今日(12月1日)、池袋のシアター・グリーンBASEで行われた、劇団A・P・B-Tokyoによる寺山修司の演劇『疫病流行記』を見に行った。
九條今日子追悼公演ということである。

RespiratorFlickr1
A・P・Bの前の公演は、原宿での『観客席』だった。
世田谷シアタートラムで行われた演劇実験室●万有引力公演と、まさかの連続しての同一脚本連続観劇になったが、同じ脚本を2舞台見たことで、かえって違いが分かって良かった。
万有引力公演に比べて、A・P・B公演はバラエティ的な面白さがあり、狭い客席を活かした超・客いじりで、劇場全体に一体感があった。

今回は、5月に月蝕歌劇団のひつじ座公演に続く、約半年ぶりの同一脚本2回観劇になった。
これも比較の楽しみがあった。
ざっくり月蝕とA・P・Bを比べると月蝕の方がアイドル色があり、大衆性が強く、歌が多い。
一方A・P・Bは俳優の年齢も高く、今回は芸術的に超・高度だなーという気がした。
どっちも好きだ。

ていうかホントに同じ話ですか、というぐらい脚本が違う。
もとの戯曲を読んだり、天井桟敷の舞台を見たりしていないので、どちらがどうアレンジしているとかは分からない。
複雑で難解な話だが、実は筋書きらしい筋書きがある。
結構どんでん返し的な筋書きで、まともなストレートプレイ(ホラー)にしたらそれはそれで面白いだろうなと思う。
しかし、そこにまさにイメージの奔流という感じの言葉が詰め込まれている。
実は前回月蝕を1回目みたときは、ストーリーが追い切れなかったので、さらに1回見てようやく分かった。
それで予習ができていたので、今回のA・P・B公演は心から楽しめた。

底流となるストーリーがあって、そこに各劇団の得意技や、今回挑戦してみたいことを詰め込んでいる。
その構造がわかってきた。
今はいろいろな舞台を見比べるほどに楽しみが湧いてくる。

びっくりすることの連続で、ネタバレを避けようとすると何も書けなくなってしまうが、まあ劇が始まる前までを書く。

シアター・グリーンは池袋にほど近い、お寺の隣にある劇場だ。
3つ劇場が隣接していて、今日はその中のBASEという劇場。

最初、お寺の前に全身白づくめの、防護服に身を固めた人が2人立っていてこっちを見ている。
お寺でなんかあったのかなあ。でもお寺で!? と思いながら進むと、それが劇団A・P・Bの人だった。
受付にも防護服づくめの人が揃っていて、誰が誰だか分からない。

ぼくが受付に並んでいる時に、急患がストレッチャーに載せて運ばれてきて、劇場の中に入っていった。
なんで劇場に急患を運び込む!?
グッドタイミングで並んで良かった。

自由席なので、開場前に整理券番号によって並び直しをするのだが、このとき関係者に手の消毒をさせられる。
こういう趣向だ。
何か参加しようと思ったのだが、あまりおもしろいボケが思いつかず、せいぜい「病気が流行ってるの嫌だな…」という体で、沈痛な面持ちで席についた。
考えたら今年はデング熱にエボラ出血熱と、病気が流行っていて(二重の意味で)、さまざまな疫病というもののイメージが織りなす今回の舞台はまさにグッドタイミングで良かった。
余談だが、エボラ出血熱って結局どうなったんだろうね。
エイズと一緒で、最初ワーッとマスコミ的に「フィーバー」になったあとに話題としては下火になってしまう。
今の方がフィジカルな状態としては深刻なはずだが、トンと話題を聞かない。
そんなことを思い出して良かった。(なんだそれ>自分)

舞台には、半裸の男性陣が板を打ち付ける中で、小人のマメ山田さんが防護服を来てポツンと立っていて、相変わらず超かわいかった。

中身は、パフォーマンスがものすごく詰まっていて良かった。
半年間もタメにタメたものがさすがにスゴイ。
もっともっと見たい…と思った。
ううんでも内容は1ミリもネタバレ出来ないなあ。
あさって水曜日までやっているので、機会があったら見てください。
ぼくは合唱団が出る場面が気に入った。
あとイケメンのムギオくんが超セクシーで、周囲の女性客が「ホー…」と言っているのがおかしかった。