今日(6月23日火曜日)、新宿シアター・ブラッツにて、演劇実験室◎万有引力公演『夜叉ケ池』を見た。
万有引力は寺山修司主宰「天井桟敷」で音楽を務めていたJ・A・シーザーさんが主催する劇団である。
ぼくは寺山の『観客席』(2千円もらった!)と『リア王』に続いて見るのは3回目。
いつもダイナミックな音楽と体技で圧倒される。

3回目といえば、この泉鏡花作の戯曲『夜叉ケ池』を演じるのを見るのも3バージョン目である。

1バージョン目は言わずと知れた坂東玉三郎が百合と白雪の二役を演じた松竹の映画版で、加藤剛と玉三郎のキスシーンやフナ人間、カニ人間が出てくるのが有名だが、超スペクタクル特撮巨編なのだ。
いつまで待ってもDVD化しないのは、やはり玉三郎サイドか加藤剛サイドが抑えているのであろうか。
なぜかYouTubeで全編が観られるが、これは是非ソフト化して欲しい。
2バージョン目は全員男性の「ネオかぶき」劇団、花組芝居のもので、いまはなき青山円形劇場で演じられた。
笑いいっぱいにアレンジされたものでこれも楽しかった。
それに続く3バージョン目が、今日見た万有引力版である。
今回はセリフは原作に忠実であるが、音楽はシーザーさんが全編新作で書き下ろしており、照明や舞台装置も斬新な演出が施されていて驚きの連続だった。

予約していかなかったので当日券だったが、超人気公演で観られるか分からないという。
18:30から発売予定なので17:00に行ったが、それはさすがに早く行き過ぎだったようだ。
iPhoneで小説を読みながら時間つぶしした。

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19:05に再整列して誘導される。
万有引力ひさびさの小劇場公演ということで、舞台が半端無く近い。
狭い空間ではあるが、舞台が奥行き深く取られていてさらに花道もあり、飛び回る役者の姿を堪能した。
ぼくは映画版『夜叉ケ池』が大好きでセリフをほとんど覚えているので、どうしてもその比較で見てしまったが、映画とまったく違うのは舞台いっぱいに蠢いている魑魅魍魎および村人たちの体技である。
これまで見た2バージョンでは女形が演じていた百合も白雪も女性が演じていて、だからこそかえって人間の力強さを感じる。
俗悪な村人や政治家も奇怪なメイク、衣装を施されていて、単純な諷刺ではなく集団が狂気に走って行く様子を芸術的に昇華しているようだった。
明日昼の部が千秋楽だ。