3月の後半は「春のアングラ祭り」である。
ぼくが参加するだけでも、木曜は万有引力、金曜は月光密造舎(演劇じゃなくてバーだけど)、土曜は昼が万有引力で夜が月蝕歌劇団、日曜はお休みをいただいて、月曜が月蝕歌劇団(ライブ+夜の部)、火曜が青蛾館、水曜が月蝕歌劇団、木曜お休みをいただいて、金曜が月光密造舎、土曜が月蝕歌劇団だ。
連休を中心に公演を寄せているのであろう。

Rampo Edogawa 02
中には役者さんが「ひさびさに舞台に立ちます、時間あったら見に来てください!」とDMとかくださるケースがある。
時間あったらいきたいけど時間ねーっつうの。
もうちょっとバラけてもらいたい。

昨日、18日土曜日が最悪で、昼が万有引力、夜が月蝕歌劇団であった。
万有引力「身毒丸」は明日が千秋楽だったが、チケットが売切れだったので、妥協して土曜日に見た。
結構近い席で、ド迫力の演劇と音楽を堪能したが、やっぱ情報量が多すぎて2回では分からない。
やっぱ3〜4回見たいのだが、上記の日程では無理であろう。
今回は蛇娘の花音菜をちゃんと確認できて良かった。
花音菜にはもっともっといろんな舞台にいっぱい出て欲しい。

疲れたので、阿佐ヶ谷の喫茶店で休んだ。
雑居ビルの一角の、なんでこんなところにお店作るのっていう狭いところだが、隣の席に高取さんが二人連れで入ってきた。
軽く会釈して店を出た。
びっくり。

で、ザムザ阿佐ヶ谷で月蝕歌劇団『パノラマ島綺譚』。
なんと、同じ劇場で今月の頭に行われた廻天百眼の『悦楽乱歩遊戯』も、同じ『パノラマ島』が話のメインになっているので、同じ3月に同じザムザで百眼と月蝕のパノラマ島を見比べることになった。
百眼版はパノラマ島を軸に、黒蜥蜴、陰獣、芋虫、蟲、人間椅子などを組み合わせていた。これはがっちりまとまっていて感心した。
去年は月蝕の『黒蜥蜴』を見たが、これも黒蜥蜴と陰獣を組み合わせた話だった。
「宝石」の編集者でもあった小林信彦によると、乱歩は長編の構成力に自信がなかったそうで、だからか中短編が多いので、演劇、映画にすると、どうしてもこうなる。
一番極端なのが石井輝男監督の映画『恐怖奇形人間』で、これはツギハギ感が丸出しで笑える作品なので、逆に、観ると楽しい。
日本では発売禁止だがアメリカのアマゾンで売っている。

月蝕版『パノラマ島』に話を戻すが、こっちは原作の『パノラマ島』を比較的じっくり演じ、そこに高取さん独自のストーリーを組み合わせているようだ。

最初、初顔の美少女ふたりが出てきておみくじ売りをしていてびっくりした。
渕上ひかるさんと、町本ゆうさんと言うそうだ。
小さい紙のアンケート用紙が配られ、結末で明智小五郎が勝つか、悪が勝つか、書いてくださいということだった。
つまり二通りシナリオがあるのだ。

しかも今回ダブルキャストが複雑だ。
 *18夜 紅あざみ=高田ゆか ミサコ・千代子・少年探偵団ゆうた=中村ナツ子
 *19昼 紅あさみ=高田ゆか ミサコ・千代子・少年探偵団ゆうた=中村ナツ子
 *19夜 紅あざみ=白川沙夜 ミサコ・千代子・少年探偵団ゆうた=中村ナツ子
 *20昼 紅あざみ=白川沙夜 ミサコ・千代子・少年探偵団ゆうた=若松真夢
 *20夜 紅あざみ=白川沙夜 ミサコ・千代子・少年探偵団ゆうた=若松真夢
となっている。ひえー。
ぼくは18と20に見る予定なので、一応役者さん的には網羅することになるが、悪役の勝利敗北の組み合わせを考えるともっと見ないといけない。
たいへんだ!

内容的には推理劇でいろいろどんでん返しがあるので一切触れないが、役者さんとしては、ひさびさ復活らしい(ぼくはニワカなので初見)白永歩美さんの演技がド迫力だった。
あとはるのうらこさんの役も悲しみがあって良かった。

凄惨な話だが、今回特に脱力系のギャグがふんだんに詰め込まれていて、声がいい男優の間三助さんが主に担当していて良かった。
高取さんが心筋梗塞で死線をさまよったときは、役者一同路頭に迷うかと心配した、万有引力は厳しいという話だし……みたいな話があって笑った。

今日、明日は、三上ナミちゃんの生歌が間近で楽しめる詩劇ライブもあるので楽しみだ。