iPhoneのヘッドセットについては以前にもこのブログで書いた。
いろいろ迷っていたが、結果的に
 ・自分の耳に一番合っているのはApple純正カナル型
 ・しかし冬場パチッとするので使えない
 ・次善の策として日立マクセルHP-IP23-BLを使う
と言うことにしていた。

しかし最近マクセル機が壊れてしまった。
リモコンの周囲のコードの被覆がむけ、金属の芯線が露出してしまったのだ。

使い方が悪いと思う。
ぼくはコードを乱暴にiPhoneに巻いて鞄にしまう方だ。
引っ張りすぎてコードが壊れてしまったのだと思う。
いつ買ったのか忘れてしまったが、仮にブログを書いた1月だとすると、9ヶ月持ったことになる。
これは相当長持ちな方だ。

まあまあ使えていたので、同じものを買おうとも思ったのだが、別の製品も出ていたので買ってみた。
Etymotic Research社(通称ER)のhf3である。

ずいぶん前に出ていたらしいが、気づかなかった。
今日届いたので、早速第一印象を書いてみる。

もともとERのイヤホンはかなり気に入って使っていた。
アメリカの聴診器メーカーと言う変り種だ。

イヤーチップ(耳に入れる部分)がスリーフランジと言って、3層のヒダがついている。
このヒダが脱落を防ぐと共に、耳の中で広がって音漏れを防ぐ。

うまく耳に入れないと抜けやすいし、音漏れも起こりやすい。
しかし、うまく耳に入れると、驚くほど耳にフィットし、外音を完全に遮蔽する。
当然音漏れもしない。

ちょっと危険なぐらい外の音が聞こえないのである。

地下鉄の中で聞くときとかはすごくいい。
全然地下鉄の雑音が聞こえないので、音楽に集中できる。

一般的なイヤホンを使っていると、携帯音楽プレイヤーでは、クラシック音楽がうまく聴けない。
小さい音と大きい音の差が激しすぎるのだ。
小さい音を聞こうと思ってボリュームを上げると大きな音が出たときに耳が死ぬ。
大きな音にあわせると小さな音が雑音に紛れて聞けないのだ。
その点ERのイヤーチップは遮音性に優れているために、小さな音で音楽を聴くことが出来る。

ただ一方、車のびゅんびゅん走る道を歩きながら聞くような場合は危険である。

実際には自動車は歩道と車道でゾーニングしているし、どんなに歩行者が悪い事故でも車の運転者は人を轢いたらかなり大変なのでその点は注意してくれる。
最悪ビービーとクラクションを鳴らす。
クラクションの音はさすがに分かるのだ。
問題は自転車だ。
自転車は、歩行者が普通のイヤホンで音楽を聴いていても、いや、音楽を聴いていなくても危険である。
この件は別に書く。

ということで、ER製品の第1の特徴はイヤーチップの遮音性に優れているということだ。

第2の特徴は「音が異常にナチュラル」ということだ。

オーディオの議論は難しい。
あの音がいい、この音は悪いという話を、大の大人が口角泡を飛ばしてしているが、実りの多い議論になった試しがない。
宗教論争だ。

ということで、完全に好みの問題になるが、ぼくはERのイヤホンの音は、普通に入手できるオーディオの中では非常に優れていると思う。

ソニー、ボーズと比べると良く分かる。
日本人の、特に若い人はこの2つのメーカーが本当に好きだ。
いわゆるドンシャリというやつで、低音と高音が強調された、メリハリのある音である。
80年代ロックというか、ゲートスネアというか、J-POP、ビーイング系などのCDはもともとそういうミックスになっている。
で、ソニー、ボーズのイヤホンを使うとそれがさらに強調される。
そういう音を聞いてテンションが上がる人はそれでいいんじゃないだろうか。

ぼくは逆に、中音がキメ細やかに聞け、全体としてはおとなしい音が好きだ。
そして、現時点では、ERのヘッドフォンが最高だ。

とりあえず、明らかに「違う」音がするので、興味がある方は試して欲しい。
「これは違う、俺にはこれはダメだ」と思ってもらってもかまわない。
イヤホンによって音は変わる。
それを経験するだけでもいい。
神楽坂のイーディオという店で試聴もやっている。

ERのイヤホンを使うときはクラシックの、それもシンフォニーを聴いて欲しい。
今まで聴こえなかった音が聞こえる。
ぼくは何十年も愛聴してきたバーンスタインの「ショス5」を聴いて、「こんなに沢山の音が入っていたんだ!」と驚いた。
気持ち悪いぐらいナチュラルなのである。



iPod時代はER-6iというのを使っていた。
これはERの中でもローエンドモデルだ。
それでも2万円した。
ERの中ではコードが細く、取り回しがラクチンなのだが、コードが細いだけに断線するという弱点があった。
半年に1個断線させては買っていたので、さすがにこれは経済的にマズイと思ったものである。

iPodをiPhoneに変えると、イヤホンでは物足らず、やはりマイクつきのヘッドセットが欲しくなってくる。
それも3ボタンで、音量の調節と曲スキップも出来るやつが欲しくなるのである。

一番カッコイイのはApple純正である。
あのリモコンの小ささは感動的だ。
なぜサードパーティのメーカーは純正を踏まえながら純正の品質を超えられないのだろうか。
これは不思議に思う。

それ以前に、3ボタンで音量も調整できる製品が実に少ない。
ERも長い間、音量の調整が出来る製品が出なかった。

そしてhf3である。
前置きが長くなったが、ERシリーズの製品をそのまま3ボタンヘッドセットにしたものである。
リモコンはやはりApple純正に比べると大きくてダサい。
どこにボタンがあるか、すぐに分からない気がする。

スピーカーはさすがにERシリーズであって、気持ち悪いぐらいナチュラルな音がする。
ただ、多少普通のカジュアル・オーディオのドンシャリ音に近づいたような気がする。
昔のERの音を記憶しているわけではないので断言できないが、とりあえずイイ音だ。

同梱のイヤーチップは

 ・透明のスリーフランジ(デフォルト)
 ・グレーのスリーフランジ(透明のに比べて少し大きい)
 ・グライダーという普通のカナル型に近い形のもの(どうでもいいけど、仕上がりが工業製品とは思えないほど雑である)
 ・フォームという昔KOSS THE PLUGという妙に人気があった激安イヤホンについてきたもの(ウレタン製で、小さく丸めて耳に入れると耳の中で膨らむ)

の全4種類であるが、どれも、必死で外音を遮蔽してやるぞという気構えを感じる。
驚くほど外の音がしない。
コワくなるのである。

あと、ER-6iに比べると多少コードが太くなり、よじれにくくなった。これだとあまり切れないような気がする。
9千円と、昔に比べれば安価だが、それにしてもチト高いので、大切に使っていきたい。

ということで、ちょっと変わった体験が出来る製品なので、是非お試しください。
価格に幅があるので、価格.comなどでチェックしてから買った方が良い。
ぼくはAUDIO ONEという店で買った。

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