※9/27追記:下のブログで「28日日曜日までやっている」と書いていますが、29日月曜日昼の部もあるそうです。訂正してお詫びしますm(_ _)m

今日、2014年9月25日、南阿佐ヶ谷ひつじ座にて月蝕歌劇団の寺山修司作品『邪宗門』の初日を見た。
高取英作品『カリガリ博士』に続く連続公演の2作目である。

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それに先駆けて23日火曜日、例によって月蝕パーティというファンイベントがあって、高取氏が、5月に逝去された九條今日子さんと、1971年に天井桟敷が初演した『邪宗門』の思い出を語っていた。
以下はメモ。
(ぼくの要約だから不正確なところは多々あるだろう)

 *寺山の『邪宗門』は、客席の背もたれの上を役者が走ったり、恐ろしい舞台だった
 *空手家で演出家の三原四郎氏が(友情から)劇を潰す、と宣言して乱入したりしてそれも恐ろしかった
 *その様子は録音されて、CD(当時はLP)が出ている
 *ぼく(高取氏)は当時は大阪に住んでいた
 *大阪はエンターテインメントの、大衆芸能の街で、寺山さんはアートだから難しいなと思っていた
 *ぼくは寺山のスタッフだったとか、後継者だとか言われるが、目指しているのはそっち(大阪の大衆文化)の方である
 *でもそんなぼくの『邪宗門』を九条さんは気に入ってくれて「若い女の子がたくさん出ていいわねえ」と言っていた
 *そして「『邪宗門』をもう一回やりなさい」と何回も言っていた。ぼくは「またやるんですか。。」と言いながら再演を重ねた
 *九条さんはSKDの踊り子でもあった人だから、理解してくれたのかもしれない
 *だから今回月蝕で演じる『邪宗門』は九条さんに捧げる公演である

という、1970年代の時代の熱気を感じる話だった。

そして今日、『邪宗門』の初日を見た。
今週の日曜日(28日)来週の月曜日(29日)昼まで続くので、ネタバレは避けるが、いろいろな寺山演劇の場面が、パズルのピースのように組み合わさっていて、ぼくは2年前から寺山演劇を見始めたニワカだが、寺山語が理解できるようになっていて、深く楽しめたと思う。

『カリガリ博士』では7衣装12役になったと言う柏木亜優美さん改めあゆみっくわぁるどさんが、今回は「耳なし芳一」一役だけという落差だったが、この耳なし芳一のビジュアルが予想以上に怖可愛くてビビった。
あと、いろんな意味で今回公演の注目人物、百津美玲さんが笑顔を振りまいていて、暗く恐ろしくおどろおどろしい世界に新鮮な空気を吹き込んでいて良かった。
そして今回何と言っても感動したのは三上ナミさんの歌声である。
天井桟敷の舞台にカルメン・マキさんが出ていたのもこんな感じだっただろうか。
そう思わせる魂を震わせる歌声で本当に良かった。