時間が前後するが、昨日紹介した月蝕歌劇団の演劇を阿佐ヶ谷に見に行く前に、市谷の研究社英語センターというところで日本電子出版協会主催のセミナー『電子書籍をめぐる10の神話』を見に行った。
ぼくはこれから電子書籍に関わって生きて行きたいなーと思っていて、参考になる話が聞ければと思って参加した。
どちらかというと出版社向けの内容であったが、刺激的な話が多くて面白かった。

Laptop-ebook
以下http://www.epubcafe.jp/egls/platform16より。
~本格的発展のためにいまやるべきこと、考えるべきこと~
「電子書籍元年」といわれた2010年以来、電子書籍をめぐって、様々な仮説が唱えられた。それらの仮説は、主要プレイヤーが出揃い、本格的発展のための離陸期にさしかかりつつある現在から見て、どの程度妥当だったのだろうか? そしてそうした検討を踏まえて、電子出版の発展のため、今優先して検討すべき課題は何だと考えられるだろうか? 米国等海外の事例、内外の基本データを踏まえて、電子出版が「神話」から「現実」へと脱皮する道筋を展望する。

Part1
神話の1)「出版は10年以上不況であり、今後も不況が続く」
神話の2)「120万点以上の電子書籍が、米国の電子書籍普及の基礎となった。日本でも100万点ないと電子書籍は普及しない」

Part2
神話の3)「電子書籍は紙の書籍といつか置き換わる」
神話の4)「電子出版は『出版』の一種であり、『出版』のノウハウが活きる」
神話の5)「電子書籍でも紙の書籍と同様、価格は出版社が決めるべき」
神話の6)「図書館は電子書籍の敵である」
神話の7)「『自炊』は出版の敵であり、電子書籍の敵である」
神話の8)「ノンDRMは海賊版を増やす」
神話の9)「今後のフォーマットはEPUBしかありえない」
神話の10)「電子書籍なんか要らない。メルマガで十分」
おまけ)「電子出版権、著作隣接権の法制化で電子化が進む」

■講師 林智彦
 朝日新聞社デジタル事業本部。雑誌記者、書籍編集者などを経て2009年からデジタル事業に。2010年7月~2012年6月株式会社ブックリスタ取締役。グループ会社のCNET Japanに電子書籍関係のレポートを定期的に寄稿。


以下、例によってノートパソコンでログった内容をダダ漏れ状態で書く。
自分の琴線に触れた部分だけを抜書きしているので、網羅的ではないし、ぼくの脳を通じて要約しているのでその点はご容赦いただきたい。
今回のセミナーはスライドも映像も全部公開されているので、興味がある方はそちらを見るといいだろう。



ぼく(林さん)は電子書籍リーダーをたくさん集めている。
先日、Kyobo eReaderという韓国のリーダーを高いお金を出して買ったが、すぐに製造中止になってしまった。
でもsam readerと交換してもらえてよかった。

電子書籍元年から10年たつ。

(まず、今日議論する、電子書籍に関する「神話」を列挙する)
「出版は不況だ、不況が続く」だからどうするという話がある。

「アメリカでは電子書籍は120万点ある、日本でもそれだけ出さないとダメだ」という話がある。
それで日本でも出版デジタル機構という国策企業があって。
こないだ国策企業と言ったら殴られそうになったんだけど。

他にも
「電子書籍は紙の書籍と入れ替わる」
「電子書籍は紙の書籍の一種であり、出版のノウハウが生きる」
という神話がある。

「出版社が値段を決めるべき」かどうか。
これは「ホールセールモデルvs.エージェンシーモデル」という話がある。

「図書館は電子書籍の敵である」

「自炊は出版の敵であり電子書籍の敵である」
これ、「自炊」っていう英語はない。
それこそJISUIって言うか、あるいはself degitizationとか。
いずれも、日本的な風景である。

「DRMを外すと海賊版が増える」

「フォーマットはEPUBしかありえない」
EPUB3で初めての縦書きになった。

「電子書籍なんかいらない、メルマガで十分」

「電子出版権、著作隣接権で電子化が進む」

(こういったことについて話していく)

電子書籍の話は、語りやすい分野なのか、Pundits(権威、評論家)が多い。

えてして悲観的な人が多い。
特徴としては、似たようなことを云う。
出来ないことから探す。
二次情報を鵜呑みにする(同じ資料を何回も見せられる)。
「出羽の守」が多い(アメリカではこうだ、とすぐ言う人のこと)。
感想文が多い。

こういう間違った/偏った認識が、困ったことに、政策に大きな影響を与えている。

1番目の神話「出版が不況か」。

アンケートを取ると、半分以上不況だと思っている。
確かに売り上げは減っている。
でも、これは書籍と雑誌を分ける必要がある。
また、マクロ経済との関連を考える(人口減を考える)必要がある。

グラフを取ってみる。
まず、全体の販売数が減っている。
書籍、雑誌、書店数いずれも減っている。

ここで疑問がある。
販売額が減っているというが、これは物価の定価(デフレ)を考えに入れているのか。
物価を調整すると、減ってはいるけど、それほど減ってないとも言える。

同様に、人口の減少を考えに入れて、一人当たりにしてみると書籍の場合それほど下がってない。
雑誌の場合やはりどうしようもなく下がっていると言える。

一方、図書館の貸し出し冊数は10年ずっと伸びている。
本を読む人は減っていない。
はっきり不況なのは雑誌だけ。
たしかに雑誌を読む人は減っている。

出版社は出版以外もやっている。
たとえば角川は20%映像である。
ハルヒとかメディアミックスですごく儲けてるはず。
出版の統計だけ見るのは誤りだ。

ネットも含める、とコンテンツ市場は発達している。
若者の~離れという、俗流の議論を、大人はノスタルジーですぐしたがる。
しかし、今の子供はLINEとか見ててテキスト漬けの毎日を送っている。
(字を読まなくなったわけではない)

書店の減少について。
家電業界などでは、リアル店舗で商品を見て、店員に説明させるだけさせて、品物はネットで買う人が問題になっている。
このような書店のショーウィンドー化(showwindowing)、ECサイトのフリーライドが問題になっている。
説明コストをリアル店舗だけに負わせていいのか。

小売全体に対するEC(電子取引)の割合は、日本は2.83%、米国は6.7%で全然アメリカの方が多い。
バーンズ&ノーブルのような大書店が経営危機と言われている。

音楽のCDは出版よりひどい右肩下がりである。
これは人口、物価で調整してもダメで、雑誌と一緒である。

しかし、ライブの動員記録は増えている。
これは、いわゆるAKB現象と、夏フェスの影響がある。

配信は伸びてない。
メジャーレーベルが参入に積極的でない。

ガラケー(着メロ着うた)がおいしい商売過ぎた。

コンテンツはいくつかの種類に分かれる特殊な財物である。

CDは探索財と言って、はじっこを聞けば質が分かる。
ちょっと聞いて気に入ったら買うし、気に入らなければ買わない。
ちょっと聞いただけでは質が分からないということはまずない。

小説などの本は経験財と言って、最後まで読んではじめて価値が分かる。

学術書や宗教の経典などは信頼財と言って、最後まで読んでも分からない。
信じるしかない。

紀伊国屋や三省堂にいると、たまに信者の人が宗教書をまとめ買いに来る。
345冊くださいとか、妙にスペシフィックな冊数を買い上げていく。
あれはなんなのか。

このように、音楽と本は性質が違うから一概に比較できない。

音楽はバラ売り出来る。
iTunesがCDアルバムの曲をバラ売りしているのは画期的なことであった。
本は出来ない。

音楽はライブのレプリカである。
本はライブのような体験が作れない。
オーサービジットのようなことは考えられるが。

書店が減っているというが、CDショップはもっと減っている。
音楽ではCD店を支援しようとは云わないのに、書店を支援しようとは急に云われる。

ニュートンを作ったアップル(当時)のジョン・スカリーが、産業は分類できるといっていた。
コンテナ(運ぶもの)<=>コンテンツ(運ばれる中身)
プロダクト(実体のある生産物)<=>サービス(実体のないもの)

2番目の神話。
「アメリカでは百数十万点ある」について。

アメリカでは電子書籍が190万点あるといわれる。
日本では10万点ぐらいだからダメだといわれる。

しかし、ISBNがついている書籍を見ると、アメリカでも35万点ぐらいしかない。
Kindle Storeの本はISBNなしでもいいと言われるが、紙の本の電子書籍版はISBNありが多い。
190万点と言われる中身は、紙の本とは関係がない、自己出版やダイレクトプリントの電子版が多い。

いま、自己出版レボリューションというのが起こっていて、素人でも安価に本が出せる。
4つの支援企業がある。
ただ、これもワナがあって、途中でネトゲのアイテム課金みたいに、もうちょっと払って校正しませんかとか、きれいなカバーつけませんかとか言われて、お金を取られる。

電子書籍はプリントオンデマンドとからんでいる。
PODは、青空文庫や商材をそのまま印刷したもののような、非伝統的なリプリントもある。

電子書籍を起爆剤にしてこれまで本を出せなかった人が出している。
PODは注文があるまで刷れないので電子書籍の一種とも云える。
特殊な専門書も多い。

アメリカで電子書籍が普及した理由を書いた『Merchants of Culture』という本が面白い。



アメリカでも本は安売りしちゃいかんという議論があって、訴訟沙汰になっていた。
ウォルマートなどで本を安売りしていた。
しかし、アメリカも委託販売で返品が多い。

ゼロ年代には、電子書籍リーダーは高くて使い辛かった。
フォーマットが統一化してなかった。
しかし、PDFやEPUB2が出来て良くなった。

しかし、写真などのライツの問題がある(?)。
制作コストが流通コストを超えて掛かる。
しかし、電子書籍は安くあるべきだと思われていて、紙の本の2割でも高いと言われる。

電子書籍は紙の本よりコストが高い。
しかし、ワークフローがないからちゃんとした話で云えない。

アメリカはデータに残っている。
80年代の電子書籍がISBNで出て来る。
書誌情報もちゃんとしている。

日本は、ISBNを取る前のワークフローがひどい。
個人が自己出版でISBNを取ろうとしても、大変な手間とお金が掛かる。
いまどき申し込みを郵便で送ると、電話がかかって来るなどと言う。

アメリカでは、エクスプレス料金を払えばだが、最短24時間で、オンラインで取得できる。
こういうインフラが整っているので、連邦図書館に行けば、80年代の電子書籍がちゃんと検索できる。

日本はインフラがないのに闇雲にコンテンツを増やしても、国会図書館にあるとは限らないという状況である。
第3の神話。
「紙の本が駆逐される」ことはない

紙の本は機能が高い、
保存性もいい。

アメリカで、紙の本が売り上げを減らして、電子書籍が売り上げを伸ばした(カニバリズムが起こった)ものは、スリラーとかラブロマンスなどのジャンルフィクション(安いペイパーバックス)だけである。

子供に本を読みきかせるのに、電子書籍を使うことはまずない。
人に勧めるのも、貸すのも紙の本である。

紙の書籍と電子書籍を両方同時に売ると売り上げが上がる。
紙の書籍はアマゾンであっても発売した瞬間は10冊しか在庫がないので、すぐ品切れになるが、電子書籍は品切れがないので統計上便利である。
非常に本が好きな、待ち構えている人が電子書籍をバッと買って宣伝になる。

これはスーパースターと言われる本と、アウトサイダーと言われる本でふるまいが違う。

スーパースターは電子が紙を食う(カニバリズム)。

アウトサイダー、紙では絶対売れない本は、もしディレイ刊行というのを行って、紙を出して2ヶ月経ってから電子書籍を出すというようなことをすると、電子書籍を待ち構えている人は、それがないので、腹を立って読むのを止めてしまう。
2ヶ月たって電子書籍を出しても、電子書籍だけの宣伝は出来ないから、売れない。

「電子書籍に出版のノウハウが生きる」か。
イエスでもありノーでもある。

「自己出版をどうやるか」というアメリカの本がある。



実にいろいろなノウハウが書いている。
・同時に本を何冊か出して相互広告しろ
・エゴサーチして自分に言及してくれる人には返事を出せ
・表紙を頻繁に変えろ(会場笑い)
こういう発想はぼくにはなかった。
今までの常識が通用しない世界である。

「値付けをストアと出版社とどっちが決める」か。
出版社のストアが、アマゾンやコボより高かったらどうするのか。
それで、買ってしまった客は、出版社に文句を言ってくるだろう。

アマゾンはプライスクローラーというのをやっている。
プログラムが他のストアを検索して、アマゾンが一番安くなるように自動的に値付けをしている。
実は中の人がやっているという話もある。

ストアがそこまで高い技術を持っている以上、ストアが決めるべきではないか。

「図書館は出版の敵」か。
マイナスの効果がないとはいえないが、ディスカバラビリティ(本の発見されやすさ)との関係を考える必要が多い。
この手の話は印象批評(感情論)が多い。

出版界にとって、図書館の利点は、借りた本の著者の別の本を書店で買うこと。
不利な点は、借りられるなら買わない人がいること。

大学生で、モデル分析を行って論文を書いた人がいる。
それによると、プラスの効果が高いようだ。

図書館で本が読まれることによって利益が減ることの保証金が取れるか。
本は一品一品が全部違うので補償金は難しい
アメリカでは断念した。

要するに、たいしたことはない。
インターネットと言う巨大な敵の、過剰の経済学の中で、図書館と言う小さい敵を倒していていいのか。

「自炊は敵」か。
まだ数字がないのでなんともいえない。

「ノンDRMは敵」か。
音楽産業はDRMがあるために、コンテンツが使いにくくなってビジネスがジリ貧になった。

いまたくさんノンDRMを謳った出版社がある。
・達人出版会
・オライリー
 これはEPUB(中身はHTML)で出しているので、リーダーがなくなっても読める。
・ハリー・ポッター
・TOR

希少の経済学(モノが少ないから価値がある)から、過剰の経済学(情報が多すぎて探せない、目立てない)に移っている。
既存の経済学が通用しない世界に入っている。

ディスカバラビリティが低ければ、パイレーシー(海賊行為、不法コピー)が流行るのもしょうがない。
いま問題になっているのは、商品の価格よりも取り引き価格(手数)が掛かりすぎること。
DRMは取り引き価格を増やすので、消費者を商品から遠ざけてしまう。
これは止めた方がいい。

「今後のフォーマットはEPUBしかありえない」 か。
EPUBはまだ至らない部分がある。
誰でも使えるツールが少ない。

「電子書籍なんかいらない、メルマガで十分」か。
これはホリエモンが言っていたこと。
ある意味正論である。

メルマガは課金が簡単だ。

「KindleってKindleじゃないと読めないんでしょ」などという誤解がまかり通っている。
「いや、どのプラットフォームでも読めますよ」と言うと「プラットフォームって何ですか」と言われる。

電子書籍は、コピー&シェアが簡単に出来ない。
ネットの良さをわざわざ殺している。
印刷も出来ない。
イメージを取ることも出来ない。
校正が難しい。

電子書籍によって、電子コンテンツは進歩でなく退歩している。
版管理も難しい。
永続的に保存出来ない。
批評出来ない。
典拠出来ない。
書籍が担っていたものがない。
パーマリンクもない。
(ブログはパーマリンクがあるから批評できるのに)
ウェブよりも退化している。

電子書籍を発展させたいというのなら、ウェブやテキストよりも便利にしないと普及しないのではないか。

「電子出版権、著作隣接権の法制化で電子化が進む」 か。

出版社が著者に成り代わって海賊版を取り締まるという。
しかし、そうするといったん出版したものは、永続的に出版の義務が生じるけど、それでいいのか。

紙の本は「絶版なの?」と聞かれると、「品切れ重版未定です」と言えばよかった。
(実際には絶版でも、あいまいにごまかせた)
その言い訳が効かなくなる。

今は絶版通知もしていない。

海賊版の取り締まりがしやすくなると言う。
しかし、そうなると海賊版サイトが見つかるたびに著者からクレームが来る。
それを調べる義務が生じる。

ネット海賊版があるからどれだけ売れなくなったか証明が出来ない。
どんなに売れない本でも海賊版は出る。
「どうせ売れないから対策しなくていいですよ」とは云えない。

売れない本とは言っても、古い本が急に売れたりするのが出版界。
「コストが掛かるから調査しません」とは云えない。
ガラス張りにしたら、実はパンドラの筺だったということになりかねない。

法制度はコストが掛かる。
このコストとベネフィットとの関係は分かっているのか。
アメリカでは専門家を頼らないといけない複雑な世界になると言われている。
それは避けたい、

アマゾンは取り引きコストの最小化に腐心している。
全部返品可能というのは、一部返品不能にするとかえってコストが掛かるから。

フリクションを増やす制度設計は時代に逆行する。

DRMはずすならEPUBじゃなくてHTML5でもいい。
コストを上げる方へ上げる方へ制度設計すると紙の本に逃げる。
人を泥棒扱いするな。
90年代から情報は1億倍になっていると言われる。
海賊版なんかと戦うのは、情報の大海原の中で小舟同士が争っているようなもの。
愚かだ。

(Q&Aタイム)
「日本における自己出版の可能性は?」

一時、文芸書の自費出版ブームがあったが、コストが掛かり過ぎた。
電子書籍はコストが低いから切り離して考えるべき。
面白いことが起こるんじゃないか。

これまで、編集者としては売れないからどんどんリジェクトしてきた本がある
京都から出て来て本を出してくださいと言ってきた人がいた。
耽美系の本だった。
ぼくは「面白いと思うけどぼくには作れないと思います」と断った。
その後、映画化されたりしてものすごく売れた。

これまでの紙の本は、コストが掛かるから、売れる本が出せるかどうかはすごく運に左右された。
これからは、マッチングサイトのような仕組みが出来ればいい。
光が当たってなかった部分に光が当たるのは、ネットの力である。

「日米では著作権を延ばそうと言っている。中国では、翌日にはマンガの海賊版が出来ている。中国がある限り、日本だけ頑張って著作権を引き締めてもしょうがないのではないか」

セントラルドグマがあって、著作権を保護すれば創作意欲を延ばす、社会権益を増やすと言われている。
本当にそうなのか?
発見されることがコストだ。
新人作家はパイレーシーされる方が儲かる。
発見されるだけましである。

「著作物もLinuxのようにフリー化されるのか?」

コンピューターの世界では、ソフトをタダにしてソリューションを売ろうという考えがある。
IBMはそれに傾き過ぎてうまくいかなかった。
フリーに任せてるといいものが出て来ないこともある
たとえばEPUB制作システムである。
いいものがフリーで出ちゃうと、大手ベンダーが値段を付けにくくなる。

しかし、ネットの世界のフリー化の流れは止めることは出来ないだろう。
ムーアの法則が壊れてHDDの故障率を上げるとかしないといけない。

★★★

以上、いままでのセミナーの書き起こしに増してよく分からない内容になったが、余談が多くて大変楽しいセミナーだった。

一般に権利管理をゆるくしよう、使いやすくしよう、そうすれば結局儲かる、音楽業界の失敗に学ぶべきだ、というのが主眼のお話だったようだ。
それは本当にそうかもしれないが、実際に権利をきつくしないとダメだと思っている決定権を握る人々や、権利をきつくすることで成り立っているアマクダリ団体とか、そういう人たちはこの議論で説得されるのか?という疑問を持った。

いまの電子書籍は使いにくいという議論はたしかにそうだと思った。
ネットよりもはるかに使いにくいし、紙の本よりも使いにくいのだ。
使いにくいうちは流行らない。
そう思っておいて間違いなさそうだ。

アメリカで自己出版が流行っている話は面白い。
Book Marketing Guideという本は特に面白そうだ。