ということで、昨日はひさびさに雑誌の仕事、Software Design誌の仕事を取り上げたのだが、それで過去の雑誌の仕事を思い出したのでここで記録を兼ねて紹介しておく。

pinkRose
翔泳社刊の『開発の現場』という雑誌に2回ほど単発記事を寄稿した。
この雑誌はソフトウェア開発の全工程について書いてある雑誌で、知らないことがいっぱい書いてあった。
結構ぼくが頼まれた雑誌にしては高年齢SE?向けの総合雑誌的な内容で、デスマーチに負けない心身の健康についてとか書いてあって面白かったと思う。

残念ながらもう廃刊してしまった。
雑誌というよりムックのような作りで、まだ書泉ブックタワーのような技術書が多い大型書店にはデッドストックが置いてあったりする。
興味があったら見てやってください。

最初は創刊号で、「文字コードネタで書いてください」と言われたので、「文字コード【超】事件簿」という記事で、こういうパターンで文字化けしたらこういう問題が発生しているのでこうやったら直せますよ、というのを5~6パターン書いたら面白いんじゃないですか、と書いた。

2005年の6月のことだ。
もう7年前だ。



過去にこのブログでも取り上げた、Windowsで動いていたPerlのスクリプトをUNIXのサーバーに送ったら「Command not found」になるというネタや、同様にUTF-16をFTPで送ると文字化け=>文字化けせず=>文字化け=>・・・とシマシマに化ける話とか、そういうのを書いた。

で、『文字コード【超】研究』の書影つき広告を入れてください、と言った。
どうしてもこの本からネタを拾う形になるので、「こっちの本にはこういう話がテンコ盛りで書いてありますよー」と本文にも宣伝を入れた。
で、合わせて『【超】研究』を出してくれたラトルズの黒田さんにも「こういう雑誌にネタを切り売りする形になるけど、かえって広告になるからいいですよね」とメールで仁義を切った。
快諾が得られて良かった。
(「なかなかやりますね!」と黒田さんからのメールに書いてあってうれしかった。)

昨日紹介したSoftware Designの記事もそうだが、単行本を書いたら同じネタで雑誌を書くのは、当然ながらカンタンだ。
ぼくは横溝正史の、長編に対する「金田一耕助の冒険」のようなイメージを持って書いた。
だから「文字コード【超】事件簿」にした。

あと、江戸川乱歩の「赤い部屋」という短編も頭にあった。
これは細かい殺人のネタが短編小説にびっしり出てくる話で、読んだ人に「もったいない」と言われたそうだが、乱歩さんは「そのもったいないところがいいんだ」と言っていたという話を覚えていたので、もったいないと言ってもらえるほど、いっぱい話を盛り込んで記事を作った。

次に第3号にPerlネタで、と言われた。
これは2006年の1月発行だから、季刊誌?みたいなペースである。



これは1冊目の本『すぐわかるPerl』を下敷きに書いた(やはり書影つき広告を載せてもらった)が、どうせなら書籍には向かない生々しい話を書こうと思って、実際に会社で使っているWordのファイルにふりがなタグを入れる方法などを書いた。

見だし語に索引タグをふりがなつきで埋め込む。たとえば

 概説<XE 概説[がいせつ]>

のようにする。こうすると、Wordの機能で索引が出来る(漢字コード順ではなくふりがな順になる)という作業があるが、手作業だと大変だ。

そこで、まず、Wordから見出し語をテキストファイルに抜き出す。
その時通し番号を振っておく。

 1 -> 概説

その一方で、Wordファイルには通し番号つきの「お墓」を立てておく。

 概説★1★

で、テキストファイルの方をPerlでかなをふる。(Text::Kakasiモジュールを使う)

 1 -> 概説 -> がいせつ

で、Wordにファイルから索引タグを入れるが、そのときお墓★1★を目指して検索置換するとラクチンだ、とか、そんなことを書いた。
細かいな!

あとはやはり会社で悩んだDBD/DBIモジュールを使ってデータベースを叩く話など「開発の現場」っぽいかなーと思って書いた。

この記事は翌年の3月に出た「特別版 Vol.1 The 実装技術」という号にも転載された。



で、昨日のSoftware Designで『すぐわかるオブジェクト指向Perl』のサブセット的な記事は書いたので、「単行本のサブセットで雑誌の記事を書くとついでに宣伝にもなるかも?」という作戦の雑誌記事はもう打ち止めである。

雑誌の仕事も、やりだすといろいろ凝って面白いことをやろうと思って、やってみると意外と面白くなったりもするのだが、基本的にぼくは単行本よりずいぶん難しい気がする。
締切が早いし、話を短くまとめなければならないし、ある程度時流に乗ったライブ感のある記事を書かないといけない。

もちろんプロであれば雑誌の仕事もバリバリやっていかないといけないし、逆に雑誌の連載から単行本というパターンも面白いだろうが、現時点のヌルヌル兼業ライターとしては、やはり相当緊張して掛からないと難しいという印象だ。

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