連載の第8回。
今回はアルバム『ミスター・ゴーン』を紹介する。
今回はアルバム『ミスター・ゴーン』を紹介する。
このアルバムが出た頃は評判が悪かったそうだ。
ザヴィヌルの評伝にも「本作で少なくともウェザーの快進撃は減速した」と書かれている。
坂本龍一なども「前作(ヘヴィー・ウェザー)ではジャズとロックが完全に融合していたのに、また古いジャズに戻ってしまった」と言っていたそうだ。
どっこいぼくは、このアルバムが大好きだ。
実は初めて買ったのがこのアルバムのような気がする。
このアルバムにここまで衝撃を受けていなければ、ウェザー、そしてザヴィヌルのアルバムを全部買い集めることにはならなかったのではないか。
1曲目の「貴婦人の追跡」から、ザヴィヌルの後期のワールド・ミュージック的な、無国籍的なアプローチを感じさせる。
時代的に無国籍的サウンドのさきがけと言えると思う。
2曲目の「リヴァー・ピープル」はジャコの曲だ。
当時はディスコでやたらこの曲が掛かっていたそうだが、確かに同じパターンを繰り返して興奮に導くナンバーだ。
しかしどうやって踊っていたのだろうか。
3曲目の「ヤング・アンド・ファイン」は「パラダイス・サウンド」とも「ユートピア・サウンド」とも言われるウェザーの真骨頂の作品であり、この世のものとも思えない楽しい、美しい音世界がはじける。
この曲はスティーヴ・ガットがドラムを叩いていて、当時のウェザーのパーマネント・ドラマーであったピーター・アースキンはハイハットだけを踏んでいる。
ところが、CDの解説にも書いてあるが、このハイハットがすばらしいのだ。
4曲目の「エルダーズ(老人たち)」はウェザーのもう一つの十八番であるミステリアス・サウンドの真骨頂の作品で、なんとも不気味な、かつ、オシャレな曲である。
のちに「エヴァンゲリオン」というアニメで闇の権力者たちが密談をする場面で、ぼくはこの曲を思い出したりした。
5曲目と6曲目はドラムをトニー・ウィリアムスが叩いている。
非常に有名なドラマーだが、フュージョン時代になって、8ビートを叩くとどうもイマイチなような気がしていた。
このアルバムでは4ビートの2曲をトニーが叩いていて、やはりザヴィヌルもそう思っていたのかと思ってニヤリとしたものだ。
坂本氏が「古いジャズに戻ってしまった」と言ったのはこの2曲を指しているのだろうか。
ところがこの4ビートの2曲が猛烈にカッコいい。
このアルバムの白眉と言っていい。
まず5曲目「ミスター・ゴーン」は、ジャコがベースを弾いていず、ショーターがサックスを吹いていない。
すべてザヴィヌルのシンセで置き換えられている。
トニーのドラムとザヴィヌルのシンセの二重奏である。
これが、カッコイイ!
ザヴィヌルのいかにも電気的なシンセの音色でベースとブラスが置き換えられることで、逆にジャズらしさが浮かび上がってくる。そして、ジャズと思って聞いていると、ザヴィヌルのさまざまなトリックプレーが耳を襲ってくる。
6曲目「パンク・ジャズ」はウェザーの曲でありながらジャコの代表作でもあるナンバーだ。
ウェザーを離れてからキャリアの後期はビッグ・バンドを率いることが多かったジャコの作風のさきがけを感じる作品を、ザヴィヌルがシンセによるビッグ・バンド・サウンドで盛り上げている。
この曲は高校生の頃にラジオで聞いたのだが、当時はジャズやフュージョンに手を出していなかったのだが、とりあえずこの曲の印象は強烈に印象に残っている。
7曲目「ピノキオ」は、ショーターがマイルスの「ネフェルティティ」のために書いた曲を、思いっきり新しいアレンジにした曲だ。
8曲目「アンド・ゼン」は、なぜかEW&Fのモーリス・ホワイトと、彼がプロデュースしていたデニース・ウィリアムズのヴォーカルをフィーチャーしたポップな曲だ。
ぼくはEW&Fも大好きだが、この曲の良さは良く分からない。
途中のスピードが変わるところなどいかにも安っぽく、ウェザーの曲の中であまり好きではないめずらしい1曲だ。
しかし、1、3、4、5、6曲目の斬新さ、カッコよさはものすごく、これだけでこのアルバムは生涯の宝物である。
ザヴィヌルのシンセサイザーの音が最も生々しく聞けるのもこのアルバムの魅力である。
毎回紹介しているが、ウェザーのアルバムはセットで買うとお買い得である。
ザヴィヌルの評伝にも「本作で少なくともウェザーの快進撃は減速した」と書かれている。
坂本龍一なども「前作(ヘヴィー・ウェザー)ではジャズとロックが完全に融合していたのに、また古いジャズに戻ってしまった」と言っていたそうだ。
どっこいぼくは、このアルバムが大好きだ。
実は初めて買ったのがこのアルバムのような気がする。
このアルバムにここまで衝撃を受けていなければ、ウェザー、そしてザヴィヌルのアルバムを全部買い集めることにはならなかったのではないか。
1曲目の「貴婦人の追跡」から、ザヴィヌルの後期のワールド・ミュージック的な、無国籍的なアプローチを感じさせる。
時代的に無国籍的サウンドのさきがけと言えると思う。
2曲目の「リヴァー・ピープル」はジャコの曲だ。
当時はディスコでやたらこの曲が掛かっていたそうだが、確かに同じパターンを繰り返して興奮に導くナンバーだ。
しかしどうやって踊っていたのだろうか。
3曲目の「ヤング・アンド・ファイン」は「パラダイス・サウンド」とも「ユートピア・サウンド」とも言われるウェザーの真骨頂の作品であり、この世のものとも思えない楽しい、美しい音世界がはじける。
この曲はスティーヴ・ガットがドラムを叩いていて、当時のウェザーのパーマネント・ドラマーであったピーター・アースキンはハイハットだけを踏んでいる。
ところが、CDの解説にも書いてあるが、このハイハットがすばらしいのだ。
4曲目の「エルダーズ(老人たち)」はウェザーのもう一つの十八番であるミステリアス・サウンドの真骨頂の作品で、なんとも不気味な、かつ、オシャレな曲である。
のちに「エヴァンゲリオン」というアニメで闇の権力者たちが密談をする場面で、ぼくはこの曲を思い出したりした。
5曲目と6曲目はドラムをトニー・ウィリアムスが叩いている。
非常に有名なドラマーだが、フュージョン時代になって、8ビートを叩くとどうもイマイチなような気がしていた。
このアルバムでは4ビートの2曲をトニーが叩いていて、やはりザヴィヌルもそう思っていたのかと思ってニヤリとしたものだ。
坂本氏が「古いジャズに戻ってしまった」と言ったのはこの2曲を指しているのだろうか。
ところがこの4ビートの2曲が猛烈にカッコいい。
このアルバムの白眉と言っていい。
まず5曲目「ミスター・ゴーン」は、ジャコがベースを弾いていず、ショーターがサックスを吹いていない。
すべてザヴィヌルのシンセで置き換えられている。
トニーのドラムとザヴィヌルのシンセの二重奏である。
これが、カッコイイ!
ザヴィヌルのいかにも電気的なシンセの音色でベースとブラスが置き換えられることで、逆にジャズらしさが浮かび上がってくる。そして、ジャズと思って聞いていると、ザヴィヌルのさまざまなトリックプレーが耳を襲ってくる。
6曲目「パンク・ジャズ」はウェザーの曲でありながらジャコの代表作でもあるナンバーだ。
ウェザーを離れてからキャリアの後期はビッグ・バンドを率いることが多かったジャコの作風のさきがけを感じる作品を、ザヴィヌルがシンセによるビッグ・バンド・サウンドで盛り上げている。
この曲は高校生の頃にラジオで聞いたのだが、当時はジャズやフュージョンに手を出していなかったのだが、とりあえずこの曲の印象は強烈に印象に残っている。
7曲目「ピノキオ」は、ショーターがマイルスの「ネフェルティティ」のために書いた曲を、思いっきり新しいアレンジにした曲だ。
8曲目「アンド・ゼン」は、なぜかEW&Fのモーリス・ホワイトと、彼がプロデュースしていたデニース・ウィリアムズのヴォーカルをフィーチャーしたポップな曲だ。
ぼくはEW&Fも大好きだが、この曲の良さは良く分からない。
途中のスピードが変わるところなどいかにも安っぽく、ウェザーの曲の中であまり好きではないめずらしい1曲だ。
しかし、1、3、4、5、6曲目の斬新さ、カッコよさはものすごく、これだけでこのアルバムは生涯の宝物である。
ザヴィヌルのシンセサイザーの音が最も生々しく聞けるのもこのアルバムの魅力である。
毎回紹介しているが、ウェザーのアルバムはセットで買うとお買い得である。
