よく、政治と宗教(とプロ野球)の話は人前でしないのがタブー、と言われる。
でも心安い友達の間ではついしてしまう。
あと、数少ない経験では、欧米の人とは結構ガーガー議論する。
出張中や、逆に外国の客をアテンドするときは、面白い話のタネのひとつとして、政治の話も宗教の話も普通にするし、あとレアジョブ英会話では、現役大学生の先生が政治の話をガーガーしてくる。



あまり「外国人はこういう点が優れている」「それに対して日本人はこういう点で劣っている」というフランソワーズ・モレシャン的なというか、アグネス・チャン的な話をする人は嫌いだが、とりあえず政治と宗教の話をガーガー議論して、その後ケロッと普通の話を遺恨なく出来る、という能力が、日本人にはどうしようもなく欠けているようだ。
この違いがどこから来るのかは良く知らない。
それでも、大学時代の仲間と麻雀したりして、その席ではよく政治の話をする。
どの政治家の発言はバカだとか、どの法律は良くないとか、今の日本を良くするにはこういう政策をするべきだとか、そういう話である。
必ずしも意見は合わないが、楽しいし、実り多い会話が出来ると思っている。
いや、思っていた。

しかし最近、「政治と宗教の話は空気が悪くなるからしない方がいいよ」「しないのが社会人の嗜みだよ」というレベルではなく、もっと奥深い部分で、政治の話はしない方がいいような気がしてきた。
してもしょうがないような気がするのだ。

いい例が原発だ。
これは日本人の最大の関心事であり、日本の争点だ。
推進派(あるいは少なくとも廃止慎重派)、廃止派(あるいは少なくとも推進慎重派)のどちらにも理屈がある。

ぼくは心情的に廃止派だ。
そこで、原発に反対したいので、原発が反対の政党を応援しようとしても、応援する政党がない。

河野太郎さんという政治家がいる。
この人は自民党の重鎮であり、日本でも総理の椅子に近い男トップ20ぐらいかも?しれないが、極端な反原発派である。
しかし、彼には投票できない。

まず、彼は湘南の地方区の議員であり、ぼくは川崎市在住なので直接投票できない。
では全国区で自民党に投票すべきか。
投票すれば河野氏を応援することになり、原発廃止に大きく進むのではないだろうか。
絶対にそうはならない。
自民党のマニフェストは原発存廃について完全に玉虫色であり、推進派を公言する議員もいるからだ。

今の彼は、原発反対の市民に対して、自民党のイメージアップ役、「ガス抜き」役を買って出ているとしか思えない。
彼を応援しようとして、自民党に投票すると、自民党の原発推進派議員が力を得てしまう。
結果として、河野氏が原発に反対すればするほど、原発が推進されるということになる。

そしてそれは民主党についても言えることだ。
こっちも原発推進派、反対派、どちらもいい感じに取り揃えているのである。

これは、消費税増税、TPP参加、著作権法強化といったあらゆる問題について言えることだ。
どちらの党にも賛成派、反対派がきれいに取り揃えられている。
肉か、魚か、どっちがいいか?
ではなく、両方とも、肉と魚と両方入った幕の内弁当状態なのである。

これはどういうことか。
もしかすると、政治家は、日本を変えるとか、悪いものは廃していいものは取り入れるとか、国民の声を聞くとか、そういうことにはまったく関心がないのではないか。
ただ何となく政治家を続けること自体が目的なのではなかろうか。
だから、なんとか大きな決断をせずに済む方法を模索して、お互いに意見を融通して、いかにも過激な議論を戦わせているような風を装って、集団劇を演じているだけなのではないだろうか。

以前、たしか田中康夫氏や田原総一郎などのグループが、国会議員政見アンケートというブックレットを編集して出していたと思う。(さっきから検索しているのだが、うまく見つからない)
その当時の日本の争点をアンケートにまとめ、国会議員に送りつけて、回答をまとめて本にするという非常に分かりやすい試みだった。
これは画期的で、税金で毎年発行すべき本だと思ったものだ。

ところが、この本を当時読んで思ったのだが、国会議員はどの問いにもちゃんと答えない。
「私はこの問題についてどう思う」というハッキリした回答が得られないのである。
政治の問題について明確に答えられない政治家なんて、薬を出せない薬剤師、クイズに答えられないクイズ王のようなものだ。
存在理由が分からない。
実に不思議だ。

テレビ朝日の「TVタックル」とか「朝まで生テレビ」と言った番組を見ると、政治家がいっぱい出てきて、そのときの問題について喧々囂々の議論を交わしている。
あれを見ると政治家の考えが分かって、誰に投票すればいいか分かるだろうか。
これが分からない。
「○○さん、××について賛成ですか反対ですか」と聞くと「ええとですねえ、それを答える前に、まず考えておかないといけないのが・・・」とか言い出して、まったく関係のない持論、自慢話、敵対する政党の悪口が延々続くのである。
反対の陣営も心得たもので、相手の意見の最中にちょうどいい感じに半畳を入れる。
ああいうテレビに出ている人は、明らかに協力し合っているのではないか。
あれを見ても全然政治のことが分からない。
ただなんとなく嫌な感じになるだけだ。

では国民はどうするべきか。
ただなんとなく「政治の話なんてよく分からないね」「してもしょうがないね」と思いながら、この世のどこかで頭のいい人が何か難しいことを議論している、その人たちに毎年多大な税金をむしりとられているという、何となく嫌な感じを持ちながら、日々の暮らしに埋没するしかないのであろうか。

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