若い頃は痩せていたが、年を取って太った。
太ってから思ったのだが、ズボンと言うのは人間が痩せているという前提に寄って立って設計されたものだ、ということだ。
痩せているときは腰骨が出ているから、そこにベルトを引っ掛ける。
太るとお腹まわりが凸型になるから、どうしてもベルトがずり落ちてしまうのだ。

いわゆるサスペンダー、ズボン吊りというのをするというソリューションもある。
ナポレオンのズボン吊りと言って、あれはナポレオン・ポナパルトがしていたそうだ。
やはり世界征服しようかというぐらいの器量がある男は太っているということだろうか。
(だからってぼくは世界征服しようとか思わないが)
親父もサスペンダー派だったので、自分でもしてみようと思うのだが、性に合わない。
肩に重みがあってうっとうしいのである。
おしゃれは我慢、というのだが、おしゃれぐらいのことでなんで我慢しなければならないのか分からない。

家では100%ジャージというかスウェットである。
フリーランスになって、自炊にしたから、ほぼ100%スウェットを着ている。
バナナマンのコントで日村がスウェットで町に出ていて、設楽が「病気なの?」と聞くくだりがあったが、あんな感じだ。

女性用はゴムのパンツでもそこそこオシャレなのがあるような気がするが、男性用は驚くほどない。
そういうものを作ろうという発想がないのではなかろうか。
作ったら売れるのに、愚かなことだ。

そう思っていた。

ところが、テレビのCMで、良さげなものを見つけた。
EDWINは「男と女のジャージーズ」というやつである。
ネットで検索すると、デニムにしか見えないジャージだという。
ジャージの表面にデニム素材の糸を織り込んでいるという。
早速買いに行った。

ジーンズメイトにあるという。
家に最も近いジーンズメイトは武蔵小杉の新市街の近くにあり、ちょっと遠い。
歩いて行く途中にイトーヨーカドーがあって、もしかしてあるんじゃないかと思って、ふらっと入ったら、あった。

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ちょっと難点がある。
まず、そんなに安くない。
1本7千円である。
ユニクロのチノパンが4千円ぐらい、スウェットが2千円ぐらいだから、ふだん履いているものに比べるとかなり高い。
でもこれはユニクロが安すぎるのである。
昔はいきがって1万円以上するジーンズを買っていたので、それに比べれば安い。

もう一つ、デザインがちょっと雑で野暮ったい気がする。
EDWINは歴史のある会社なので、もう少し頑張ればいいと思う。

イトーヨーカドーで服を買ったことがないので、レジの人に試着していいか聞くと、やる気なさそうに試着室を勝手に使えという。
武蔵小杉のイトーヨーカドーは全体的に活気がなく、ちゃんと儲かっているのか不安になる。
まあ空いていてその点では快適だ。

試着してみて、驚いた。
超、ラクである。
伸びる伸びる素材であって、ジャージと着心地が変わらない。
腰回りにフィットするから、ずれ落ちる心配もない。
実際にはスウェットであっても立ったり座ったり走ったりしたら若干はずれ落ちるが、あれぐらいはずれ落ちる。
でもフツーの固いパンツに比べれば雲泥の差である。

買うしか!
そう思ってブルージーンズ風のと、ベージュのチノパン風のやつと、2本買った。
店員さんを呼んでピン打ちし、裾上げしてもらう。
1本5千円以上のパンツは裾上げがタダで、良かった。
5時に買って7時の仕上がり。

街を歩き回ってみたが、超ラクである。
今までの苦労が嘘のようだ。
これ、いいよ!
他のズボンも全部こうしてほしい。
とりあえず他のズボンを履く気がしなくなる。
他のズボンが履けなくて不便、ということはあるかもしれない。

しゃがんだときの伸びがすごい。
ぼくは古本屋に行かなくなったのは、しゃがむ動作がきついからだ。
これでまた古本屋通いが出来るかもしれない。

ちなみにベルトはユニクロで買ったゴムのように伸びるやつを使っている。
網状のもので、結構カッコイイ。
これとジャージーズの組み合わせは最高である。

普通に洗濯機で洗って干してみたが、特にヨレヨレになるということもない。

いろいろネットで検索してみたら、元フジテレビの中村江里子さんもパリで着ているそうだ。
だから何、という気もするが、とりあえずオススメ。