最近インフルエンザがまた爆発的に流行っているという。
みなさんお気をつけ下さい。
ところでエボラ出血熱ってどうなったんだろうね。
デング熱でも、AIDSでもなんでもそうだけど、話題はガッと盛り上がってサッと引いてしまう。
患者の実数としては日々増えているはずなのに、変なものだ。
マスコミ的な話題に出なくなってからも、注意するようにしたい。

Oseltamivir(Japan)
インフルエンザはぼくも罹ったことがある。
これほど、罹ったことのある人とない人で印象の違う病気も珍しいと思う。
罹ってない人は、「風邪がひどいやつ」と捉えているのではないだろうか。
普通の風邪を、東急東横線の普通電車と急行電車ぐらいの違いに捉えていると思う。
(乗ったことのない人のために説明すると、東急東横線の普通電車と急行電車は、乗っていてほとんど違いが分からない。)
ぼくも、そういうふうに捉えていた。
実際に罹ってしまうと、全然違う。
普通電車とジェットコースターぐらい違うのである。

ぼくは2010年の1月に罹った。
コンサートを見に行って、帰りがけに寒気が走った。
たぶん風邪だと思って、新宿の百貨店で長袖の下着を上下何枚か買った。
なかなかいいやつがなくて、何軒か歩き回った。
百貨店をめぐっているうちに、どんどん寒気がひどくなって、下着を買ったときはふらふらになっていた。
ほうほうの体で家に帰った。

布団をかぶって寝ていても、震えが止まらない。
夜の2時頃に、だめだ、このままだと死ぬ、と思った。
ジャージを来て、コートを来て、外に出た。
幸い5分ほど歩くと大学病院があるのである。
救急受付に行った。

人がいない。
「(すいません・・・)」
と蚊の鳴くような声で言った。
体に力が入らなくて、声が出ない。
「(すいません・・・)」
と言いながら、携帯電話でカウンターをカンカン叩いていると、ようやく初老の、恰幅のいい経理部長の人が出てきて
「なんですか?」
みたいなことを言う。
不審者扱いだ。
「(インフルエンザ・・・)」
と言うと、
「本当にインフルエンザなんですか?」
と言う。
「(それはわからない・・・俺は医者じゃないから)」
と言うと、何も言わずにそのまま事務室に引っ込んでしまった。
なんでこういうときに感じがいい人に当たらないんだろうね。
ついてない。

それで、子供みたいな若いナースが出てきて
「インフルエンザですか?」
と聞く。
「(わからないんですよ、だから来た)」
と言うと、新品のマスクと体温計を渡されて、ここでお待ちください、と言われた。

そのまま受付の冷たい長椅子で、マスクをして熱を測って待っていた。
熱が40℃ある。
まあそうだろうなあ、と思った。
結局20分も待たされたのではないだろうか。
ぼくの後に、2組(親子連れ)の患者が、タクシーに乗ってやってきて、ああこれは、今頃街はパニック映画のような状況なんだろうなあ、と思った。
(別にそんなことはなかった。)
その後別のナースがやってきて、診察室に通された。

大学出たてみたいな男の医者だった。
「熱があるの」
「(はい)」
「えっ、普通の声出ないの」
「(しんどいから)」
「そうなんだ。上向いて」
いきなり鼻に試験棒(?何て言うの?)を突っ込まれる。
痛い。
「ちょっとツンとするよ。我慢して」
医者ってなんでこういう言い方をするんだろうね。
ぼくは何回かこの近所の大学病院に来たことがあるが、いい思い出が1つもない。
まあ24時間開いていて、医者の感じがよかったら患者が押し寄せて大変だから、あえて冷たい医者を集めているのかもしれない。

「じゃあそのまま待っていて」
と言って、診察室の奥の椅子で待った。
これがまた長くて、30分ぐらい待たされたのではないか。
もうでも、ぼうっとしていて怒りも悲しみもなかった。

医者が奥から
「こっち来て」
という。
どうでもいいけど、医者って初対面タメグチでもかまわないって規則で決まってるのかね。
書きながらだんだん腹が立ってきた。

行くと
「インフルだね。じゃあタミフルと解熱剤を出しとくね」
と言われて放免になった。
コンビニでカルピスウォーターとか、ウィダーインゼリーとか、ジャムパンとか買って帰った。

タミフルは半分黄色で、半分白いカプセルである。
あまり効かないとか、副作用が怖いとか、自殺するとかいろいろ言われている。
専門的なことはわからないが、このときのぼくに関して言えば、劇的に効いた。
普通病気というのは、罹ってからひどくなる過程はよく覚えているが、治っていく過程はあまり実感できない。
ところがこのときタミフルを飲んでから、熱が引いてインフルエンザが治るまでの過程は、ものすごいスピードで治っていくのを体感した。
ぐんぐん熱が引いてきて、寒気が取れていく。
違う意味でドラッグでもキメているような多幸感だ。
すげえな科学!と思った。
個人の感想です。

2日で熱は完全にひいたが、ぼくは喘息持ちで、それから1ヶ月ぐらい咳が止まらなかった。
実はこれが一番ツラくて、地獄を見た。

とりあえず1回罹れば十分である。
もう絶対罹るまいと思っていて、それからは冬が来るたびに体に気を使って、手洗いうがい、部屋の加湿、防寒、あとあまり無理して仕事をしないことに気を使っている。
ワクチン注射も、効くとか効かないとか、副作用が怖いとかいう議論があるが、ぼくは毎年、解禁になったらすぐ打っている。
おかげさまでそれ以降、インフルエンザも、普通の風邪も引いていない。
くしゃみが出たらすぐに寝るようにしている。

とりあえずインフルエンザは怖い。
いま思い出すと、ちょっと笑ってしまうぐらい、ホラー映画的な怖さのある病気である。

ところで下にアフィリエイトリンクを張っているロビン・クックのフィーバーという小説はものすごく面白いからオススメ。
この作者の医学サスペンスは基本的に面白いけどムラがある。
フィーバーはたぶん最高傑作。
一巻置くを能わざるというやつで、サスペンス小説の中でもこれほど面白いのはめったにない。
出てくる病気はインフルエンザじゃないけど。
「インフルエンザ」で検索していて、あやしげな抗菌グッズばっかり出てくるのでこれを張りました。