消費税が取り沙汰されている。
今日は、このブログにありがちなパターンで、特に専門でもないぼくが、特に調べもせずに、消費税というものをどのように理解しているか、ぼくの目から見た消費税というものを書き留めて置こうと思う。
Bunzi-1buban

直接税と間接税

税金は、直接税と間接税に分かれる。
直接税は国税と地方税に分かれるが、いずれも税務署や区役所など、役所が直接取る。
直接税はさらに、個人が取られる所得税と、会社が取られる法人税がある。

所得税は、個人が役所に取られる税金である。
もっとも、役人が集金して回るのではなく、納付書を送りつけてくるので、払う方がわざわざコンビニに行って振り込む。
あれ、面倒だから近所のコンビニでいつも払っているが、一回役所に直接行って払ってやろうか。
役人が頭を下げるところを見てみたい気がする。
でも実際に役所に行くと、事前にイメージしているようなマンガのような憎々しい人はいなくて、窓口で直接市民の相手をしているのはしょせん下っ端、我々どうようの小市民である。
先日はいろいろ経費を申告して地方税を負けてもらったが、妙齢の女性に親身に相談に乗ってもらって、気分が良かった。

いっぽう間接税は、商品やサービスなどでお金を使うと取られる。
つまり、税務署ではなくて、お店に取られる。
お店は、客からお金をいったん預かってそのあと国と地方に収める。

所得税は、社会人で、働いている人しか払わない。
子供、主婦、老人、失業者は払わない。
サラリーマン、給料をもらっている人は、もらうお金が減るのである。

日本の場合、いわゆるサラリーマン、勤め人は天引きが多い。
給料があらかじめ減っているのである。
日本人は「俺は金のために働いているわけじゃないから・・・」とか、「ワタシお金のこととかわからないわぁー」とか行って、給与明細とか良く見なかったり、場合によっては捨ててしまったりする。
あれは1回じっくりと見たほうがいい。
驚くほど取られている。

ただ、累進制と言って、多く稼いでいる人は指数関数的に多めに取られる。

一方間接税は、日本人全員取られる。
よく言われるが、100円持って子供がお菓子を買いに行ったら、8円足りませんと言われてベソかいて帰った、などということがおこる。
政治家は「これからの高齢化社会の福祉を支えるために使う消費税です」とか言うが、支えてもらうその老人も払うのである。
どんな貧乏人であっても均等に払う。

昔は物品税と言って、高級品、奢侈品だけ取っていた。
この物品税は、消費税と入れ替わりに廃止された。
今でも嗜好品は多めに取られる。
物品税、酒税、自動車税、たばこ税、ゴルフ税などである。
安倍さんはゴルフ税は廃止しようと言っているらしい。

直接税のデメリットとしては、わざと赤字にしたり、経費を過大に申告したり、所得を隠したりできるので、取りっぱぐれが発生する。
税金の捕捉率は業種によって違い、クロヨン(サラリーマン:自営業:農林水産業=9:6:4)とか、トーゴーサンピン(サラリーマン:自営業:農林水産業:政治家=10:5:3:1)とか言われる。
間接税はその点、取りっぱぐれが起きにくい。
しかし、所得税のごまかしが問題なら、それができない制度にするべきで、じゃあ他のところから取ろう、という議論は筋がおかしいとも思う。

一方間接税は、逆進性、つまり貧乏人の重税感が高いと言われる。

所得税は累進性があり、金持ちほど多く払う。
年に200万円しか稼がない人は20万円ぐらいで許してもらえるが、2000万円ぐらい取る人は800万円ぐらい取られたりする。
金額でいうと金持ちに厳しい。
やっと金持ちになった人は、才能や努力が実を結んだお金を、なんで多めに持って行かれないといけないのかと思うかもしれない。
一方貧乏人からすると、たくさん稼いでる人はしょうしょう多めに払ってもそれほど痛くないでしょ、ということになる。

一方間接税は年に200万円しか稼がない人が生活費に年200万円使ったとしたら16万円払わないといけない(8%計算)。
いっぽう年に2000万円使う人が年に800万円使ったら64万円払う。
明らかに貧乏人の方が痛い思いをする。

金持ちは余っているお金を人に貸したり、株や債券を買って儲けることが出来る。
つまり「金が働く」状態になり、貧富の差は開いていく。
努力や才能が認められての儲けだから、応分の報いであるという考えもあるが、金持ちは生まれつきの金持ちもいるから、何らかの再分配のシステムは必要だ。

直間比率

直接税と間接税には、一長一短がある。
直間比率という言葉があって、日本は直接税が諸外国に比べて不当に高いから是正しなければならない、という。
また、日本は法人税が不当に高いから企業が日本から逃げていく、外国に工場が移って日本は競争に負ける、という。
ただ、その理屈を推し進めると、企業は外国に逃げる甲斐性があるからうかつに税金を取れないが、貧乏人はそうそう外国に逃げるなんて出来ないからどんどんふんだくろう、という風に聞こえる。

日本と外国の比較で言うと、日本が欧米諸国の中で最もお手本にしていると思われるアメリカ合衆国は、連邦としての消費税は取っていない。
(州税は取っているところもある。アラスカ州は取っていない)
一方、法人税は日本よりもアメリカの方がわずかに高いのである。

世界の法人税(法定実効税率)ランキング - 世界経済のネタ帳

「日本は諸外国に比べて××だから直すべきだ」という議論はよく聞くが、どこの国と比べてどう悪いから直すのか、分かりにくい。
だいたい、こんなこと国や地方によって事情が違うので、外国に合わせることだろうか。
「外国に比べて日本は××だ」とか、「昔に比べて今は××だ」とかいう議論は、都合のいいところをつまみ食いする人がいるので、注意したい。

税率と税額、益税、戻し税

ヨーロッパは消費税率が日本より高い(から日本人はまだ頑張れる?)という議論がある。
しかし、制度が違うので単純に率だけ比較しても正確なところは分からない。
多くの国は軽減税率と言って、生活必需品は免税にしている。
日本はその制度がないから、消費税率で低くても、消費税額では必ずしも低くないという。
(詳しい数字は簡単には分からなかった。スミマセン)

ただ、軽減税率は制度が複雑になるから、必ずしもいいとは言えない。
食料品は軽減税率だが、外食は贅沢だから消費税対象、という国が多い。
これがやっかいで、ドイツではハンバーガーを家に持って帰ったら食料品扱いで軽減税率、店で食べたら外食扱いで消費税対象とか、カナダではドーナツが5個以下だとその場で食べられるので外食扱いで消費税対象だが、6個以上だと家に持ち帰るので食料品扱いで軽減税率とか、いろいろ笑い話が多い。
昔の日本でも「黒猫のタンゴ」のレコードは童謡か歌謡曲か(歌謡曲だと物品税が掛かる)という議論があった。
税金は複雑だとコストが掛かり、結局税金が割高になるから、貧乏人にはガッとキャッシュで戻したほうがいい気もする。

中小企業はお客さんから消費税を預かっても、国/地方に全部収めなくてもいい現象があり、これを益税という。

輸出企業の場合、海外に売っても消費税は預かれないので、仕入原価に掛かる消費税は国から戻してもらえる。
これを戻し税というが、戻し税をもらったら結局下請けにさらに戻さなければならないので「消費税による戻し税で輸出企業が儲ける」とはならないのではないか。
「戻し税」に反対しているWebを見ると、「下請けは立場が弱いから消費税を必ずしも納入金額に上乗せできない」とか書いてあるが、それは単純に元請けから下請けへの過剰なダンピング要求であって、税金の議論とは別なんじゃないだろうか。
これもよく分からない。

消費税に限らないが、制度が複雑過ぎる。
保険、年金はさらに複雑である。
ここをスパッと単純明快にすれば、国民全員を巻き込んだ白熱した議論になって、政治も経済も活性化すると思うのだが、そうすると役人は仕事がなくなって困るし、政治家の一部は国民に政治の議論をして欲しくないから、複雑なままにしているのだろうか。