2017年の消費税アップが近づいて来ている。
やめたほうがいい。

Under the influence of consumption tax increase in Japan 2014
2014年4月の5%から8%へのアップの時は、大きく景気が冷え込んだ。
賛否はあるが、とりあえず大胆な経済政策である「アベノミクス」景気は、あれで大きく腰折れしたのである。
思い返せば1997年、橋本内閣による消費税5%も、大きく景気を冷え込ませ、税収はかえって落ち込んだ。
日本人は消費税が本当に嫌いなのだ。
ふだん少々のことではお上に楯突かない方がいいと思っている庶民も、個々人が節約すればいい消費の分野では、徹底してガマンするので、景気はどんどん落ち、結果的に税収が落ちていく。
政治家も官僚も学習した方がいいのではないか。

そんな中、政権の一翼を担う公明党の強いこだわりによって、軽減税率の導入が決まった。
これもあまりいい考えだとは思わない。
とにかく面倒なのだ。
商店の面倒が増える。
税金をいくら払うか計算する手間であって、無駄な労働である。
自分の得にならないのに余計な手間ばかり増える。
それによって店員は自分の時間がなくなり、幸福度が下がる。
結果、レジャーに繰り出して豪遊するという気もなくなり、やはり景気が冷え込むのではないか。

今回も「生鮮食料品はアリだが加工食品はナシ」、「外食も含めてOK」と二転三転し、結果的に「買って帰るものはOKだが店の中で買うのはダメ」に落ち着いた。
何にこだわってどういう議論をしているのかさっぱり分からない。
「何に掛ければ何億円なくなる」「こっちなら何億円の損で済む」とか、つじつま合わせの議論をしているとおぼしい。
でも、消費税が掛かるのはこれからだから、しょせん皮算用である。

今は「軽減税率」の「財源」を探しているそうだ。
高額医療費などの福祉をカットするとも言われている。
消費税って福祉のためじゃなかったの?
意味不明だ。

ファストフードをテイクアウトすると軽減税率になるが、店で食べると消費税が掛かる。
だったらその辺でしゃがみ込んで食べればいい、と誰しも思う。
どうせファストフードなんか食べようと決めた時点で店でゆっくり、というようなゼータクな気持ちはかなぐり捨てているのである。
店も税金なんか取って、自分は一文も得しないのに人気が下がったら損なので、モールなどではベンチを解放してテイクアウトで売るなどの抜け道を考えるのではないか。
結果的に道端でファストフードを食べているみっともない人が増え、ゴミが散乱する。
けっこう悲しい眺めだと思う。
国民を豊かな気持ちにさせないのである。

食料品の消費税が下がること自体はいいことである。
でも、10%になるところを現状の8%で抑える程度である。
ショボい。
ていうか計算面倒である。
政治家は「庶民のために食品を値下げした」と叫ぶかもしれないが、余計な計算で労働時間が増えるのも同じ庶民である。

8%は十分な重税である。
それで十分景気は冷え込んだ。
本当はそこからさらに下げるか、なくすということを検討してもいいはずである。
しかし10%にするかしないか、ファストフードのテイクアウトをどうするかというどうでもいい議論で紛糾して、けっきょく大多数の品物について10%に税率をアップする、軽減対象のものについても8%は取るということは既定路線になってしまった。

ところがさらに仰天する話が、新聞は8%のままということである。
「生活必需品である」「国民の知る権利を奪ってはいけない」ということらしい。

ぼくは新聞を取っていない。
昔は新聞といえば各家庭が取っていて、新聞少年が自転車で配っていた。
今は取っている家はわずかだから、朝から原付バイクで配っている。
あれはうるさいからやめて欲しい。

新聞は必要だろうか。
ぼくはあまり読みたいと思わない。
サイズが大きく、検索性がなく、過去記事が見づらいからだ。
ネットの配信で十分である。
この方が朝日、読売、毎日、あとまあ一応産経と読み比べができるからニュースの全体像が分かる。
各新聞がいかに偏っているか分かるのである。
もっとも、ネットの配信といえども無料ではできないから、何らかの課金システムを用意しなければなるまい。
会費制でいいんじゃないですか。
ぼくは日経と朝日をネット入会登録しているし、いよいよとなれば有料会員になる準備がある。
ただ、印刷、配達、あと拡販団のゴロツキを雇う人件費が節約できるから、もっともっと安くできるはずだ。

たまに品物を送るときの緩衝材や、鍋敷きに新聞紙がないと困るなあと思うことがあるが、川崎市のたよりやフリーペーパーで意外と用が足りる。
ぼくは将来に渡って紙の新聞を取ることはまずないと思う。
昔は満員電車の中でおっさんが新聞を広げていて、あれは迷惑だった。
これはスマホの世の中になって、本当に良くなったことの一つだ。

と言うことで、新聞は本当に人気がなくなった。
昔が異常だったのだ。
それが生活必需品だから税率を下げろ、食料品なみにしろという。
へぇー。
だったら、誰でも言うことだが、トイレットペーパーも税率を下げるべきだ。

さらに驚くのが、雑誌や書籍は見送りになるという、その理由が、有害なものもあるからだと言う。
有害図書とは何だろうか。
そこまで社会的に存在が有害であると、誰の目にも明らかに立証されている図書があるなら、さっさと発禁にすればいい。
しかし、税金をちょっと重めに取るぐらいで済ませてやるという。
こんなことが、国会を通さずに、自民党と公明党だけの協議でしれっと決まっていいものか。
恣意的な検閲である。

うそ寒い気持ちにさせられるのは、そんな筋の悪い軽減税を、政府/政治家のチェック機関であるべき新聞各社が、容認する(読売新聞渡辺氏に至っては、要求した)と言うことである。
これはジャーナリズムに対する与党の利益供与であると言われても仕方あるまい。
そんな2%デコボコの金額で経営が傾くほどお金に困ってるのか。
それを政府に補助してもらってうれしいのだろうか。
そんな会社による政府や与党に対する切れ味鋭い報道、論評は、もはや望めまい。
そもそも東京スポーツや日刊ゲンダイは公共的な報道機関だろうか。
で、週刊文春やAERAはそれほど公共的ではないのだろうか。
線引きが全然わからない。

謎だらけの税制である。
誰か偉い人に解説してもらいたい。
とりあえず新聞を読んでも何も分からないことだけは確からしい。