連休はひとつのテーマとして、2年も3年も抛りっぱなしにしている執筆に集中している。
これさえ済めば、ずいぶん気分的に楽になるだろう。
持病が治ったような、借金を完済したような気分になるだろうと思う。

ひとりで家で書いていると気楽だが、誰にも監視されていないので何らかの方法でモチベーションを維持する必要がある。
ぼくは意識高い系の人の間で一時話題になった「ポモドーロテクニック」を導入してみた。
もっとも、この言葉が人口に膾炙したのはずいぶん前のことだから、いまごろポモドーロとか言うのももうすっかり流行おくれになっているかもしれない。

ポモドーロという名前の由来は諸説あるが、トマトをひねる形のキッチンタイマーがあるかららしい。

簡単に言うと、
 ・25分作業して5分休憩する(この単位を1ポモドーロと呼ぶ)
 ・これを4セットやったら60分休む
ということらしい。
(3セットやったら30分休むなど、いくつかバリエーションがあるようだ。)

仕事を分割することで集中力を高め、成果を記録することで見通しを立てる。
集中力が高まり、見通しがクリアになるとますます能率が上がる。
ノリノリで仕事をしていると脇目も振らずやってしまい、休憩を取るのを忘れる。
それでひどく疲れてしまうと、グッタリ休んでしまい、リバウンドが来る。
だったら早め早めに休憩した方がいい。

これはゲーミフィケーションの要素もある。
ぼくは「うれしがり」なので、こういうのも導入すると最初はうれしがってバリバリやるだろうから1回はやってみる価値はあると思った。

ということで、今日一日やってみた。

パソコンの作業なので、パソコンのタイマーを使った。
Tomightyというのがすぐ見つかったので、インストールしてみた。
カンタンなソフトなので、まあ普通に使える。
あまり変化とか特色が出せない分野なのではないか。

進行表をExcelで作ってみた。
(1)開始時刻(予定値)
(2)終了時刻(予定値)
(3)フェーズ(作業、小休止、大休止のいずれか)
(4)開始時の章
(5)開始時の累積文字数
(6)終了時の章
(7)終了時の累積文字数
(8)単位進捗文字数
の8項目だ。

最初に(1)~(3)は予定で埋めてしまった。

 開始時刻  終了時刻  フェーズ
 8:00  8:25  作業
 8:25  8:30  小休止
 8:30  8:55  作業
 8:55  9:00  小休止
 9:00  9:25  作業
 9:25  9:30  小休止
 9:30  9:55  作業
 9:55  10:00 小休止
 10:00 11:00 大休止

みたいな感じだ。

予定地の他に実績値も書けばいいのかもしれないが、システム作りに凝ると先に進まないということが過去に何回もあったし、今回「執筆」という大きくて最初から最後まで均一で孤独な作業(打ち合わせとか買い出しとか、大きく時間が変動する要素がない作業)であるので、今回は見送った。

作業を開始したらタイマーをスタートさせ、開始時の項目を埋める。

 開始時刻  終了時刻  フェーズ 開始時の章 開始時の累積字数
 8:00  8:25  作業   第1章   0

あとは25分黙々と書き続ける。

ずーっと作業をやっていたら、仕事ばっかりやっていたら身が持たないと思うので、ネットを見たり外の景色を見たり、適当に休み休みやろうと思うけど、とりあえず25分は全力疾走しようと思うと、気が散らない。気を散らせようという気がなくなるのである。

タイマーは「カッチンカッチン」という秒を刻む音を出している。
(止めることも出来るが、出すようにした)
そのうち「この25分さえ過ぎてしまえば休める」と思ってくる。
本末転倒のような気がするが、それはそれでモチベーションになる。

25分たったらベルがチーンと鳴ってタイマーが止まる。
進捗を書いて小休止を入れる。

 開始時刻  終了時刻  フェーズ 開始章 開始字数 終了字数 ラップ字数
 8:00  8:25  作業   第1章 0    1500 1500

5分間の休みである。
これもタイマーで量る。
排便をし、飲み物を変える。
眼鏡を外し、立ちあがって腰を回したり、肩を回したりする。
あとはベッドに寝て目をつぶる。
5分はすぐである。

 開始時刻  終了時刻  フェーズ 開始章 開始字数 終了字数 ラップ字数
 8:00  8:25  作業   第1章 0    1500 1500
 8:35  8:30  小休止

また書き始める。

いいことと悪いことがある。

まずいいこととしてはどうしようもなく集中し、能率が上がる。
人間追われていると頑張るものである。

悪いこととしては工業的な気分になる。
詩想がなくなるのである。
創造ではなく、作業をしている気になる。

しかし「慣れ」の問題であって、4ポモやって大休止を挟んで、5ポモ目に入ったころにはちょこちょこ面白いことを考えられるようになった。

時間で作業を切られるのも最初はイヤだった。
キリがいいところまで書かないと行けないと思うのである。

しかし、やっているうちに、あえてキリが悪いところで止めるのも面白いと思ってきた。
「つまり、ここまでの作業をまとめると」

というところでチーンとなったら、そこで本当に止めてしまうのである。
どうせ5分後に再開するのであるから、別に「キリ」を付ける必要はない。

面白いのが、5分間の休憩の間に、頭の中で上の文章の続きを考えていることである。
排便をし、飲み物を入れ、仮眠を取っている間に文章を考えている。
次ポモに入ると、堰を切ったように文章が出てくる。
頑張って仕事をしてからセーノで休むと気持ちいいように、頑張って休んでからセーノで仕事すると気持ちいい。
この状態を人工的に作るのである。

何ポモかやっていると余裕が出てきた。
適度に休んでいるから疲れないのである。
結局8時から16時まで、13ポモで2万字のノルマに達成した。
13ポモ、というのは、最後に大休止するのを忘れて、間違えて作業してしまったのである。
最後の方はよほど調子が良かったようだ。

休憩しながら仕事をしていて思ったのは、家で仕事をするありがたみである。
5分の休みはベッドに倒れ込んで目をつぶるのが一番いい。
あとはベランダで深呼吸するのもいい。
シャチクもダメだけど、カフェで原稿書くのもダメだ。
あくまでもぼくの場合はですよ。
ぼくは特に体が弱いからかもしれないが、家で仕事をすると本当にいいなあと思った。

まあ、初日だからうれしがってできたのかもしれないが、初日だけでも出来てよかったと思う。
1日でも集中して出来たという成功体験が励みになるだろう。
ハマる人はハマると思うので、どうぞ試してみて欲しい。

pomo

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