★スミマセン宣伝です(2015/10/10)★
ぼくの睡眠時無呼吸症候群、そしてCPAP個人輸入の体験を電子書籍にしました。


最初はブログをまとめれば本になるとたかをくくっていたのですが、結局ぜんぶ書き直しになりました。
本を書いていて思ったのが、過去のブログに書いたことは少しずつ記憶に誤りがあるということです。
本来ならばブログを1つ1つ訂正するか、ぜんぶ削除するところですが、それはこれからおいおいやっていきます。

睡眠時無呼吸症候群に悩んでおられる方なら、共感していただけ、役立てていただけるように本を書きました。
ぜひ読んでください。



闘病記の20。
今回で本連載は一応最終回とする。

※本稿は個人の病気に関する感想を主観的に綴ったもので、医学的、科学的な知見を与えるものではありません。ご自身の健康に関する問題は専門医を受診してください。

前回までのあらすじ


1)~41) は前回をご覧ください。なお睡眠時無呼吸症候群のことをSASと略記します。
42) なんかもう、通院するの精神的に限界になってきた
43) CPAPは個人輸入することが出来る
44) 値段は600ドル(円高だったので5万円)
45) CPAPの個人輸入にはメリットもデメリットもある
46) 通院中の病院では「個人輸入はサポートしない」という立場
47) 通院中の病院でのCPAPレンタルに3年の月日が経った
48) 3年経ったので、病院でのレンタル契約を更改し、貸している筐体を交換しろと言ってきた
49) 個人輸入に切り替えるなら今だ!と思った
50) CPAP.comというアメリカのサイトから直接個人輸入することにした
51) 医師の処方箋 (prescription) が必要ということなので、CPAPレンタル病院とは別の掛かりつけ内科医に頼んだ
52) 処方箋は数日を経て無事もらえた
53) ぼくはCPAP.comというサイトを使うことにした
54) 製品としてはフィリップス・レスピロニクス製品を買うことにした(以下はレスピロ機と略す)
55) レスピロ機の特徴はオートCPAP(呼吸が止まるのを感知して空気を強くする)が選べること、記録用メディアに民生用SDカードが使えること、エンコアという解析ソフトが使えること
56) 一緒にレスピロのネーザルピロー(鼻孔に入れるタイプの顔面アタッチメント。鼻まくら)も勝ってみた
57) 処方箋はオンラインでアップロードでき、カード決済で、オンラインですべての手続きが完了した
58) 運が悪ければ税関で「薬監」という書類が必要になるがぼくは求められなかった
59) 結局ものの数週間で機械を入手した
60) レスピロ機はA-PAPであること、エンコアが使えることがすばらしい
61) レスピロ機を使って、AHI指標が落ち着いていることが分かったので、レンタル機を返却する決意を固めた
62) 病院に行って「ちょっと田舎に帰ることになったので(嘘はついてない)いったん契約をお休みします」と言ってみた★ここから前回
63) 「帝人の提携している病院は全国にあるよ」と言い方をされたので、やはり帝人ファーマと病院のネットが提携しているようだ(記憶不鮮明)
64) 果たして、病院にCPAPを返した



病院にレンタルのCPAPを返した。
これからは個人輸入したCPAPを使って自己治療することとする。
そう決めたのが去年の8月のことだ。
それから1年2ヶ月以上経つが、今のところ病状は悪化していない。
専用ソフトウェアを使って時々CPAP装用時のAHI値を見るが、5以下と非常に安定している。

SASが治ったのかどうかは、はっきりとは分からない。
CPAPを装用しない状態で無呼吸が起きるかは、専門医院で一泊検査をしないと分からないのだ。

しかし、ある程度簡易的に試験をすることが出来る。
それは、CPAPをしないで寝てみることだ。
数日ならば無害である。
(ただし、自動車や新幹線の運転は当然ながら危険である)

CPAPをある程度快調につけている時期が続くと、クセがついて?CPAPをつけなくても無呼吸が起きないらしい。
しかし、2週間ぐらい超えると、症状が現れる。

最も顕著なのが起床時の頭痛である。
これは血中の酸素濃度が低下することで現れると言われる。

あと、個人的に感じるのが朝方に悪夢を見ることだ。
これは眠りが浅くなる(REM睡眠が多くなる)ことから起きるのだと思う。
それから、これは科学の話なのであえてあけすけに書くが、いわゆる男性のアサダチ現象がなくなる。
CPAPの装用を再開すると、たちまち復活するのである。

あとはもちろん、昼下がりから夕方に掛けての「異常な眠気」である。
SASの眠気はいわゆる健康な眠気と全然違う。
脳に毒が噴き出したような、苦痛を伴う眠気が来る。

自己治療に切り替えてから1年2ヶ月、残念ながらこの症状は治まらない。
CPAPをやめると覿面で症状が起きるのである。

起床時に頭痛がする場合は(早朝覚醒することが多い)CPAPをつけてムリヤリにでも目をつぶって寝るとよい。
30分から1時間でもそうしていると、頭痛が治まる。
これは、その時間に急速に深い眠りをしているのか、それとも血液に酸素が強制的に吹き込まれるのか?良く分からない。
この発見は有用であった。

逆に、症状が悪化してもいないと思われる。
ぼくは2型糖尿病であるが、たぶんこの原因はSASであると思われる。
しかし、糖尿病の指標である「HbA1c」(血中ヘモグロビンブドウ糖化度)が悪化していない。
ぼくは体重が90kg前後で、92kgになると明らかな太りすぎである。
ちょっとがんばって食事を減らすと88kgぐらいになる。
この体重と、HbA1cの値が非常によく連動してい、88kg以下に落ちるときは5.8ぐらいと、ほぼ健康な人ぐらいになる。

ぼくの場合は、明らかに減量がSAS、糖尿病の治療に役立つ。
現在は糖質制限ダイエットを試みている。
この経過は引き続き本ブログで報告したい。

以下はレンタル病院と付き合った3年間を総括する。

まず、支払った金額の総計である。
3年間、36ヶ月レンタルを継続するために行った通院が月5千円、総計18万円である。
検査は少なくとも4回しているが、これが各3万円、合計12万円である。
30万円を支払ったことになる。
(実際にはもっと払っているはずだ)

病院に最低40回は行っている。
会社の近くの病院なので、昼休みを使って抜け出して行っているが、往復だけで40時間を費やしていることになる。
(これに待ち時間が加わる。月イチ診察そのものは5分と掛からない)
睡眠検査は各8時間と考えて32時間。
合計で72時間を費やしている。

これに対して、個人輸入したCPAPの代金は、本体価格が5万円である。
何やかやで8万円ぐらい使った。
しかし、無保険で自己責任で行った治療に掛かるお金が8万円で、保険証を使って日本の大きな病院に行って払ったお金が30万円と言うのは、特筆すべき事実である。
月イチ診察もいらない。
専用ソフトウェアを使えば、毎日でも睡眠状況をいくらでも分析できる。
この事実をどう判断するかはあなたの自由だ。

個人的には「病院、ボり過ぎ!」と思う。

とりあえず「検査は個室しか出来ない、しかし個室は自由診療で無保険、3万円」というのは大問題だ。
個室で検査することが必須の事項であれば、保険が適用するはずだ。
しかし、適用しないのである。
おかしいと思う。

「ぼくは痩せてきて、A1cの値も正常になってきたので、もう一度検査してくれませんか」と言うと「3万円掛かりますからねェ・・・」と(悪気なく)言った医者の顔を、ぼくは一生忘れない。
こういう「納得できない思い」が、いかにストレスになり、患者の心の健康を損なっているか。
お医者さんにおかれては、一度真剣に考えてもらいたい。

あと、月イチ診療は、はっきり言って時間の無駄だ。
これは病院ではなくて保険制度の問題であると医者は言うであろうが、医者も制度決定に大きな発言権を持つはずだ。
患者のQOLを総合的に上げるために、病院が何を出来るか。
このブログがその判断材料の一助となれば幸甚である。

このような感情的な文章を読むと、こう言われるかもしれない。
「お金と時間のことばかり、自分の都合で言っているが、病気で死んじゃったら元も子もないんじゃないですか」
「お医者さんは患者のために、誠心誠意専門技術を駆使して診察してくださっているのに、逆恨みは良くないんじゃないの」

しかし、よく考えてもらいたい。
おいしいものを食べたり、きれいな服を買ったり、楽しむために自由に使えるお金を、病気であるというだけで病院に取られる。
同様に、自分の為に何にでも使える時間を、病院への行き返りのために取られる。
(病院が会社のそばにあったのは僥倖であって、住んでいる地方によっては病院に行くだけで丸1日つぶれる人も珍しくなかろう)
自分の人生を少しずつ削り取っているわけである。
これは「少し死んでいる」と言えるのではないだろうか。

病院がお金をまけてくれれば、診察の負担を軽減してくれれば、その時間とお金を患者は享受できる。
この総合的なQOLの向上も、病院や保険行政の担当者の仕事のうちに入っているのではないだろうか。

「あなたは(病院にとって)おいしい患者になっていませんか」という言葉を、本屋で本の帯に見つけて、ぼくは衝撃を受けた。



 ※上に紹介した本をぼくは未読であるし、内容にも疑問の声が寄せられているようだ。
 ※普通は病気になったら病院に行くのが最も安全で、安上がりであるはずだ。

保険で3万円取られ、月に一度5分の診察のために病院通いをし、5000円取られ、同じ機械をアメリカから個人輸入すると5万円で買える。
ぼくの事実をぼくは、「これは異常だ」と思い、個人診療に踏み切った次第である。
この素人判断が正しいのかは、大いに議論したい。

今回は長くなるが、ここからは、いまこの病気に掛かっている人に助言したい。

レンタルへの切り替え

病院からの、CPAPレンタルの誘いを打ち切り、最初から個人輸入にすることは出来るだろうか。
これが、ぼくには分からない。

ぼくが通っていた病院の場合は
 (1)SASであると確定するために、CPAPをつけずに一泊検査を行う
 (2)SASであると分かったので、CPAPのパラメーター(最小圧力と、最大圧力)を決めるために、CPAPを着けて一泊検査を行う
という過程を取った。

このとき、(2)の時点で装着するCPAPの3年レンタル契約を結び、そのレンタルCPAPを使って検査を行ったと思う。
(記憶が鮮明でない。申し訳ありません)
よって、レンタル契約を結ばないと、パラメーターを決められないのではないか。

もし(1)の検査だけで個人輸入を行い、パラメーターを自己判断で適当に設定するのはなかなか難しいだろう。
そして(2)の検査まで行って「こちらの病院で借りたCPAPはお返しします」と言って、契約を反故にすることが出来るか。
これが、分からないのである。
ぼくの場合は3年のレンタル契約を満了したところで、個人輸入品に切り替え、パラメーターは3年間まったく変化させなかったので、その値をそのまま使っている。

本来ならば(何が「本来」かは浅学にして知らないが)医者が個人輸入するという患者の意向を汲んで、パラメーターを決めるところまで病院備え付けのCPAPでやってくれてもいいような気もする。
そういう病院も探せばあるかもしれない。
しかし、患者の立場では、病院に「CPAPを個人輸入したいんですが」と切り出すのは難しかろうとも思う。
逆に、そういう患者のために、個人輸入の案内や処方箋の発行も行う医者がいたら助かるのではないか。

個人輸入の是非

最後に、繰り返しになるが、CPAP個人輸入の是非について議論したい。

>良いところ
 ○安い(一括払い5万円)
 ○月イチの診察から解放される
 ○好きな時間に、好きな期間分、ソフトウェアを使って使用状況、AHIの統計情報を見られる

>悪いところ
 ×医者の助言が受けられない
 ×壊れたときどうするか
 ×治ってきたと分かるか

いいところも、悪いところもある。
ぼくとしては、手放しでお勧めするという気分ではない。
やはり「自己責任でお決めください」という冷たい言葉を書かざるを得ない。

最後に

CPAPについて書かれているブログ、特に、患者の体験記を多く読むことをお勧めする。
本ブログの情報ももう古いであろう。
驚くほど詳細に、親切に書かれているブログがあってびっくりする。
しかし、病気の弱みに付け込んで金儲けしようとする「情報商材」サイトも残念ながらある。
(これは、何の病気についても--心の病気や、ガンについても--存在する。大きな問題である)
これには注意したい。



長々と連載し、フワフワした情報しか伝えられなかった。
同病の方、これからも情報交換してがんばりましょう。
ま、病気になって悪いことばかりではなかった。
いろいろ考える機会が増えたのである。

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