今年ちょっとネットで盛り上がったのは、外出してカフェでノートパソコンを使うのが効率的かどうかという話である。
例によって意見そのものではなく、その意見を言っている人に対する感情的な反発があったりして非生産的に盛り上がった。
この問題についてはかねがね自分でも考えていたので、今日はそのことを書いてみる。
長い間、ぼくは家で原稿が進まないことに悩んでいた。
気が散ってしまう。
生活感があってダラダラする。
こういう、家にいることでのダラダラ感は、確かにある。

それで、昔から「カフェで原稿を書く(プログラミングをする)と進む」という話を聞いていた。
根拠としては
 ・外界の刺激を得てテンションが上がる
 ・人目があるのである程度の緊張感が得られる
 ・身銭を切っているので元を取ろうとして集中する
といったところであるようだ。

それで、何回かノートパソコンをカフェに持っていって原稿を書いてみた。
ぼくはうれしがりなので、最初は調子がよくて、高揚感もあっていいかもと思っていたのだが、何回か試した結果、ぼくには無理だという結論に達した。

まず、カフェに行くことで、往復の時間が掛かる。
そして、わざわざ飲食物を注文しなければいけないのが大儀である。
ぼくはもともと喫茶店とか行く方ではないのに、使用料としてコーヒーなんか頼むのは無駄な気がする。
あと、机が低く、椅子も小さいので腰が痛くなる。
ぼくはこれがちょっと異常に苦手で、前にも書いたが家に事務用の机と椅子を導入しているのである。

ノートパソコンの電源もバカにならない。
よく「電源を遣わせてもらえるカフェ」という言い方があるが、あれは少し疑問がある。
電気は従量制で課金されるものであり、実際には「電気をただでもらえる(大目に見てもらえる)カフェ」と言うべきだ。
カフェ側は内心カリカリしてるかもしれないよ。

そしてぼくの場合は資料が問題である。
ぼくは現状で外に能がないので、ほとんどPerlと文字コードについて原稿を書いているが、細かい情報はネットで検索するとしても、大きな流れはPerlの場合はCamel Book、文字コードの場合はCJKVやJIS漢字字典を見ないといけない。







あと、どうしようもなく自分の本も見る。
これがまたクソ厚くて重い。

もちろん、電子書籍にして見ればいいのだが、であってもノートパソコンの画面で原稿やブラウザーと同時に見るのはとてもつらい。
ぼくは22インチのフルHDのディスプレイを2面使っている。
これでやっとちょうどいい感じだ。
でもこんなのをカフェに持ち込んでいたらさすがに何か言われると思う。

いろいろ考えて、結局、あくまでぼくの場合はカフェ原稿は無理だという結論に達した。

むろん、営業や経営者で打ち合わせから打ち合わせに飛び歩いている人が合間にちょっと原稿、などという場合はモバイルも役立つだろう。
ぼくも優先度の低いメールを減らしたり、ツイッターを消化したりするのは移動中にiPhoneでやっている。
ブログの下書きぐらいはiPad miniで出来るかなと思っていたが、結局清書は家でやりたくなるので、だったら二度手間なので最初から家でやった方がいいと思っている。

では家でテンションが下がる問題をどう解決するかだが、テンションが上がるように家を改造する方が早い。
先に行ったように事務用机を入れる、大きなディスプレイを2面入れるほかに、キーボードをレアフォにするポインティングデバイスをトラックボールにするなどなど、自分好みにどんどん変えていけばよい。
ベッドがあるのが集中を殺ぐという話であるが、計画的に休み休み仕事するようにすればかえって効率が上がる。
休憩しようと思ったら、寝られる! と思えばかえってファイトが湧く。

要は、考えようである。
現時点では、好きでやっている仕事なのだから、自分の部屋で能率が上がるように工夫すべきだと、個人としては思っている。
まあ、たまたまそういう性格だと言うことだろう。

気分転換としての「外出」の効果は高い。
しかし、移動するだけで結構気が済んでしまう。
ぼくは武蔵小杉の近くに住んでいるが、綱島街道を歩いて、多摩川に出て、橋を渡ったり土手を回ったりしているとそれである程度ほどよいテンションになる。

定期を使って会社がある横浜まで往復することもある。
電車で本を読むといろいろ着想が得られる。
あと、何回か書いているが、英会話の教材を聴いたり、落語を聴いたり、ラジオドラマのCDを聞いたりするのもオツなものである。



まあ、なんでも好きなようにすればいいのだろうが、最も重要なことは、現状のやり方が本当に自分に合っているか、それを見返す、振り返るということだろう。
そういう意味で、カフェで原稿を書いてみて、最初は楽しかったけど結局撤退したという経験は、自分にとって良かった。


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