昨日、6月10日金曜日は高円寺の「座・高円寺」で演劇実験室◉万有引力の「犬神」を見てきた。
 すごかった。

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 座・高円寺は正式名称を杉並区立杉並芸術会館と言う立派な劇場である。
 中央線沿いの大通りに面している。
 以前、同じ万有引力の「リア王」を見に来たことがある。

 座席指定なので、開演時刻ギリ間に合うようにおっとり刀で出掛けた。
 先週同じ高円寺の明石スタジオにA・P・B-Tokyoを見に行ったときは、高円寺に止まらない快速電車に乗ってしまって、荻窪まで乗り越して焦ったが、今日は下調べしていたのでちゃんと高円寺に降り立った。
 そこからiPhoneのGoogle Mapに従ったが、大通りに面していたはずなのに奥へ奥へと行く。
 おかしいなと思っていたらぬわんと搬入口に着いた。

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 焦って、小走りにぐるっと回って入場した。
 ギリギリ間に合った。
 最近こういう不手際が多いな。

 それでも指定席だから見やすい席だった。
 9割ぐらいの入り。

 開始早々怒涛の和太鼓の演奏でびっくりした。
 舞台袖には生演奏のブースがあって、J・A・シーザーさん自らが率いるバンドが演奏していた。

 最初、白い山犬の化身の踊りがあって、謡曲のようなセリフが難しくて聞き取れなくてヤバいかなと思ったが、難しいのはここぐらいで、全編分かりやすかった。
 万有引力を見るといつも驚かされるのが演者の身体能力の高さと一糸乱れぬ緊張感あふれる動きである。
 こちらの緊張感も否が応でも掻き立てられ、強迫的に舞台の世界に引きずり込まれていく。

 19時から20時半まで、1時間半の舞台であった。
 月蝕歌劇団やA・P・B-Tokyoの寺山公演の場合は、他の芝居のさまざまな場面を切り取ってコラージュし、リミックスすることで昔の演劇を現代に蘇らせているようだが、万有引力の「犬神」はあえてコラージュをせず、一直線で物語の世界を表現しきったようだ。
 客いじり、笑いのコーナーもあったが、そこも完全に緊張感を持って制御され、前後の恐怖と悲しみにぴったりと組み合わさっていた。

 それにしても悲しい、恐ろしい話である。ラストシーンは激しい衝撃を受けた。
 日本の古い社会の因習を単に被害者的に批判するだけではなく、その奥にある人間の業も暴き立てて、より深い真の恐ろしさ、悲しさを感じた。

 印象に残った演技は木箱に入った人形を演じた女優さん(大変だっただろうなー!)と、主人公の青年が完全なアカペラで1曲歌い切る歌である。
 美術も、演技も、音楽もあくまでも美しい。
 しかし見終わった後は心の底から恐怖と悲しさを感じる。
 そんな舞台で、しみじみと感動した。
 19日までやっている。