先日「タスクカフェ」というセミナーに出席して質問した。

「仕事していて体調が悪いとき(1)がんばれば、がんばれるから、がんばるか(2)無理すると持病になるからあきらめるか、どうやって見極めを付ければいいか」

回答してくださった大橋悦夫さん曰く「好きなマンガを読んだり、DVDを見たりしてみればいい。もしマンガを読んだりDVDを見たりする元気があるならまだがんばれる」とのことだった。

ぼくは非常に腑に落ちた。
というのは、前から家で執筆をしている時に、疲れたらまさにこの「マンガドーピング」を使っていたからだ。


本棚にマンガコーナーがあり、ちょっと仕事に疲れたらマンガを読む。
元気が出たら仕事を続ける。

この用途で使うマンガは以下のようなものが良い。
 1)友情、勝利、努力を肯定的に捉えたスポーツマンガである
 2)地区大会、練習、県大会、恋愛、全国大会のように、割と切れ目が多い
 3)言葉の使い方が知的で乱れない

1)はヤルゾーという気持ちになるからであり、2)はちょっと休んだらすぐに仕事に戻れるからである。
3)は自分の仕事に悪影響を及ぼさないためだが(あまり「やってやるってばよ!」とか言うセリフは出ない方が良い)1)、2)と両立するものはあまりない。

この用途に最適なのが河合克敏さんのマンガである。
ぼくは柔道マンガ「帯をギュッとね!」、競輪マンガ「モンキーターン」を見ると、執筆に熱中していた昔のことを思い出す。





特に「モンキーターン」は大人にもオススメのマンガである。
競輪選手である主人公が悩み、苦しみ、戦う姿がさわやかに描かれている。
特に感銘を受けたのは「選手生命を左右する大ケガ」と「技術開発をする仲間の人間関係」という部分だった。
最後の方、恋愛関係で迷走するのが不評なのだが、作者も迷走していたことを明かしているが、そんなところも面白い。

さて、コラムの先頭に画像リンクを乗せた「とめはねっ!」であるが、この本は「文字コード【超】研究~改訂第2版~」の執筆において、もっと直接的な影響を受けた。
楷書、草書、行書の関係や、漢字、カタカナ、ひらがな、(いわゆる)変体仮名の関係について、非常に深い理解を得たからである。

漢字/かなを知るためには、本当は書道を知らなければならない。
ぼくはこのことに気づかずに、日本語の成立についての本やDTPの技術的な本を渉猟していて、イマイチ深い納得に至っていなかった。

「とめはねっ」は高校生の書道部の話であるが、顧問の先生や特別講師を勤める主人公のお婆さんの話を聞いて、ぼくは電光に打たれるような得心を得た。
自分が無知であっただけなのだが、マンガはビジュアルであるので、文学と美術の交わるところである「書道」の世界に、よりダイレクトに触れることが出来たのである。

野球やボクシングについては、いくらマンガが感動的であっても、「とめはねっ!」ほど迫真的な描写が出てきたかどうかよく分からない。
そういう意味では、マンガ史においても、本作は革新的な作品であると思う。

今後おいおい紹介するが、ビジネス書やハウツー物の世界でも、マンガの可読性とビジュアル性を生かした革新的な本がいっぱい出ている。
「マンガで分かる○○」と言えばバカにする人もいると思うが、マンガはもっともっと可能性のある分野だ。

惜しむらくは河合克敏さんが「異常に遅筆である」ことだ。
もしもぼくにマンガが書けたら、河合さんの仕事が速く進むようなドーピングマンガを書いて差し上げたい。

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