか。
(一家の団欒で全員サングラスを掛けているのも変だと思う)
斜視の人もメガネを掛ければ2D同様見えるはず、だと思ったが、映画館で調べたところとても見づらかった。
両眼視の試験をずーっとさせられているような感じになる。
結局その時は片目をつぶって見ることにしたが、それ以降2D上映を見るようにしている。

東芝は裸眼(グラスレス)3D方式に移行すると言われているが、これ斜視の人が見たらどうなるんだろうか。
興味と不安がつきない。

話がそれたが、3D用の偏光フィルムが貼ってなくてZ型番であるという理由でテレビは42ZT3を選んだ。
東芝は3Dがないテレビも出し続けて欲しい。

録画映像を再生するメディアプレイヤーとしては、「デジ像」ことプリンストンのPAV-MP1を使った。



これはApple TVなどと同じセットトップボックスで、要は画像再生に特化したパソコンのようなものだ。
Apple TVよりもびっくりするほどUIがチープで使いにくいが、出来ることが多い。
USB-HDDに格納された画像を見ることが出来る。
DVDをまるまる吸い上げたISOも見ることが出来るそうだが、DVDにはプロテクトが掛かっているので原則違法である。

今回は東芝RDシリーズで録画した地アナの画像をネットdeダビング機能を使ってパソコンにコピーする。
パソコン側ではLANDE-RDというフリーソフトを起動していると、RDからはパソコンが別のRDとしてふるまうのでダビングできる。
PC側では番組がmpeg2ファイルになり(チャプターは消えてしまう)、普通にWMPなどで見られるが、この画像をUSB-HDDに格納しておけば、デジ像で見られる。
USB-HDDはI-O DATAのものがACアダプターがなくて四角いので好みである。



デジ像は(Apple TVも)LAN上にあるPCの画像が見られるが、PCを起動しっぱなしになるし遅くなるしいろいろ面倒なので試していない。

さて、前置きが長くなったが、これで地アナ時代の番組をレグザで見る準備が整った。

 [USB-HDD]==USB==>[PAV-MP1]==Dケーブル==[REGZA 42Z3]

結論から言うと、「まあまあきれいに見える」であった。
設定としてはこうなる。

 ・PAV-MP1とレグザをDケーブルでつなぐ
 ・レグザの映像設定をゲームにする
 ・レグザの画面サイズをSDゲームファイン(ノーマル)にする

30インチぐらいの超額縁状態になる。
42インチのテレビを30インチとして使うので、もったいない話だが、画面は段違いにくっきりする。

まだまだ申し分なくキレイとは言えない。
ドットは大きく、粗くなる。
しかし、ハイビジョンに無理矢理引き伸ばした破綻画面よりもマシである。

ここで、HD設定の破綻した画面と、SD設定の美しい画面をデジカメで撮ってバーンと比較すれば非常にカッコイイ記事になったと思うのだが、これ、何回デジカメで撮っても、テレビをデジカメに撮る段階での情報の欠損が大きすぎてこの違いがうまく取れないのである。
テレビのスクリーンショットを取る機能があればいいのだが、ない。
また、テレビの画像のきれい/きたないはあくまで動きの中で発生するもので、静止画を切り取るとあまり違いが分からない。

なお、デジ像とレグザをHDMIでつなぎ、映像設定をゲーム、画面サイズをDot by Dotにしてもまあまあ見られる。
ていうか、SDゲームファインのときとあまり変わらない。
この場合も30インチ超額縁状態になる。
ということで、30インチの4:6にすれば、まあまあキレイに見えるということかもしれない。

なお、SD画像のHDへのアップコンバージョンではソニーのPS3が非常に有名だ。
ぼくもPS3も試したが、それほど上のデジ像を使った方法との違いが分からなかった。
なにしろPS3は図体が大きく、それだけの用途でこの機械を置くのはムリだと思って、今回は使用を見送った。

テレビが4K2Kや4K8Kになれば、もっとキレイになるかもしれないが、昔の録画画像をいつまでも楽しんでいる人に奉仕するのはメーカーにとってそれほどモチベーションが湧かないことなので、それほど期待できないかもしれない。

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