9月20日土曜日、南阿佐ケ谷ひつじ座で月蝕歌劇団の『カリガリ博士』を見た。
初演だ。
正確には昼の部が初演でぼくが見た夜の部は2回目。

20140920karigari
ひつじ座は南阿佐ケ谷の駅から新宿方向に青梅街道をちょっと歩く。
舞台と客席が同じ床面のフラットなスペースで、床に座布団を敷かれているのに座るのが辛いが、演劇の世界にそのまま包まれてしまうような感覚がある。

今日が初日で、23日が千秋楽だし、せっかくの初演なので一切ネタバレは書かないが、『ナチスと地球空洞説/カリガリ博士―葛飾北斎とその娘・お栄編―』というわけのわからない題名がネタバレになっている。
この題名でネタバレとか訳がわからないよ!

以前の公演『不思議の國のアリス』ではアリスと2・26事件、そしてフランスの数学者ガロアが出てくる話だったが、今回はナチスと地球空洞説、葛飾北斎とその娘お栄が出てくる。
不穏な時代が時空を越えていろいろ物騒なものを引き寄せてしまうのかもしれない。

ナチスがふんだんに出てくる。
ナチスは天下公認の悪の権化だが、どこか滑稽で、かつカッコ良く、我々は何らかの郷愁を持っている。
レトロ・フューチャーな感じ。
アウトバーンやフォルクスワーゲン(昔の名前はKdfワーゲン)のような、メカ文化を揺藍した組織でもある。
そういえば昔、赤瀬川原平氏がエッセイで「ナチの映画を見たが、戦争が終わって汽車で逃げるとき、追ってこられないように枕木を切る電気のこぎりを最後尾に付けていた」という話を書いていたが、本当だろうか。
その映画見たい!

最近の日本はご案内のように国家主義が危険な盛り上がりを見せていて、シャレではなくて大真面目にナチに傾倒する若い人もいるようでびっくりだ。
今日見た演劇はそういう主張に賛成するものかというと、むしろ反対で、権力が科学や芸術をおもちゃにすることを戯画的に描いている。
が、戯画的に描かれているその権力が、滑稽にもカッコいいのである。

例によって若くて美しい女性が露出度も高く大量に出てくる。
人数も多いのだが同じ女優さんが何役も早着替えするので大変だ。
個人的には○○人が良かった。

いまいちなぜ北斎が絡むのかが良く分からなかったのだが、わけがわからないからもう何回か見に行くと思う。