昔はなかったけど今はある食べ物、というのがある。
アサイージュースとかタピオカミルクとかそういうまったく想像もつかなかった新素材ではなく、ありふれたものに意外な食べ方があるというものである。
でもぼくが知らなかっただけかもしれない。

Spinach Salad with Raspberries
たとえば、ほうれん草を生で食べるなどだ。
ぼくが子供の頃は、ほうれん草にはシュウ酸(HOOC-COOH)という成分が入っていて、加熱しないで食べると体に悪いと言われていた。
しかし上京してバブル景気というのがあって、イタリア料理がブームになったころ、生のほうれん草のサラダというのを食べた。
オリーブオイルのドレッシングで食べるのだが、これがおいしい。
茹でたり炒めたりして食べるほうれん草もおいしいが、生は別次元のおいしさである。
牡蠣のように生食用と加熱用と違うのだろうか。

このイタリアンのほうれん草のサラダにはマッシュルーム(シャンピニオン)も入ることが多い。
マッシュルームの生もこの時はじめて食べた。
うちで出てこなかっただけかもしれないが、それまで食べていたマッシュルームは缶詰か加熱したものだったのだ。
生のマッシュルームもおいしい。
サクッという歯ごたえに感動したものだ。
いまでも「東京の味」というとバブル時代のイタリアンの生ほうれん草と生シャンピニオンのサラダを思い出す。
まあ何百年も前からあったものだと思うが。

話は変わるけど、マッシュルームというのはキノコの一般名詞であって、エノキタケも、シイタケも、シメジもマッシュルームである。
例のあのいわゆるマッシュルームの和名はハラタケ科のツクリタケというそうである。
ヘー。

そういえば、むかし北海道の国鉄の人が分割民営化にともなって集団で上京してコンピューターの仕事をしていた時期があって、一緒に働いた。
机を並べて仕事をしながら、北海道の不採算路線は廃止したりしているという話を聞いた。
「線自体は残ってるの」と聞くと「残ってるよ」と言うので「トンネルとかどうしてるの」と聞くと「一部のトンネルではマシュマロを作ってるよ」と言う。
「えっ、北海道のトンネルでマシュマロを作ってるの?」と驚いて聞くと「そうだよ、長いトンネルの中に、ガラス瓶がいっぱい置いてあってそこからマシュマロが・・・」と言う。
「xxさん、それマシュマロじゃなくてマッシュルームじゃないの」と聞くと「ああ、正しくはそうだね」ということだった。
「正しくは」じゃねえだろ。

閑話休題、ブロッコリーも生でいける。
小さいころは茹でたブロッコリーを食べていて、フニャフニャしてたいしておいしくないなあと思っていたのだが、生で食べるとおいしいのである。
ぼくはわりと最近知ったけど、これも昔からあったんですか。
知らない方はぜひお試し下さい。

あとはベタな話だが天ぷらに塩、というのも昔は知らなかった。
昔は天つゆに付けていたのだが、せっかくカリッと揚げたのにベショベショになってしまって今思うともったいなかった。
結構高級な天ぷら屋さんに行っても、最初は天つゆだけ供されることが多い。
塩くれますか、というと、明らかにそれ用のすごくおいしい塩を出してくれる。
なんでやねん。
店からすると、塩で食べてほしいもの、天つゆで食べて欲しいものというのもあるのだろう。
ぼくは味付けが甘いのが苦手なので全部塩で行きたい方である。

刺身もたまに塩で食べるとおいしいと思う。
白身や貝などは特に塩がおいしい。

ということで、昔は加熱して食べていたが最近は生で食べるもの、昔は醤油ベースで食べていたが今は塩で食べるものがある。
これからもいろいろ新機軸が出てくるのが楽しみである。