扇情的なタイトルであるが、まとめると大体こういうことになる。
 ・リーマン・ショックの直後から、投資信託(インデックス・ファンド)を買っていた
 ・先週の大暴落のときに、全部売ってみた
 ・狙いはあたったのだが、なかなか売れなかった(約定しなかった)
 ・結局下がってから売る形になったので、ちょっと損してしまった
 ・買うならETFにすべきだ
これだけの内容を水増しして書く。
Curb brokers in Wall Street, New York City, 1920

リーマン・ショックの直後から、投資信託(インデックス・ファンド)を買っていた

本屋に行くと投資のススメ、という本が多く売っている。
それぞれディティールは異なるのだが、だいたい「お金だけ持っていても増えないしかえって危険だ。株や投信を買ったほうがいい」という内容だと思われる。
これは一面の真実だが、要するに投資は「買った時より売ったときが高い方に賭けるギャンブル」のようなものである。
いい思いをした人はいいことを言うだろうし、反対は逆になる。
ぼくはリーマン・ショックで世界中の株価が大暴落だったときに、ちょっとだけ買ってみた。
くわしい金額を書くのも恥ずかしいので、すべて架空の数字になるが、まあ200万円ぐらいだとしよう。

それから何年も過ぎて、上がったり、下がったり、こっちもお金がなくなって売ったり、また買ったりしていた。
正確にはどれぐらい儲かって損したのか分からない。
まあそんなに大騒ぎする金額ではない。

買ったのはインデックス・ファンドという商品である。
TOPIX連動なら、なるべくTOPIXという日本全体の景気に連動するように設計された仮想的な株を買う。
証券会社はそのお金を使って、なるべくTOPIX平均と同じ株価になるように、いろんな会社の株をミックスして買ってくれる。
日本の景気が良くなると儲かるし、下がると損する。

ちなみにある程度証券会社にお金を預けると、それを担保にお金を借りて、実力以上の取引をすることも出来る。
これを信用取引と言う。
あと、株を借りて売ることも出来る。
この場合、株が下がったら儲かるし上がったら損をする。
これを空売りという。
どちらも危険なので、よくわからないうちはやらないほうがいい。
ぼくが株について知っていることはこれぐらいだ。

インデックス・ファンドの対義語はアクティブ・ファンドと言って、ファンド・マネージャーという、澤上さんとか、村上さんとか、そういう人が自分の判断でいろんな株を買う。
その人の判断に乗って、その人にお金を預けて買ってもらうのである。
その人の判断が合っていれば儲かるし、外れたら損をする。

証券会社はタダでそんなファンドの設計や取引をしてくれるわけではなくて、手数料を取る。
売っても買っても、損をしても得をしても手数料を取られる。
インデックス・ファンドは手数料が安く、アクティブ・ファンドは高い。

過去の勝ち負け、成績は記録に残っている。
景気が良くなったり悪くなったりする以上、買ったり負けたりする。
アクティブ・ファンドや、ある会社の株(個別株)を自分の判断で買う場合は、国や世界全体の景気が悪くても儲かる可能性がある。
でも必要以上に大損をこく可能性がある。

なぜインデックス・ファンドが売れるかというと、日本や世界の株価は、上がったり下がったりしながらも平均としてはじわじわ上がっていく、という考えがあるからだ。
ぼくの考えではこういうことだ。
いま、いいアイディアを持っているのにお金を持ってない人や、お金は余っているがいいアイディアがない人が、出会わずに生きている。
だが、いずれ出会うと思われる。
だから、今日よりも明日のほうが経済が良くなっている可能性が高い。
世の中悪くなっている、と報道されたり、ネットで書く人が多いが、全体として、平均では世の中良くなっている。
人はふつう経験に学ぶから、当たり前にはそうなる。
オリンピックの記録は更新されるし、新発明が生まれる。
それを信じて、市場というものに賭けるという仮想的な株がインデックス・ファンドである。

これをぼくは投資信託で買った。
投信というのは、安く買えるという利点があるが、いろいろ不具合もある。
まず、手数料が高い。
もう一つの欠点は、売り注文を出してもなかなか約定しない(売れない)ということがある。

先週の大暴落のときに、全部売ってみた

去年から今年に掛けて、株はものすごく上がった。
200万円持っていたのが、230万円ぐらいになった。
理由はアベノミクスと、それにともなう市場緩和で、がんがん円安になっていることだ。

日本は輸出で儲けている国なので、円安になると数字上の富が増える。
ぼくは何もしなくても200万円ほどで買った株が230万円ぐらいになって、ホクホクであった。

ところが、それが大暴落した、という報告があった。
投信を買っていると面白いのだが、一定の限度を超えて値動きがあると、メールで教えてくれるのである。
ぼくが知った時は20万円ぐらい下がって、210万円ぐらいになっている、というものであった。

半分日本株(TOPIX連動投信)で、半分日本以外の先進国の平均株(MCSIコクサイ連動投信)にしていたが、両方下がっている。
理由はウクライナ情勢やイスラム国、香港情勢などの世界情勢への不安であると言われる。

ぼくの投資の目的は長期投資であって、老後資金の足しにすることだから、これぐらいの値動きでオタオタする必要はない。
特にお金の必要がなければ、ドーンと構えて放置しておくのがスジである。
だが、このときぼくは全部売ってしまおうと思った。

ひとつは、日本経済が減速しているのに、安倍政権はあまり有効な手を打っていないと思ったからである。
まず消費税を上げようとしている。
これはあまりいい手ではないと思った。
そして、戦争に前のめりな法改正をしたり、やたら勇ましい民族主義的な発言をしたりしている。
国民を鼓舞する狙いであって、一部の国民はおおいにコブされているようだが、ぼくは日本がアジアの安価な経済力や、中国の消費に頼って景気を上げていくべきだと思っているので、安倍さんがたとえ内心でどう思おうが、公的にやたら勇ましい発言をするのは政治家としてはジュニアーじゃないかなと思った。
個人の考えです。
それで、日本経済はもっと悪くなるし、日本経済が悪くなると世界経済も下がると思ったし、そんなことで毎日気を揉むのも面倒だと思ったので、叩き売ってみた。

狙いはあたったのだが、なかなか約定しなかった
結局下がってから売る形になったので、ちょっと損してしまった

それからもどんどん株価は下がった。
考えは当たった形だが、ぼくの売り注文がなかなか約定しない。
結局、売れた時は190万円ぐらいで売れた。
投資した金額からすると10万円損した形になるが、もし一番儲けていたときからの差額で見ると40万ほど損した形になる。

株は暴落すると次の日上がる。
みんな安いから買おうと思うのである。
そのときの暴落も次の日上がっているので、もうちょっと持っていたら200万円ぐらいまで戻したかもしれない。
でも次の日また下がった。
こんなのわからない。
いまの相場は波が荒く、素人が売り買いする局面ではない。

買うならETFにすべきだ

来年の消費税に向けて、日本株はもっと下げるだろうから、そうしたらまたちょっと買おうと思っている。
とりあえず、投資信託は避けるべきだと思った。
売りたいときにすぐ売れないのである。
では個別株を買うのかというと、違っていて、インデックス・ファンド(市場に連動する投信)でも、ETFという仮想的な株券で買えるのである。
これであればすぐに売り買いできる。

どっちみち素人の少額の投資であり、どうでもいいよ、という話だが、ぼく個人としては大きく得るものがあった。
いろいろ国際情勢や社会心理について考える機会が多くなったのである。
政治や社会について、だれでも考えていると思うが、お金がかかると他人ごとではないから、真剣になる。
だれに取っても他人ごとではないのだが、より真剣になるので、ちょっとは投資をしてみるのもいいんじゃないだろうか。