もうちょっとテレビの話をしてもいいですか。

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ぼくも人並みに、液晶テレビは大きいし、安いし、薄いし、前から買い換えたいと思っていた。
でもイマイチ踏み切れなかったのは、SD時代のビデオを地デジ用の液晶に映すとすごく汚くなるからだ。

ぼくが一番ビデオをムキになって録画していたのが、RD-X1が出た2001年からRD-X5が出た2004年までだ。
その後もX5は2010年まで使っていた。
地アナ時代だ。

ぼくはお笑いやトーク番組が主なので、画質はあまりというか、全然気にならない。
地アナのSD、640x480の画像で全然困らないのである。
ちなみにワイド画面も必要ない。
横が広いと見やすいというのは、映画館サイズで初めて起こる現象であって、目の前で見るんだったら4:3でいいと思う。

SDだとビットレートは4.6Mbpsで十分だ。
これだとDVD1枚に2時間入る。
この2時間入ったDVD-R(タモリ倶楽部がCMカットして5本とか)が鬼のようにたまっていた。
そのうち大量のDVD-Rが管理しきれなくなったので、RDの「ネットdeダビング」機能を使ってHDDに保管した。
そういうHDDが8TBぐらいある。
DVD1700枚分だから、3400時間分である。
実際にはそんなになかったと思うが(1500枚前後?)DVDが全部なくなったときの異常な爽快感は忘れられない。

これが地デジになってパタッと録らなくなってしまった。
まずワイド画面が気に入らない。
次に解像度が違うのが気に入らないのである。
そしてなんと言っても、コピー制限が気に入らない。
コピーワンスとか、ダビング10とか、記録メディアの録画補償金とかが本当に気に入らない。

ちなみに2010年ぐらいまで、ぼくは地デジ移行は無期延期になると思いこんでいた。
バカ丸出しだ。
日本人全員にテレビを買い替えさせるとか、世界で日本だけ無料の放送にコピー制限を掛けるとか、ありえないと思っていた。
おりしも不景気で、テレビ局は予算が少なくて、クイズ情報バラエティとか、芸人のラーメン食べ歩きとか、ひな壇トークとかばっかりやっている。
深夜などテレショップばっかり何時間もやっている。
そんなの高画質で見てどうするの。
どう考えても無理が多い、国民に利益が少ない計画であって、絶対批判を受けて頓挫すると思っていた。
B-CASの会社もそのうちバッシングを受けて、消えてなくなると思っていたのだ。

しかし、そうはならなかった。
いま思うと、コピー制限に血道を上げるコンテンツホルダーは、テレビ局の「味方」である。
そして新聞とテレビ局は一心同体だ。
だから、少なくともマスコミから批判が起こるはずはないのだ。
それが愚かなぼくには分からなかったので、地デジ機器をずっと買わなかったのである。

最大の問題は、地デジ用の液晶では地アナ時代の録画がきれいに見えないということであった。
きれいに見えないどころか、ぐちゃぐちゃに破綻して見える。
タモリさんの顔がウルトラマンAタイプみたいに見えるのである。



理由は解像度が非整数倍に大きいからである。
地アナは640x480だ。
それに対して地デジは1440×1080である。

きれいに整数倍、たとえば1280x960とかであればいいのだが、非整数倍に増えているので、地アナの画像を地デジ用のテレビで見るとテレビ側の論理回路で強引に補完して映す。
よく解像度が低く設定したパソコンの画像を、強引に解像度が高い液晶にそのままの解像度で出力すると、にじんでブワブワになる。
解像度が高い機材に出したはずなのに汚くなってしまう。
これはこういう理屈である。

現在の液晶はまだまだ画素が荒い。
1ドットが1素子(トランジスター1粒)になっている。
だから粗悪な液晶を買うと、あるドットがずっと消えていたり、輝いていたりすると、それが目立つ。
1ドットぐらいずっと輝いていても、電気屋さんは交換してくれない。
しかし、これが肉眼でバッチリ見えるのである。

それに対してアナログブラウン管は電子レベルで画素を調整している。
逆に、地アナ用のブラウン管テレビに地デジを出すと、額縁状態(周囲に黒い帯が出来る)になるが、中の画像は驚くほど明るく、きれいに見える。

これがあったので、長い間ブラウン管テレビが手放せなかった。

東京スカイツリーの完成が遅れたことも、2011年に大地震があったことも、地デジ移行を遅らせなかった。
国って剛腕だなー、一度計画したら絶対にやり遂げるんだなあと感心した。

まさか関東地方の地デジ電波をいったん東京タワーから出して、そのあとスカイツリーから出すという二段計画にするとは思わなかった。
地デジ用にアンテナを立てた人は、場所によってはスカイツリー用にアンテナを立て直すケースもあるだろう。

そして、まさか被災地区は一部地アナを残したまま残りの地区だけで地デジ化を推し進めるとは思わなかったのである。

地デジ化大使のクサナギくんが酔っ払って公園で裸になるという事件もあったが、それでも地デジ化は止まらなかった。

ぼくが地アナに見切りを付けたのは、2010年である。
上下に常時「アナログ放送は見られなくなります」という字幕が出るようになって、さすがに耐え切れなくなった。
それでレコーダーをRD-X9にして、地デジを見ることにした。
でもブラウン管テレビは手放せなかった。

そのうち液晶テレビはフルハイビジョン(1920×1080)になった。
地デジは1440×1080である。

だから、地デジもにじんでいるか、引き伸ばされてゆがんでいるか、断ち落としされているかのどれかである。
そのはずであるが、この違いはさっき縷々述べた地アナ画像を地デジテレビに出したときと違って、ほとんど肉眼では分からない。
絶対悪くなっているはずだと思って目を皿にして見てみたが、肉眼では判断しづらいのである。

ちなみにフルハイビジョンでないハーフハイビジョンのテレビの場合は1366x768である。
視聴者のほとんどが地デジを見ることが分かっているのに、なぜ放送そのままの液晶を出さないのだろうか。
(あるいは、局側でテレビに合わせて高画質の放送を出さないのだろうか。)
BSハイビジョンを見ると1920x1080だから、ばっちり高画質で見られるはずだ。

ブルーレイの場合は、1920x1080の場合が多い。
ハイビジョン出現以前の古い映画であっても、フィルムからのリマスターが行われていれば、VHSやDVDよりもきれいになっている。
フィルムは銀塩分子のレベルで画素が作られているので、無限に細かい解像度になっている。
ただしフィルムに傷がついたり、ほこりが挟まったりという問題があった。

最近の場合でも、もともとフルハイビジョン用の機材で撮影された画像であればきれいなはずである。
もともと地デジ用のテレビ番組をブルーレイ化した場合はどうだろうか。
この場合もソフト化を見越して高解像度のマスターを持っている場合は高解像度になるだろう。

去年出たレグザの最上位機種は4K2Kという。
4096×2160ドットだ。
もっとも55型と広いので細密度が単純に倍になるわけではない。
もっと先の、4K8K(7680×4320)というテレビも計画されているようだ。
ここまで来ると最密度もブラウン管なみ、どんなソースであってもきれいに見える(にじみが肉眼で確認できない)のではないだろうか。
そんな超高細密画面でも「芸人のラーメン食べ歩き」とか「ひな壇トーク」とか、あとテレビショッピング番組ばっかりやってるんだろうか。

ということで、SD時代の負の資産がたまっているぼくは、ブラウン管を捨てきれなかったのであるが、ついに液晶に乗り換えた。
例によって無駄話が長くなったので、その話は明日書く。

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